国内の金融IT市場は堅調、IDCジャパンが最新市場予測を発表メガバンクを中心にIT投資は拡大

IDCジャパンが、国内金融IT市場について最新予測を発表。前年比成長率は0.6%と堅調で、特にメガバンクは3.0%と強めを予想した。金融機関は積極的なIT活用を模索しており、FinTech企業との連携を強化する大手金融機関が増加するとした。

» 2016年01月08日 15時44分 公開
[@IT]

 IDCジャパンは2016年1月7日、2019年までの国内金融IT市場を予測したレポート「2015年国内金融IT市場動向調査:金融機関における新しいIT戦略の動向」を発行した。2016年の国内金融IT市場規模は、対前年比0.6%増の2兆407億円が見込まれている。業態別では、メガバンクやカード、生命保険、大手証券会社が比較的高い成長率を示すとしており、対前年成長率はそれぞれ3.0%、2.3%、2.5%、2.1%と予測した。

 国内の金融機関では、新しい収益拡大施策を模索しているという。その背景をIDCジャパンでは、企業の資金調達方法が多様化する他、低金利の長期化、企業の海外進出、人口減少などの要因によると分析している。そのため、オムニチャネル化や顧客管理/分析の強化、決済システムの拡充といったサービスや金融商品の強化を目的にITを積極的に活用する金融機関が増加しているという。

 例えば、メガバンクのIT支出については、2014〜2019年の年間平均成長率を、チャネル系システムで4.5%、顧客管理システムで4.3%と、全体の3.4%に比べて高い値を予測する。また、ITソリューションでは、金融機関のこれらの取り組みを支援するモバイル、クラウド、ビッグデータ技術、コグニティブシステムの活用が増えていることも指摘する。こうした動向に加え、より革新的なサービスの提供を図るために、FinTech(フィンテック)に取り組むスタートアップ企業と連携する例も増えているという。

 既に一部の金融機関では、FinTech企業と連携して決済や個人資産管理についてサービスを提供し始めている。IDCジャパンでは、2016年以降もこうしたFinTech企業との連携を進める金融機関が増えると見ており、併せて現在検討されている規制緩和もこの動きを後押しすると予測する。

みずほ銀行はNTTデータの「Digital Corporate Accelerate Program」を通じて、ITベンチャーとFinTech分野での協業を模索する。2016年10月にはシリコンバレーのベンチャー企業との協業を発表している

 なお、IDCジャパンが今回発行したレポートは、国内金融IT市場を18業態(メガバンク、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、生命保険、損害保険、大手証券会社、ネット証券など)に分けて、製品別、主要システム別でのIT支出を予測。金融機関が収益拡大を目的とするIT戦略の動向も分析している。

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