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» 2015年10月23日 05時00分 UPDATE

15周年記念特別企画「創業者は語る」:スマートニュース藤村厚夫氏に聞く、@ITの歴史でたどるエンジニアの「これまで」と「これから」 (1/3)

2000年5月22日にサイトオープンした「@IT」は、2015年に15周年を迎えた。この15年で、エンジニアを取り巻く環境はどのように変わったのか、そして今後どのように変化していくのか。@IT、そして@IT自分戦略研究所を立ち上げた藤村厚夫氏に、15年の歴史を振り返りつつ、サイトやサービスが誕生したバックボーンや、それぞれに込めた思い、そしてこれからのエンジニアに期待していることなどを伺った。

[文 唐沢正和(ヒューマン・データ・ラボラトリ), 聞き手 @IT編集部,@IT]

 「@IT」は、ITエンジニア向け情報提供サイトとして2000年5月にオープンし、今年15周年を迎えた。

 サイトがオープンした2000年は、まだインターネットメディアというものが確立されていない時代。そうした中で、@ITはどのようなコンセプトとビジョンを持って立ち上げられたのだろうか。立ち上げから11年間、経営者として@ITを率いていた藤村厚夫氏にお話を伺った。

15af_02.jpg 藤村厚夫氏
スマートニュース 執行役員 事業開発担当
書籍および雑誌編集者、ソフトウエアのマーケティング責任者を経て、2000年に「アットマーク・アイティ」創業。2005年に「アイティメディア」と合併し、代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。2013年より「スマートニュース」の執行役員として、ニュースアプリ「SmartNews」のメディア事業開発を担当。

2000年 @ITオープン〜ITエンジニアの仕事やキャリア設計までを支援していける総合サービスサイトを目指して

 「もともと、@ITは、メディアを作ろうと思って立ち上げたわけではない。紙媒体のメディアで培ったノウハウを生かしながら、単に情報を提供するだけでなく、ITエンジニアの仕事やキャリア設計までを支援していける総合サービスサイトを目指していた。せっかくインターネットという新しい世界にチャレンジするのだから、今までとは違ったアプローチでITエンジニアをサポートできないかと考えた」と藤村氏は語る。

 メディアとは違う新たなITエンジニア向け情報サイトを目指して、藤村氏は、国内外のさまざまなサイトを調査。そこで、@ITの大きなヒントとなったのが、当時米国で注目を集めていた「About.com(アバウト・ドットコム)」だったという。「アバウト・ドットコム」には、さまざまな分野のテーマがあり、専門家が「ガイド」として各テーマの情報をコーディネートしている。藤村氏はこの仕組みを参考にして、ITエンジニアの関心が高いテーマをピックアップした「フォーラム」を開設。フォーラムごとに特化した専門的な情報を提供し、ガイドがコンテンツなどをコーディネートしていくサービスを@ITでスタートした。

 立ち上げ当初は「Java」や「XML」「データベース」「ネットワーク」といったITの基盤となる技術単位のフォーラムを開設。フォーラム内では、メディア経験を生かしたクオリティの高いコンテンツを掲載するとともに、テーマごとにエンジニアが発言できる掲示板「会議室」を設置した。

 「記事を読んで終わりでは、紙メディアと同じになってしまう。そこで、記事を読んだITエンジニアが、その内容について意見したり、ディスカッションしたりできる場として掲示板を設置した。当時、テーマを限定した閉鎖的な掲示板サイトはいくつかあったが、さまざまなテーマの掲示板をスケーラブルに展開していけるサイトは、他にはなかった」

 テーマごとに良質なコンテンツと交流の場を提供することで、専門性が高く、知識レベルの高いITエンジニアが集まり、新しいコミュニティ空間が形成される。ここに新たなビジネスチャンスがあると藤村氏は考えたのである。

 「1990年代から2000年代にかけてのエンタープライズITは、海外製のテクノロジやプロダクトが趨勢(すうせい)を成していた。そのため、ITエンジニアにとっては、外資系企業の日本法人に入って開発を行うか、外資系企業の外注開発に携わるかという選択肢しかなかった。与えられた環境でひたすら開発するという、独立性のない仕事をしているのが、当時の典型的なITエンジニア像だった」

 @ITを立ち上げることで、藤村氏は、こうしたITエンジニアの意識が変化してくることも期待していたという。「専門的な分野を追求しているITエンジニアたちが、一つの場所に純度高く集まると、さらにレベルの高いITエンジニアを惹(ひ)きつける求心力が生まれる。そして、そこから面白いアイデアやプロダクトが生まれてくるのではないかと考えていた」、つまり「@ITはITエンジニアの新たな可能性を拓(ひら)くためのチャレンジ」であったと藤村氏は振り返った。

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