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» 2015年08月14日 05時00分 UPDATE

CTOに問う(6)gloops編:CEOとCTOを兼務し戦略的課題に迅速に対応──「ガワ替え」ではないゲームで勝ち抜くことを目指す (1/3)

CTOとは何か、何をするべきなのか――日本のIT技術者の地位向上やキャリア環境を見据えて、本連載ではさまざまな企業のCTO(または、それに準ずる役職)にインタビュー、その姿を浮き彫りにしていく。第6回はgloopsのCEO兼CTOを務める池田秀行氏にお話を伺った。

[益田昇,聞き手:@IT編集部]
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連載目次

 ソーシャルゲーム事業への参入で急成長を遂げ、数年前からネイティブゲームの開発にも本格的に取り組んでいるgloops(グループス)。同社のCEO兼CTOとして、ゲーム開発の戦略的課題に対して迅速な対応を図れるように指揮を執る池田秀行氏にインタビューした。

cto6_3155.jpg gloops 代表取締役社長 兼 CTO 池田秀行(いけだ ひでゆき)氏(撮影:山本中)

コンシューマー向けサービスの開発が転機に

編集部 CTOになるまで、どのようなエンジニア人生を歩んできたのですか?

池田氏 2001年から大手SIerに所属し、金融機関向けの大規模なオープン系のシステムの開発に携わりました。当時は、「Web 2.0」という言葉が流行したことからも分かるように、Web技術が急速に進化した時代。私も入社当初からWebベースのシステムの開発を担当しており、次第にコンシューマー向けに大きくスケールする自社サービスの開発を手掛けてみたいと思うようになりました。

 ちょうどその時期に、gloopsの前身であるGMSの代表と知り合う機会があり、コンシューマー向けサービスを展開することで意気投合。GMSに入社して自社サービスの開発に取り組むことになりました。それが、2007年のことです。ただ当時のGMSは、本格的なシステム開発を行った経験も体制もなかったので、最高開発責任者として自社サービスの開発基盤の構築から始めなければならなかったのです。

 最初は小さなSNSを開発するところからスタート。当初は、エンジニアは私一人だけで手探りの状態でしたが、次第にエンジニアやWebデザイナーの採用を進め、社内開発チームの基盤構築を進めていくようになりました。

編集部 ソーシャルゲームを提供するに至った経緯を教えてください。

池田氏 2009年から2010年にかけて、ソーシャルゲームプラットフォームのオープン化が進み、ブラウザーベースのソーシャルゲームが普及し始めたのを機に、ビジネス的なチャンスを感じたのがきっかけです。そこで、インターネット系の事業の全てをゲーム事業に転換・統合することを決断しました。

CTOとCEOの兼任で課題を迅速に決断・実行

編集部 現在、CTOとしてどのような役割を担っているのですか?

池田氏 当社の場合、ゲームを作ってプロダクトとして世の中に発信していくことが事業の柱です。CTOとしては、ゲームサービスの技術基盤、つまり、開発者がモノを作れる環境を整備することが最大のミッションだと考えています。

編集部 CEOに就任されたのはいつですか? CTOの業務とは両立できていますか?

池田氏 2013年6月にCTOを兼務する形でCEOに就任しました。現在は、CEOの業務がメインになっていますので、技術的なところは、できるだけ権限を委譲して、現場に任せるようにしつつあります。

編集部 CTOとCEOを兼任しているメリットとデメリットについてお聞かせください。

池田氏 一般的にCTOの役割は、経営と技術の橋渡しを行うことだと言われますが、CTOとCEOを兼任していれば、当然、橋渡しを行う必要はなくなり、戦略的な課題を迅速に決断し実行することができます。一方、デメリットは、それぞれの業務に100%集中できないことです。特にCTOの業務には以前のように時間を割けなくなりましたが、権限の多くを現場に委譲することにより、そのデメリットは解消しつつあると思っています。

編集部 経営に携わるようになって、仕事の取り組み方は変わりましたか?

池田氏 やはり、多くの人を巻き込んで、協力しながら成果を出していくところが大きく変わった点だと思います。実際にエンジニア以外にもいろいろな人と幅広く話すようになりました。ただ、会社が急成長した時代から何らかの形では経営に関わってきましたので、仕事のやり方が急に変わったとは感じていません。

編集部 今でもコードを書きたくなることはありませんか?

池田氏 実は、今でもたまにコードを書くことがあるんですよ。数カ月か半年に1回ぐらいのペースですが、実際に社内向けのツールやサービスを作っています。ただ、あくまでも現場のエンジニアやデザイナーがチームで開発に集中できるように環境を整備することが任務だと思っていますので、自分自身でコードを書く時間が取れなくても、それをストレスに感じることはありません。

編集部 入社されてから、さまざまな変化があったと思いますが、最もつらかったことはどんなことでしたか?

池田氏 会社が急成長した時代に大量採用を行ったことがあるのですが、結果として人の流動性が高まってしまい、多くの仲間が辞めていったことが、最もつらかったことです。こうした経験を踏まえ、薄れてしまったゲーム参入時のカルチャーをあらためて再構築し、着実に一歩一歩地に足を着けた形で、より良いモノづくりにフォーカスしていきたいと考えています。

編集部 カルチャーをあらためて再構築となりますと、優秀な人材の確保が不可欠かと思います。現在もエンジニアは採用していますか? どんなことをエンジニアの採用基準として重視していますか?

池田氏 エンジニアの採用は継続的かつ積極的に行っています。ゲーム開発の現場は、同じ技術を5年、10年と使い続けて維持していくという世界ではありません。エンジニアの採用に当たっては、ゲーム業界は変化が激しいところであることを前提に、言われたことだけをやっていればいいというのではなく、自分の頭で考えて行動できるかという点や、創造性を持っているかどうかという点を重視するようにしています。

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