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» 2016年02月12日 05時00分 UPDATE

まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと(5):学生時代にしかできない研究を究め、就活や就職後の仕事にとことん生かす (1/2)

本連載では、IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞いていきます。今回は、学生時代に統計学や機械学習の研究に取り組んでいたリクルートテクノロジーズの大杉直也氏に伺った。

[益田昇,聞き手:@IT編集部]

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 本連載「まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと」では、IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞いていきます。


 IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアは学生時代にどのような就職活動を行っていたのであろうか。今回は、学生時代に統計学や機械学習の研究に取り組み、その研究で培った経験やノウハウを就職活動と就職後の仕事に生かし、大きな成果を上げているリクルートテクノロジーズの大杉直也氏に、就活生に向けたメッセージを伺った。

madamani5_1.jpg リクルートテクノロジーズ APソリューショングループ 検索改善チーム 大杉直也氏

検索アルゴリズムの開発で早くも社内表彰を

編集部 入社してから、どのような仕事を担当していますか?

大杉氏 2014年4月にリクルートホールディングスに新卒入社し、半年の研修を経て、リクルートテクノロジーズの研究開発部門であるアドバンスドテクノロジーラボに配属されました。そこでは、人間の言葉を理解したように対話を行う人工無能(チャットボット)を全文検索エンジン「Apache Solr」を使って実現するサービスの開発を担当し、無事リリースできました。また、1年ほど前から、「ディープランニング(深層学習)」を利用するためのアルゴリズムの開発や体制の整備に取り組み始め、現在、その基盤が整ってきたところです。

編集部 グループ会社が運営するサイトの検索アルゴリズムの開発も担当されているそうですね。

大杉氏 2015年4月から、APソリューショングループに所属し、グループ会社のリクルートライフスタイルが運営するECサイト「ポンパレモール」の検索アルゴリズムの開発を担当しています。

 最初は、検索処理のA/Bテストのうち5%の枠内で、自由にロジックを書いてよいということで、効率化のアルゴリズムを考えて2カ月目にリリースしました。実際にA/Bテストを行ったところ、大きな成果が得られ、社内表彰も受けることができました。現在は、A/Bテストの枠を100%フルに使ってさらなる改善に取り組んでいます。また、同様のアルゴリズムを他のグループ会社のサイトに横展開しようとしているところです。

編集部 学生向けのハッカソンも企画されているそうですが。

大杉氏 「学生自然言語ハッカソン」と銘打って、学生の皆さんにグループ社内のデータを使って自然言語処理の課題に挑んでもらうイベントを企画し、開催から運営までを担当しています。近く、2回目を開催する予定で、今まさにその準備を進めているところです。本業は検索アルゴリズムの開発ですが、設定した目標さえきちんと達成すれば、後はハッカソンなどの自分の好きなことをさせてもらっています。

脳科学を志し、統計学/機械学習の魅力を知る

編集部 そもそもエンジニアになろうと思ったきっかけは何ですか?

大杉氏 もともとは文系出身ですが自然科学にも興味があり、大学では脳科学(ブレインサイエンス)を学びたいと考え、文学部の認知情報学科に入学しました。脳科学を学んでいくうちに、脳科学には明確なルールがあるわけではなく、その働きを解明するには統計的な手法が重要になることが分かってきました。このことから、統計学を本格的に学ぶ必要性を感じ、文系から理系へと進路変更を決断し、修士課程では、奈良先端科学技術大学院大学の情報科学科に入学し、統計学や機械学習を学び始めました。

 統計学や機械学習を極めるためには、研究対象となる優れたデータが必要になります。そのため、博士過程は、東京大学大学院総合文化研究科に進み、より優れたデータを求めて、理化学研究所脳科学総合研究センターに大学院リサーチアソシエイトとして参加して研究することにしました。そこで研究を進めていくうちに、脳そのものよりも、研究の方法論である統計学や機械学習の方により興味を持つようになり、その対象の1つとして、Webエンジニアリングにも関わりを持つようになりました。

優れたデータを持つ企業を就職先の候補に

編集部 就職活動はされたのですか?

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大杉氏 博士課程終了のタイミングでリクルートテクノロジーズと、もう1社の採用プログラムに応募し、最終的にリクルートテクノロジーズに入社しました。この2社はいずれもWeb関連を含むさまざまな事業を展開し、優れたデータを豊富に持っていたので、自分がやりたい統計学や機械学習の研究や仕事に生かせると考え応募しました

編集部 本格的な就活はされなかったようですが、志望の企業はどのようにして見つけたのですか?

大杉氏 まずリクルートテクノロジーズについては、博士課程の時期にたまたま友人の紹介で同社が発注したアルゴリズム開発の仕事を請け負い、社内に常駐して働いた経験がありました。その際に、優れたデータが豊富にあることや、自由に仕事ができる社風であることを知って興味を持ち、自分で採用ページを調べて応募しました

 もう1社については、あるデータ分析関連の講演会に参加した際に、理化学研究所の元職員でその会社で働いている講演者とたまたま話す機会があったのですが、その会社にも優れたデータが豊富にあって仕事が楽しいという話を聞いて、こちらも採用ページを調べて応募しました

編集部 大学や研究機関の研究者になるという選択肢もあったのではないですか?

大杉氏 統計学や機械学習を研究する方向に進もうと決めたのですが、大学や研究機関では、研究対象の幅を広げるのが難しいこと、失敗が許容されにくいこと、予算の獲得や管理、報告に関わる作業が多いことなどを考慮し、自分には向いていないと感じました。

 自分が好きなことに集中的に取り組むためには、幅広い研究や仕事に自由に取り組むことができ、研究対象となるデータを豊富に持っているところで働くのが早道だと考え、そうした条件を満たす企業へ就職することを決断したわけです。

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