第2回 Visual Studio 2015の基礎を知る連載:簡単! Visual Studio 2015入門(1/4 ページ)

開発環境Visual Studioを使ったプログラミングに不可欠な知識とは? ソリューションの概念から画面構成まで基礎を習得しよう!

» 2015年08月18日 05時00分 公開
[かわさきしんじInsider.NET編集部]
連載:簡単! Visual Studio 2015入門
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本連載は、「簡単! Visual Studio 2013入門」「簡単! Visual Studio 2010入門」「簡単! Visual Studio 2008入門」「簡単! Visual Studio 2005入門」「簡単! Visual Studio .NET入門」を現在の最新環境に合わせて改訂したものです。


 前回は、Windowsアプリ(C#言語を使用)の開発を例に取って、次のようなVisual Studio 2015(以下、VS 2015)の基本的な作業の流れについて解説した。

  1. VS 2015の起動
  2. プロジェクト(Windowsアプリ)の新規作成
  3. プロジェクトのビルド(=プログラムの生成)
  4. 生成されたプログラムの実行
  5. VS 2015の終了(=プロジェクトの保存)

 この一連の作業では、Windowsアプリのプロジェクトを新規作成し、そこで生成されたWindowsアプリのひな型のソースコードを、そのままビルドすることでプログラムを作成した。

 しかし実際のアプリ開発では、上記の流れの2と3の間で、ひな型のソースコードに独自のコードを追加する(=コーディングを行う)必要がある。この作業こそが、VS 2015での実際のプログラミング(=プログラム開発)作業となる。

 そこで、実際のコーディングに入っていきたいのだが、その前に、VS 2015プロジェクトとして生成されるソースファイルの構成や、VS 2015のIDEの画面構成とその使い方などについて、一通り理解しておく必要がある。さもないと、「どのファイルにコードを追加すればよいのか?」「どうやってコーディングすればよいのか?」が分からないからだ。そこで今回は、これらコーディングの前提知識を中心に解説していく。

 なお本稿では、VBはVisual Basicを、C#はVisual C#を意味する。また、ここで使用している環境はWindows 10とVS Community 2015で、Windowsフォームアプリの開発を例としている。その他のエディションを使用している場合には、メニューやショートカットキーの構成や設定について適宜読み替える必要があるかもしれないので注意してほしい(そうした部分ではなるべく補足を入れるようにしていくつもりだ。ただし、画面については基本的にVS Community 2015のものを採用する)。

 今回も、前回作成したWindowsアプリのVS 2015プロジェクトを使用するので、まずはそのプロジェクトを開いてみよう。

 VS 2015で既存のプロジェクトを開く方法には次の3通りがある。

  1. VS 2015のスタートページから開く方法
  2. Windowsエクスプローラーから開く方法
  3. IDEのメニューバーから開く方法

 この中で最も手軽で簡単な方法は、1のスタートページから開く方法である。

スタートページから既存プロジェクトを開く方法(第1の方法)

 VS 2015では、IDE起動時にはデフォルトで[スタート ページ]ウィンドウが表示される。VS 2015で以前にプロジェクトを作成していれば、そのスタートページ内の[最近使用したファイル]の欄に、次の画面例のように、それらのプロジェクトがリストアップされる。

[スタート ページ]ウィンドウ [スタート ページ]ウィンドウ
VS 2015のIDE起動時には、デフォルトで、スタートページが表示されるようになっている。もし表示されない場合には、IDEのメニューバーから[表示]−[スタート ページ]を選択すれば表示できる。このスタートページ内の[最近使用したファイル]欄には、最近使用した既存プロジェクト(この例では「WindowsFormsApplication1」)がリストアップされる。
  (1) 既存プロジェクトのハイパーリンクをクリックするだけでプロジェクトが開く。
  (2) [新しいプロジェクト]というハイパーリンクをクリックすると、前回解説した[新しいプロジェクト]ダイアログが表示される。
  (3) [プロジェクトを開く]というハイパーリンクをクリックすると、「IDEのメニューバーから既存プロジェクトを開く方法(第3の方法)」で解説する[プロジェクトを開く]ダイアログが表示される。
  (4) [ソース管理から開く]というハイパーリンクをクリックすると、ソースコード管理システムを利用して既存プロジェクトを開くために必要な処理が行われる(チームエクスプローラーの表示など。本連載では取り扱わない)。

 スタートページの[最近使用したファイル]欄にリストアップされたプロジェクトのハイパーリンクをクリックするだけで、そのプロジェクトを開ける。この方法は、毎日同じプロジェクトで開発する場合や、(本稿の例のように)前回使用したプロジェクトを再び開くような場合に適している。

 この方法以外の上記2と3の方法では、VS 2015プロジェクトの構成と構造、それに含まれるファイルについて正しく理解しておかなければ、プロジェクトを開けない。例えば、プロジェクトを構成するファイルの中で、プロジェクトを開くためのファイルがどれかを知っていなければ、プロジェクトを開けない。よって次に、プロジェクト構造やその中のファイル構成を知るために、前回作成したプロジェクトの内容を参照しよう。

既存プロジェクト(ソリューションフォルダー)の内容

 では、作成したプロジェクトは、どこに格納されているのだろうか? 実はプロジェクトは、前回説明した[新しいプロジェクト]ダイアログで指定した場所にある。

 前回の例で、ユーザーの「ドキュメント」フォルダー内にある「Visual Studio 2015\Projects」フォルダーをプロジェクトの[場所]として指定したものとする。そこで、このフォルダーをWindowsエクスプローラーで開いてみよう(WindowsエクスプローラーはWindows 10の場合、タスクバーにあるWindowsエクスプローラーのアイコンをクリックすれば起動できる)。

 「Visual Studio 2015\Projects」フォルダーを開くと、そのフォルダー内に作成したプロジェクト名のフォルダー(本稿の例では「WindowsFormsApplication1」フォルダー)がある。そのフォルダーを開いてみよう。この開いたフォルダーの中身と、前回の[新しいプロジェクト]ダイアログの設定内容の関連を、次の画面で示す。

[新しいプロジェクト]ダイアログの設定内容とソリューションフォルダーの中身 [新しいプロジェクト]ダイアログの設定内容とソリューションフォルダーの中身
上下に画面が並んでいるが、上の画面が前回と同じ[新しいプロジェクト]ダイアログで、下の画面が前回のプロジェクトが格納されているフォルダーを開いたWindowsエクスプローラーである。
  (1)ユーザーの「ドキュメント」フォルダーの階層下にある「Visual Studio 2015\Projects」フォルダー。このフォルダーがVS 2015プロジェクトのデフォルトの保存先となる。
  (2)前回作成したプロジェクトの「ソリューションフォルダー」。[新しいプロジェクト]ダイアログの[ソリューション名]に指定した名前が使われる(この例では「WindowsFormsApplication1」)。もし[ソリューションのディレクトリを作成]チェックボックスにチェックを入れていなければ、(3)のフォルダーを統合したフォルダーとなり、フォルダー名にも[プロジェクト名]に指定した名前が使われる。
  (3)前回作成したプロジェクトの「プロジェクトフォルダー」。[新しいプロジェクト]ダイアログの[プロジェクト名]に指定した名前が使われる(この例では「WindowsFormsApplication1」)。もし[ソリューションのディレクトリを作成]チェックボックスにチェックを入れていなければ、このフォルダーは作られず、(2)のフォルダーに統合される。
  (4)プロジェクトに関連する情報や、ビルドに関連するファイルを格納する「.vs」フォルダー(VS 2015で新設された隠しフォルダー)。VS 2013までは、ソリューションユーザーオプションファイル(VS 2015では「.suo」というファイル名になっている)はプロジェクトフォルダーに直下に配置されていたが、VS 2015では「.vs」フォルダーのサブフォルダーに格納されている。このフォルダーの詳細については(今のところ)特に覚えておく必要はない。
  (5)ソリューションファイル。拡張子は「.sln」(SoLutioN)。ソリューション全体を管理するための情報が格納されているファイル(ソリューションについては後述する)。ソリューションファイルは重要なファイルで、すぐ後にも登場するので、覚えておいてほしい。

 上の画面を見ると分かるように、(1)「Visual Studio 2015\Projects」フォルダー内に、前回作成したプロジェクトの「WindowsFormsApplication1」フォルダー(=(2)ソリューションフォルダー)があり、さらにその中に「WindowsFormsApplication1」フォルダー(=(3)プロジェクトフォルダー)がある(ただし、[新しいプロジェクト]ダイアログの[ソリューションのディレクトリを作成]チェックボックスにチェックを入れていなければ、ソリューションフォルダーとプロジェクトフォルダーは統合されて一つのフォルダーになるので注意すること)。

[コラム]ファイルの拡張子を表示するには?

 Windowsエクスプローラーの画面でファイルの拡張子が表示されていない場合は、まずWindowsエクスプローラーでリボンの[表示]タブをクリックする。そして、[ファイル名拡張子]チェックボックスにチェックを入れる。

ファイルの拡張子を表示する ファイルの拡張子を表示する
Windows 10ではWindowsエクスプローラーで、リボンの[表示]タブを表示して[ファイル名拡張子]チェックボックスにチェックを入れるのが簡単だ。


 このように、VS 2015でプロジェクトを新規作成すると、「ソリューションフォルダー」とそのフォルダー内に「プロジェクトフォルダー」という二つの基本フォルダーが作成される。この二つのフォルダーの違いについて説明しておこう。

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