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» 2016年03月09日 05時00分 UPDATE

特集:アジャイル時代のSIビジネス(2):エンジニアのモチベーションは、SIビジネスの源泉――クリエーションライン (1/3)

クラウドの浸透などを背景に、「SIビジネスが崩壊する」と言われて久しい。本特集では、今起きている“SIビジネスの地殻変動”を直視し、有効なアクションに変えたSIerにインタビュー。SI本来の在り方と行く末を占う。

[斎藤公二/構成:編集部/@IT]

 市場環境変化に対応する「スピード」が差別化の一大要件となっている近年、システム開発・運用にも一層のスピードと変化対応力が求められている。こうした中、従来のテクノロジに加えて、必要となればクラウドネイティブなテクノロジも率先して取り入れ、使いこなすことが重視されている。

 こうした状況は、ユーザー企業にとっては一つの課題だが、ビジネス支援を行うSIerにとっては一つのチャンスとなる。目的にかなうテクノロジの目利き役となり、最適なものを組み合わせ、柔軟に使いこなせることは「差別化の源泉」となるためだ。

 “SIビジネスの地殻変動”を有効なアクションに変えたプレイヤーの取り組みを紹介する本特集クラウドインテグレーターであるサーバーワークスの取り組みを紹介した前回に続き、今回はオープンソースソフトウェア(以下、OSS)とクラウドテクノロジを軸にしたインテグレーションに定評のある、クリエーションライン 代表取締役社長 安田忠弘氏のインタビューを紹介する。

この3年で、SI業界は“あり得ない変化”を遂げた

 2012年、国内で初めて「Chef」のサービス提供を開始するなど、クラウドネイティブな技術を使ったインテグレーション事業に強みを持つクリエーションライン。近年は、「Docker」を使ったマイクロサービスの構築や、「Apache Spark」を使ったビッグデータ分析基盤の構築を中心に、企業のシステム構築・運用に力を入れている。

ALT クリエーションライン 代表取締役社長 安田忠弘氏

 顧客は、大規模なクラウド環境を運営する通信キャリアやデータセンター事業者から、社内向け業務アプリケーションを開発したい企業、新事業としてWebサービス事業を立ち上げたい企業までと幅広い。マネージドサービス(Managed Services Provider)に代表される「伝統的なSIer」としての実績と、「最新のWeb技術に対する実践的ノウハウを持つ先進的なSIer」としての実績――この両輪でビジネスを回す独特のポジショニングが同社の特徴だ。

 代表取締役社長の安田忠弘氏は、近年のSI業界について「SIマーケット自体は好調で今後も広がっていくと思います。ただ、インテグレーションのやり方はどんどん変わっています」と指摘する。

 「インフラのコード化(Infrastructure as Code)の考え方が浸透しつつあるように、インフラの構築方法がかなり変わってきましたよね。Chefに注目してサービス提供を開始したのは4年ほど前ですが、当時は正直、顧客企業には受け入れられませんでした。その背景には“手作業バンザイ”といった文化もあったように思います。それが今は、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)に『Chefなどの構成管理ツールを利用すること』といった文言が入ってくるようになりました。当時は想像し得なかった変化です」

 同社がChefに注目したのは、クラウド環境が一般化し、管理やオーケストレーションに対するニーズが高まり始めたため。クラウド管理ツールの「enStratius」の国内展開を手掛ける中で、同ツールのキモとなる部分を担っているのがChefであることを知った。

 「他のクラウドとの差異をどう吸収するかという点で、構成管理が重要だと分かりました。調べれば調べるほど面白かった。そこでChef社にコンタクトを取って、日本でのサービス提供を開始したのです」

 当初のユーザーはWebサービスを展開する企業が中心で、一般的なエンタープライズでの利用はまったくと言っていいほどなかったという。その理由の1つとして、安田氏は「クラウド利用が本格化していなかった」ことを挙げる。AWS(Amazon Web Sevices)を積極的に使うような企業にとっては当たり前でも、クラウドを使っていない企業やサーバー仮想化が終わったばかりの企業にとっては、「コード化という考え方がそもそもそ受け入れられなかった」ためだ。

 もう1つは「ユーザーメリットが見えにくかったこと」。SIerに構築や運用を委託することが多いエンタープライズでは、クラウド環境の構成管理を自動化することが「ユーザー企業にとっての利益」にはつながりにくい。構築・運用を委託するユーザー企業にとってみれば、手作業だろうと自動だろうと関係がない。むしろ「コード化することで目に見えない部分ができる」ことが敬遠される要因にもなった。しかし、一般的なエンタープライズにもクラウドが普及し、納品のスピードが求められ始めると、“新しいやり方”を採用するメリットが出てきた。

 「インフラをコード化して、構築から運用、引き渡しまでを自動化することで、工数削減やミスのない作業につながることがユーザー企業にも理解されるようになりました。ユーザー企業がクラウドへのリプレースを検討する際に、『構成管理はどうするのか、プロビジョニングはどうするのか、ツールは何を使えばいいのか』といったことにまで話が及ぶようになってきたのです」

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