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» 2016年04月07日 10時00分 UPDATE

MSとクリエーションラインの提携が実現する「DevOps」とは:de:code 2016にDevOpsの黒船――Jenkins川口耕介、HashiCorp創業者、Chef、Mesosphereの開発者らが集結する理由

スタートアップ企業だけではなく、エンタープライズにも確実に普及し始めてきたDevOpsの波。この波を生かし、事業をスピードアップし、バリューを最大化していく企業の取り組みを支援すべく、マイクロソフトとクリエーションラインの2社が提携を結んだ。その背景には一体何が?

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 ITがビジネスを支える存在となり、市場がこれまでにないスピードで変化する中、「これまで通りのやり方」の開発スタイルに代え、顧客のニーズに合わせて迅速な開発、改善を可能にする「DevOps」を取り入れる企業が、国内でも少しずつ増加している。それも、Webサービスやスマホアプリ展開するスタートアップ企業だけではなく、いわゆる「エンタープライズ」企業が目を向け始めているようだ。

 一方で、「DevOpsに取り組んでみたいけれど、何から始めればいいのか……」「取りあえずChefを入れておけばいいの?」という声もちらほら聞こえてくる。単にツールの導入で終わることなく、企業の文化にDevOpsをしみ込ませていくには何が必要なのだろうか?

 アジャイルの伝道師として活躍し、今はマイクロソフトのシニアテクニカルエバンジェリスト DevOpsとして活躍する牛尾剛氏と、オープンソースソフトウェア(以下、OSS)とクラウドを軸にしたインテグレーション技術に強みを持つクリエーションラインの執行役員 鈴木逸平氏、代表取締役社長の安田忠弘氏に、「日本のDevOpsには何が必要か」「マイクロソフトとクリエーションラインが提携した背景」などを聞いた。

20160318_ait_devops_trio01.jpg 左からクリエーションライン 執行役員 鈴木逸平氏、同社 代表取締役社長 安田忠弘氏、マイクロソフト シニアテクニカルエバンジェリスト DevOps 牛尾剛氏

日本のエンタープライズでも受け入れられ始めたDevOps

 牛尾氏によると、長年、内外のDevOpsの浸透度には差があったという。「海外ではかなりDevOpsが広まっているイメージがあります。『DevOps Enterprise Summit 2015』などで事例発表を聞くと、大企業やお固いイメージのある銀行といったところもガンガンDevOpsに取り組み、マイクロサービスアーキテクチャを採用し、アジャイルで開発していくのが当たり前。結果として、ビジネスのスピードがとんでもないことになっています」(牛尾氏)

 一方で日本では長年、DevOpsに二の足を踏む企業が多かった。だが「2015年くらいから、少しずつその風景が変わってきているのを感じます」(牛尾氏)という。

 実践手段の1つとなる「Chef」を担いで、先陣を切って日本にDevOpsスタイルを紹介してきたクリエーションラインの安田氏も、風向きの変化を感じている。「4年前にChefを日本でスタートした当時は、一般的なエンタープライズの顧客には文化的に全く受け入れられませんでした。クラウド環境での構成管理を自動化することで顧客企業側にとって何のメリットがあるのか、理解されなかったことが原因です。しかし今は、『開発のスピードが上がる』『構築から運用、引き渡しまでを自動化することで工数削減やミスがない作業につながる』といったInfrastructure as Codeのメリットが理解され始めています。エンタープライズのユーザーさんが書くRFP(要件定義書)の中に、『Chefによる自動化を行うこと』といった文面が入るようになったほどです。やっと時代が来たことを感じています」(安田氏)

 DevOpsについて学べる場というと、夜や休日、コミュニティーが行う「勉強会」に自主的に参加するものという印象が強かった。しかし、ここにも変化が見られる。クリエーションラインがあえて昼間にDevOpsのセミナーを実施したところ、「きちんと会社に申請し、時間を割いて、エンタープライズ系の担当者が参加してくれています」(安田氏)という。

DevOpsを通じてビジネスバリューを実現するために手を組む両社

20160318_ait_devops_yasuda.jpg 安田氏「中にはトップダウンでDevOpsの話を振られるケースもあります。しかし、『第一歩を、どう踏み出せばいいか』『何から始めればいいのか』などで、モヤモヤしている人は多いと思います」

 このように、少しずつ変わり始めた風向きの中、DevOpsというキーワードに着目する企業は国内でも着実に増えている。こうした企業を手助けし、共にDevOpsを実践していくことを目的に、日本マイクロソフトとクリエーションラインは2016年3月23日に提携を結んだ。Microsoft Azure(以下、Azure)上でDevOpsを実現する「DevOps on Azure」を通して、日本企業におけるDevOpsの浸透を支援していく。

 具体的には、現在の開発スタイルとDevOpsとの間にある文化のギャップを埋める「DevOpsコンサルティングサービス」、ツール評価も含めて実際の導入を進めていく「DevOps導入支援サービス」の他、JenkinsをはじめDevOps実践に必要なツールをまとめたDockerイメージを、Azure上ですぐに利用できるよう設定済みの形で提供する「DevOpsクイックスタートサービス」を展開する予定だ。

 DevOpsというと、特にエンジニア目線では「Chefだ、Puppetだ、いやVagrantだ」といったツールや技術の話に目が行きがちだ。だが牛尾氏は「ツールは、自動化によって負担を減らしてくれるという意味で不可欠です。しかしDevOpsの本質は、ビジネス目的の達成に向けて、ニーズの変化と同じペースでビジネスを展開・改善し続けるために、いかに企業の考え方やプラクティスを変え、ビジネスバリューを生み出していくかということにあります」と断言する。

 クリエーションラインの鈴木氏は、こう付け加える。「エンタープライズが新しいITを入れようとすると、どうしても『技術』『製品』などの“モノ”から入ってしまいがちです。DevOpsに関しても、数年前はモノから入る傾向が主流でしたが、KDDIさんのようにDevOpsを取り入れ始めた先進的な企業では『本質はモノじゃない』ということに気付き始めています。モノは確かに必要ですが、最も重要なビジネス目的達成のために組織、文化、プロセスを変えていくことです」(鈴木氏)

8カ月半の業務プロセスが7日に短縮――バリューストリームマッピングの効果

 両社はそうした「DevOps」を体感できる場を、セミナーやハッカソンを通じて共同で提供していく。

 マイクロソフトはこれまでも、実践を通してDevOpsの考え方を身に付ける場として「DevOpsハッカソン」「HackFest」を実施してきた。今後もクリエーションラインと協力して、こうしたイベントを実施していくという。

20160318_ait_devops_ushio.jpg 牛尾氏「ツールが売れて万歳ではありません。ビジネスバリューが出てなんぼだと思っています」

 さらに、限定された顧客を対象に「バリューストリームマッピング」も実施していく。これは、ビジネスバリューを把握し、高めていくというDevOpsの本質を実現する上で非常に有効だという。

 「バリューストリームマッピングでは、新しいアイデアを思いついてから市場に出るまでのバリューストリームを見える化し、各フェーズにどのくらい時間がかかっているかを分析します。すると、『あ、ここは無駄だよね』『ここのリードタイムは短縮できるね』というのが分かってきます。こうした作業をお客さまと一緒に実施し、その結果を基にハックフェストを行い、導入を技術的に支援するという取り組みを進めていきます」(牛尾氏)

 実際、牛尾氏やクリエーションラインの前佛雅人氏らが、ある企業で共に実施したバリューストリームマッピングでは、「これまで8カ月半かかっていた業務プロセスを、わずか7日間に短縮できる」という結果が得られたそうだ。

 「企業の上層部も参加して、この衝撃を体感すれば、DevOpsをやらない理由がなくなります」と安田氏は振り返る。こうした大きな成果が得られたプロジェクトは、海外のカンファレンスで事例として紹介していくことも検討しているという。

OSSコミュニティーの一員として、既存の無駄を破壊しDevOpsを推進

 なお、今回の提携ではOSSの活用を支援することになるわけだが、長年、オープンソース畑でアジャイル開発のコンサルティングを実施してきたとはいえ、今はマイクロソフトに所属する牛尾氏。この点については「ツールで囲い込もうとしても、顧客が好きなものを選ぶことに変わりはありません。使う側としてはロックインほど嫌なものはありません」と断言する。今回の提携においても、「OSSも含めて適材適所で顧客の状況やニーズに合わせたツールを組み合わせ、DevOps自体を広げていければ」と考えているそうだ。

 「マイクロソフトも世界のOSSコミュニティーの一員として、DevOpsを推進していきたいと考えています。そして(ビジネス価値を生み出すまでの)『リードタイムが短くなった』『ビジネスバリューが高まった』という事例をたくさん作り、DevOps市場をどんどん大きくしていきたいですね」(牛尾氏)。

 事実、OSSはシンプルで使いやすく、導入障壁が低いと同時に、奥深くてカスタマイズも可能という特質を持つ。DevOpsを通じた破壊的なイノベーションの実現には欠かせない要素だ。牛尾氏が「技術力が高く、昔から大好きだった」というクリエーションラインはOSSの豊富な知見と高度な活用ノウハウを誇る。まさしく「パートナーとして最適だった」と牛尾氏は語る。

20160318_ait_devops_suzuki.jpg 鈴木氏「『なぜOSSじゃないといけないのか』『なぜDevOpsじゃないといけないか』を突き詰めると、ひと言で言えば『スピード』だと思っています。DevOpsによる生産性の向上や開発期間の短縮によって、世の中が求めているニーズに対応し、新しいサービスをデリバーできます」

 無論、クリエーションラインとタッグを組むことは「OSSを安心して使える体制を整える」上でも重要な意味を持つ。

 「ChefやDocker、Apache Sparkの認定資格エンジニアを育てるという形で私どもがサポートするだけではなく、開発元ときちんと接点を持っています。必要があれば米国からエンジニアを派遣してもらうなど、開発元からのバックアップ保証の下でDevOpsに必要な環境作りを支援します。特にOSSはバージョンアップの頻度が激しいですから、商用ソフトウェア以上に開発元との連携は重要です。こうしたサポートができることもわれわれの強みです」(鈴木氏)。

 Azureという、一元性のあるハイブリッドクラウドプラットフォームの存在も、大きなポイントだ。「何もWindowsじゃないとあかん、というわけではありません。AzureではOSSも使えるので、その点も楽しんでほしい」と牛尾氏は言う。

 もう1つ、ウオーターフォール式の開発とは異なり、リーン開発を軸とするDevOpsでは、既存のプロセスに含まれる「無駄」を見つけ、解消していく作業が不可欠だ。鈴木氏は「マイクロソフトとクリエーションラインには、良い意味で『破壊的』なところがあると思います。新しいバリューを届けるために破壊をするという点で波長が合ったのも、提携の要因だと思います」という。

de:code 2016のDevOps/OSSトラックはDevOpsの「黒船」襲来?

 今、グローバルではDevOpsの先進的な事例が次々に生まれている。「海外のカンファレンスの情報は日本語に訳すのも無駄なほど、開発スピードが速いですね。翻訳しているうちに更新されてしまいます」と牛尾氏は述べる。

 このスピード感と空気を伝えるため、マイクロソフトが2016年5月24日、25日に開催するイベント「de:code 2016」では「DevOps/OSS」トラックを設け、多くのゲストスピーカーを招く予定だ。「西海岸で今起こっていることを、東京に丸ごと持ってきます。世界のDevOpsが分かるイベントにして、日本のDevOpsに『黒船』を来襲させます」と牛尾氏は言う。

 「黒船」は決して大げさな表現ではない。クリエーションラインの協力も得て、「Mesosphere DCOS」の開発者であるアーロン・ウィリアムズ氏、HashiCorp創業者のミッチェル・ハシモト氏、Jenkinsの開発者である川口耕介氏、Chefのバイスプレジデント、ジェームズ・ケーシー氏ら、そうそうたる開発者が来日。マイクロソフト側からも、DevOpsチームを率いるサム・グッゲンハイマー氏が参加する。

 牛尾氏自身も、チョークトークのモデレータとして登壇する。参加者は、牛尾氏が「日本一のDevOpsガイ」と表現する吉羽龍太郎氏、Dockerの第一人者であるクリエーションラインの前佛氏、そしてマイクロソフトの高添修氏といった具合だ。

 鈴木氏は「米国のDockerConやMesosConに行っても、日本人がほとんど来ていないんです。数えても数人程度で、あれだけの情報が日本に流れていないのはもったいないと常々考えていました。そこでマイクロソフトさんの協力を得てde:code 2016のDevOps/OSSトラックをやることになった。それも海外の場合、ChefならChefだけ、DockerならDockerだけのところを、みんなまとめてやってしまおうと。その方が忙しい日本人に合っていますし」と笑う。

 「DevOps」トラックでは、技術解説もさることながら、DevOpsの事例紹介に力点を置くという。DevOpsによって自社の文化がどのように変わったのか、その空気を共有することによって、「日本の企業も世界のスピードの中に飛び込んで、世界の競争の中で勝っていけるきっかけになれば」と牛尾氏は期待を寄せる。鈴木氏も「OSSという誰もが使える素材を使って、同じスタートラインから始めて、良いものをより早く世の中に出して世界で活躍できる最後のチャンスだと思います」と述べている。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年5月8日

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