SAP HANA on vSphereの運用性能を検証、ベストプラクティスを“確立”SAP HANA+vSphere 6+XtremIO

ヴイエムウェアなど4社はSAP S/4 HANAに関する共同検証を実施した。vSphere 6上でSAP HANAおよびSAPアプリケーションを稼働させる際のベストプラクティスを確立したとしている。

» 2016年02月22日 14時39分 公開
[@IT]

 NTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)、JSOL、EMCジャパン、ヴイエムウェアの4社は2016年2月22日、SAP S/4 HANAに関する共同検証の結果を公表した。4社では、vSphere 6.0の仮想環境上でSAP HANAを稼働させる際のベストプラクティスを確立したとしている。

 検証は、シスコ・システムズとSAPの協力を得て、SAPの究開発施設である「SAP Co-Innovation Lab Tokyo(COIL Tokyo)」を利用し、EMCのオールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」を用いた「TDI(SAP HANAテーラードデータセンター統合、SAP HANA認定ハードウェアを選択した構成)」にVMware vSphere 6.0で仮想環境を構築した上で、SAP S/4 HANAを稼働させて実施したという。

検証環境の構成(出典:ヴイエムウェア)
 検証環境の各要素
項目 内容
サーバ CISCO UCS C260-M2×2
ストレージ EMC XtremIO 7.5TB
バックアップストレージ EMC SYSTEM Data Domain160
ネットワーク装置 Cisco Nexus データセンタースイッチ 5548UP
仮想化ソフトウェア VMware vSphere 6.0
SAPソフトウェア SAP S/4HANA On Premise Edition
HANAの各DB サイズ 130GB(メモリ上)
主要SAP コンポーネント SAP ERP 607 - Central Applications SPS08 on NW 740 SPS10, including inbound Web Dispatcher/SAP Simple Finance 1503 SPS1505/SAP HANA Platform Edition 1.0 SPS09 Rev.96 including Lumira 1.25,Design Studio for HANA 1.3/SAP BI Platform 4.1 SPS05

 共同検証における各社の役割
社名 役割
EMCジャパン ストレージ装置の設定と、検証・評価に向けた性能値の採取手順化など
NTTデータGSL VMware vSphere 5.5上でSAP HANAを稼働させた実績を基に、TDI環境の構築ノウハウを提供し、仮想OSの設計と構築、ストレージ設定
ヴイエムウェア vSphere 6.0による仮想環境上にSAP HANAのテスト環境を構築し、vSphere 6.0の機能を活用したテストの実施に対するノウハウを提供
JSOL SAP HANAの各種検証評価
シスコ・システムズ UCSサーバやNEXUSを提供し、検証シナリオに対する技術的ナレッジ提供
SAP COIL Tokyoと、付随するSAPソフトウェアを提供

 「VMware vSphere High Availability」「VMware vSphere vMotion」によるHANAのサーバ移動、「HANA Storage esnapshots」と「XtremIO snapshots」を使った開発環境の構築、パフォーマンス測定、VMware vSphereテンプレートからのHANA環境の構築などを検証したという。

増加が見込まれるvSphere 6へのHANA移植を見据える

 4社がこうした取り組みを進める背景には、今後TDI上でのSAP HANAの稼働数の増加が見込まれることが挙げられる。

 vSphere 6.0は、既に非本稼働環境向けにはSAP HANA認定を取得しており、本稼働環境でも同認定を取得する予定だ。そのため、今後は、TDI上にvSphere 6.0の仮想環境を構築し、SAP HANAを稼働させる案件が増えることが見込まれている。今回の検証の目的は、こうした環境での運用技術を確立させると同時に、オールフラッシュストレージが高速性と運用性の両面で優位であることを実証する点にある。

 今回の検証の結果、vSphereとオールフラッシュストレージ(EMC XtremIO)を組み合わせてTDI環境にSAP HANAを構築することで、「コスト削減や高いストレージ運用性を実現できることが確認できた」としている。加えて、各検証環境の構築や操作手順も整備できたとしている。

インメモリDBでもオールフラッシュの効果

 これまで「SAP HANAはインメモリ型のデータベース管理システムなのでストレージ性能は関係ない」とされていたが、実証実験の結果、SAP HANAではデータ量が増大するにつれてHANA Dynamic TieringやSAP IQを使ったデータ階層化が一般化するため、オールフラッシュストレージのようにI/O性能が高いストレージの重要性が高まるとしている。

 4社では、vSphere 6上のSAP HANA/S4および対応アプリケーションとオールフラッシュストレージと組み合わせることで、次のような効果も得られるとしている。

 まず、I/O性能の高いストレージ装置を利用することで、SAPの起動時間が短縮でき、オンラインサービスレベルの向上を図ることができる。

起動時間の検証(出典:ヴイエムウェア)

 そして、スナップショット機能を活用することで、短時間でSAP開発環境を構築できたり、一時的な検証や障害発生時に必要なデータベースのリストア作業が短時間で実施できたりする。

バックアップ/リストアの検証(出典:ヴィエムウェア)

 また、vSphere 6.0の機能を活用することで、ダウンタイムを排除でき、SAP HANAを自動的に再起動できるようになるため、システムの可用性を高められるとしている。

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