統合データベース環境の運用効率化に「マルチテナント」と「Zero Data Loss Recovery Appliance」は使えるか?データベースクラウドに求められる3つの要件(2)(2/3 ページ)

» 2016年01月25日 07時00分 公開
[PR/@IT]
PR

スキーマ統合の問題を解決するOracle Database 12cのマルチテナントアーキテクチャ

 このようなスキーマ統合の問題を解決する技術として、Oracle Database 12cで導入されたのが「マルチテナントアーキテクチャ」だ。マルチテナントアーキテクチャでは、データベースごとにインスタンスを立ち上げるのではなく、「コンテナデータベース(CDB:Container Database)」と呼ばれるデータベース上で複数の仮想的なデータベースとして「プラガブルデータベース(PDB:Pluggable Database)」を実行することで、それぞれのデータベースの独立性を確保しながらインスタンス統合を行うことができる。

 データベースのプロビジョニングやハードウェア間の移行が容易であることも、マルチテナントアーキテクチャの特徴だ。CDB内に簡単にPDBを作成できるのはもちろん、既存のPDBをベースにして新たにPDBを作成(コピー)したり、別のCDBからPDBを移動したりできる他、既存のデータベースをCDBに取り込むといったことも可能である。

 データベースを複製する際、コピー元のデータを参照することでストレージの消費を抑える「スナップショット」と呼ばれる機能も用意されている。この機能を使った場合、複製されたデータベースが持つのはオリジナルのデータへのポインタだけとなるため、短時間でデータベースをクローニングできる他、ディスク容量の削減にもつながる。

 スナップショットで作成したデータベースに対して更新処理を行うことも可能であり、その場合は変更されたデータだけがオリジナルとは別に記録される。このスナップショットの機能は、開発/テスト用のデータベースを作成するといった場面で特に威力を発揮するだろう。

マルチテナントアーキテクチャがデータベース運用を効率化

 データベースのアップグレードに伴う負担を軽減できることも、マルチテナントアーキテクチャの利点である。具体的には、CDB単位で複数のデータベースをまとめてアップグレードすることが可能な他、事前にバージョンアップしたCDBを用意しておくことにより、PDB単位で段階的にアップグレードすることもできる。個々のデータベースの要件を考慮した柔軟なアップグレードが可能なのだ。

 バックアップとリカバリについても、CDBとPDBのどちらの単位でも実行可能だ。複数のPDBをCDB単位でまとめてバックアップし、それを一括してリストアできる他、一部のPDBだけをリストアするといったことも可能となっている。

 また、マルチテナントアーキテクチャには、各データベースに対するハードウェアリソースの割り当てを効率化するための「share」という概念に基づく仕組みが組み込まれている。リソース割当量をパーセンテージで固定的に指定した場合、新たなデータベースを追加した際に再計算が必要となり、設定作業が煩雑になる。それに対して、shareでは各データベースに設定された数値(share)の総和から、割り当てるリソースを自動算出する方式をとる。

 これにより、例えばそれぞれ「1 share」と「2 share」を設定した2つのデータベースがある場合、「2 share」のデータベースには約66%、「1 share」のデータベースには約33%のリソースが自動的に割り当てられる。この環境に、さらに「1 share」のデータベースを追加すると、リソースの再計算が自動的に行われ、「2 share」のデータベースへの割り当ては50%、「1 share」のデータベースへの割り当ては各25%に変更される。マルチテナントアーキテクチャでは、このshareの仕組みによって効率的なリソース管理が実現されるのだ。

 データベースのクローンを手軽に作成できるというマルチテナントアーキテクチャの利点を生かした使い方として、読み書きが可能な分析用サンドボックス環境の作成が考えられる。例えば、データウェアハウスで利用しているPDBのクローンを作り、データを変更した場合の影響を調べたり、索引の付加によるクエリ実行速度の変化を確認したりするわけだ。また、インメモリデータベース機能である「Oracle Database In-Memory」と組み合わせて、クローンとして作成したデータベースを高速な分析基盤として使うといった用途も考えられる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年2月24日

関連情報

驚異的なパフォーマンス、優れた運用効率、最高の可用性とセキュリティ、クラウド対応を実現するOracle Exadataとの統合、クラウド、可用性や運用管理など、次世代データベース基盤構築のために参考になる必見資料をまとめてご紹介いたします。

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。