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» 2015年10月01日 05時00分 UPDATE

山市良のうぃんどうず日記(48):管理者が知っておくべきOffice 2016のインストールと更新の変更点 (3/3)

[山市良,テクニカルライター]
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MSDN版Office Professional Plus 2016のインストールのカスタマイズ

 MSDNサブスクリプションで提供されている「Office Professional Plus 2016」のISOイメージには、C2Rインストールソースとインストーラー(Setup.exe)が含まれています。このOffice Professional Plus 2016のインストールも、Office Deployment Toolでカスタマイズすることが可能です(画面5)。

画面5 画面5 MSDN版Office Professional Plus 2016のインストールをOffice Deployment Toolでカスタマイズした例

 C2RインストールソースはISOイメージに収録されているので、「setup.exe /download」コマンドでインターネットからダウンロードする必要はありません(Office Professional Plus 2016のバージョン「16.0.4266.1003」のインストールソースは、ダウンロード用に公開されていないようです)

 その代わりに、構成ファイルの「SourcePath」にISOイメージのマウント先パス、またはISOイメージの内容をコピーしたローカルフォルダーか共有パスを指定します。また、「Product ID」には「ProPlusRetail」を指定します。

<Configuration>
  <Add SourcePath="ISOイメージのマウント先パス(または内容のコピー先パス)" OfficeClientEdition="32">
    <Product ID="ProPlusRetail">
      <Language ID="ja-jp" />
      <ExcludeApp ID="Access" />
      <ExcludeApp ID="InfoPath" /> 
      <ExcludeApp ID="Lync" /> 
      <ExcludeApp ID="Groove" /> 
      <ExcludeApp ID="OneNote" />
      <ExcludeApp ID="Publisher" /> 
    </Product>
  </Add>
</Configuration>
構成ファイルの「SourcePath」にISOイメージのパスを指定する

クイック実行(C2R)のOfficeは組み込みの自動更新機能で常に最新

 C2RでインストールされたOfficeは、Windows Update(Microsoft Update)で更新されることはありません。更新機能はOfficeのアプリに組み込まれており、アプリの実行時に更新が利用可能であれば自動的にダウンロード(更新されたファイルの差分のみをダウンロード)してインストールします。既定では「自動更新」が有効になっており、オプションで無効化することが可能です(画面6)。

画面6 画面6 C2RのOfficeの更新機能はアプリに組み込まれており、既定で「自動更新」が有効。Windows Updateでは更新されない

 Officeの更新は、特定のセキュリティ問題や不具合に対応するパッチという形ではなく、アプリのバージョン番号が増えていく形になります。そのため、Windowsの更新プログラムのように更新プログラムが原因で問題が発生した場合には、その更新プログラムをアンインストールして対処することができません。その代わりに、「以前のバージョンを指定して更新する(ロールバックする)」という方法が用意されています。

 Officeのインストールを以前の問題のないバージョンに戻すには、「OfficeC2RClient」コマンドを使用します(画面7)。詳細は以下のドキュメントで説明されていますが、Office 2016では「OfficeC2RClient」コマンドの場所が「%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun」に変更されていることに注意してください。

画面7 画面7 以前のバージョンには「OfficeC2RClient」コマンドでロールバックできる。なお、Office 2016はリリースされたばかりなので、ロールバックできる以前のバージョンはまだない

Office 2016もブランチ更新モデルを採用

 Windows 10は「Windows as a Service(WaaS:サービスとしてのWindows)」というコンセプトに基づき、「Branch(分岐)」という複数の更新モデルを用意しています。コンシューマー向けの「Current Branch(CB)」は「最適化モデル」とも呼ばれ、新機能と更新がリリース後に自動更新で適用されます。

 「Current Branch for Business(CBB)」はHomeエディション以外で利用できる「企業向け最適化モデル」であり、新機能の導入(アップグレード)を最大8カ月まで延期できます。また、延期している間もセキュリティ更新やバグフィックスは受け取ることができます。

 「Long Term Servicing Branch(LTSB)」はEnterpriseエディションに用意される「固定化モデル」であり、新機能は提供されず、更新のみを受け取ることができます。「Windows as a Service」については、近いうちにあらためて説明します。

 C2R版のOffice 2016は、Windows 10と同じように「Branch」という更新モデルが用意されます。ですが、Windows 10の更新と統合されているわけではありません。Office 2016には、次の三つのBranchが用意されます。

更新モデル 内容
Current Branch(CR、Current) 新機能や更新がリリースされてすぐに更新
Current Branch for Business(CBB、Business) 4カ月ごとに安定版の新しいBranchが提供される。各Branchの次の次のBranchがリリースされるまで(8カ月間)、セキュリティ更新やバグフックスが提供される
First Release for Current Branch for Business(FR CBB、Validation) 次のCBB Branchを4カ月前にパイロット展開して評価するためのBranch

 Office 365 ProPlusは、既定でCBBが適用されます。Visio Professional、Project Professional、Office 365 Businessは既定でCBです。CB、CBB、FR CBBは、グループポリシーやローカルポリシーの「分岐の更新(Update Branch)」ポリシーを構成することで切り替えることができます(画面8)。また、Office Deployment Toolの構成ファイル(configuration.xml)に「Branch="CurrentまたはBusinessまたはValidation"」を追記することで、インストール時に明示的に指定することができます。

画面8 画面8 Office 2016の更新モデルは、グループポリシーまたはローカルポリシーの「分岐の更新(Update Branch)」ポリシーで切り替えることができる

 C2R版のOfficeはWindows Updateで更新されないこと、Office 2016にはBranch更新モデルが存在すること、いずれも管理者が知っておくべき、新しいOffice 2016の大きな変更点です。

 一般ユーザーの方は、Windows 10が無料アップグレードだったことから、Office 2016も無料アップグレードできると期待してしまうかもしれませんが、Office 2016は無料ではありません。Office 365のサブスクリプション契約があれば、無料でアップグレードできますが、永続ライセンス版のOffice(パッケージ製品やプリインストール製品)に対して新しいバージョンが無料提供されることはありません。なお、永続ライセンスを含む製品ラインアップおよび参考価格については、以下のWebサイトを参照してください。

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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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