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» 2016年02月22日 05時00分 UPDATE

OpenStack上に構築する、ブルーグリーンデプロイメント実践入門(1):なぜ“リリースの自動化”が重要か──今こそ「ブルーグリーンデプロイメント」を考える (1/2)

ビジネスの「スピードと絶え間ない変化」に応じたスピーディな開発・改善を支える上で、インフラ部門は今後、どのような対策が求められるのでしょう。本連載では、インフラ部門が今後理解しておくべき運用の考え方を整理し、具体的な実践例として「OpenStackを基盤としたブルーグリーンデプロイメント」を実現する“現場目線”のノウハウを解説していきます。

[佐々木智一,ユニアデックス株式会社]
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ITシステムに求められる「スピードと変化」

 ビジネス展開に一層のスピードや柔軟性が求められているのは、皆さんも日々感じ取っていることでしょう。これを受けて、ビジネスを支えるITシステムにも、スピードと変化への対応力が強く要求されています。今や、ビジネス活動においてITシステムが果たす役割は大きく、ビジネスへの要求は、そのままITシステムへの要求となり得るのです。

 例えばソフトウェア開発においては、「エクストリームプログラミング(XP)」や「スクラム(Scrum)」など、短い周期での反復的な開発を行うプロセスが近年あらためて注目されています。アジャイル開発を軸としたDevOpsも、まだ国内での実践企業は少ないながらも着実に浸透しつつあるようです。これはビジネスに求められる要求が、そのままソフトウェア開発に対する要求となっていることの現れといえるでしょう。


 その一方で、インフラ部門では、こうしたビジネスに応じたスピーディな開発・改善を支える上で、具体的にどのようなノウハウが求められるのでしょうか?

 そこで本連載は、インフラ部門が理解しておくべき運用の考え方を整理し、その一つの実践例として「OpenStackを基盤としたブルーグリーンデプロイメント」を実現する方法を解説していきます。IoTやFinTechトレンドが本格化しつつあり、Webサービス系以外の一般企業もアジャイルやDevOpsに取り組む傾向が強まっている今、一つの参考としていただければと思います。

※本連載は日本仮想化技術主催「OpenStack最新情報セミナー」(2015年7月22日開催)の内容を元にしています。

ビジネス、開発の動きを支える上で、インフラに不可欠な「自動化」

 さて、前述したように、ビジネス展開に応じたスピーディなインフラ構築・運用を行う上では、まず「自動化」について考える必要があります。

 周知の通り、ITシステムには、開発や運用のために多くの作業が必要です。例えば、新機能のリリースや更新ソフトウェアの適用、定期バックアップなどは多くの場合、手作業で行われます。手作業では劇的なスピードアップは望めませんし、変化への対応のために頻繁に手作業を行うとなれば、ヒューマンエラーのリスクも高まります。スピードアップの大前提である「確実な作業」ができません。

 そこで不可欠となるのが自動化です。例えば、「ソースコードから実行可能なソフトウェアを自動的にビルドし、設定とともにサーバへワンアクションで展開する」といった考え方が求められます。

 では一方で、この変化が激しい時代に、「何を、どのように自動化」すると効果的なのでしょうか? 例えば開発が「スクラム(Scrum)」や「エクストリームプログラミング(XP)」に取り組むという場合、インフラ側は何に留意すれば良いのでしょう?

 そこで図1を見てください。これは一般的なソフトウェア開発のワークフローと手法を整理したものです。このうち、インフラ側としては、まずリリースの自動化から取り組むことをお勧めします。

photo 図1 ソフトウェア開発のワークフローと手法

*ここでの「リリース」とは、“ITシステムが運用を開始した後の更新に伴うもの”を意図しています



 なぜならば、ソフトウェア開発に関する課題の多くは、このワークフローの「始め」と「終わり」に存在するためです。始めの課題は、「漏れや無駄のない要件定義の作成、妥当な計画や見積もりを立てること」です。終わりの課題は、「安全確実かつ迅速にリリースし、必要ならばリリース前の状態に戻せるようにすること」です。このうち、運用に大きく関わるのはリリースです。

 リリースに伴う停止時間(期間)は、ビジネスの機会損失につながります。時間の制約が厳しく、作業に十分な時間はもらえないことも多いでしょう。その限られた時間で、更新パッケージをデプロイし、必要な設定をし、問題がないかテストする必要があります。

 切り戻しのためのバックアップや、バックアップからのリストアに必要な時間を見積もり、切り戻し判定時刻を決めるといった計画も必要になります。時間に追われ、十分なテストもできない中で、確実なオペレーションが求められる──。まさにリリースは、清水の舞台から飛び降りるかのような、ITシステム開発で最もシビアな場面なのです。

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