Special
» 2016年04月28日 17時00分 UPDATE

人工知能が発達したら今の「エンジニア」という職種がそのままで通じるとは限らない:ヤフー「myThings」とAzureのエバンジェリストがこれからのエンジニア像について語る

ヤフーでmyThingsのエバンジェリストを務める水田千惠氏と、日本マイクロソフトでMicrosoft Azureのエバンジェリストを務める砂金信一郎氏との対談を通じて、「若手エンジニアのキャリア」について探る。特に、今後エンジニアとしてのキャリアパスを模索している若手エンジニアの参考としてもらいたい。

[PR/@IT]
PR

 ヤフーが2015年7月にリリースしたアプリ「myThings」が、コアなデベロッパーたちの間で注目を集めている。myThingsをひと言で説明すれば、「モノとモノ、モノとWebサービス、WebサービスとWebサービスをつなぐためのアプリ」。さまざまなWebサービスやハードウェアデバイスがAPIを通じてmyThingsのプラットフォームにつながり、互いに連携することで、Webサービス単体やデバイス単体では決して成し得なかった新たな価値を次々と生み出している。

 これまで、Webサービス同士を連携させるプラットフォームは存在したが、myThingsは、それだけではなくハードウェアデバイスとの連携も可能にした「IoT領域のプラットフォーム」である点が大きく異なる。このmyThingsの生みの親の1人であり、またサービスの普及・啓蒙活動を推進するエバンジェリストを務めるのが、ヤフー スマートデバイス推進本部の水田千惠氏だ。

 エバンジェリストという職種は、製品の啓蒙活動を行うエンジニアの肩書としてよく知られるが、ヤフーではまだ耳にする機会は少ない。そんな中、水田氏はなぜエバンジェリストを志したのだろうか? これまでどんなキャリアや経験を積んできたのだろうか? 日本マイクロソフトでMicrosoft Azureのエバンジェリストを務める砂金信一郎氏との対談を通じて、「エンジニアのキャリア」について探る。特に、今後エンジニアとしてのキャリアパスを模索している若手エンジニアの参考としてもらいたい。

「エバンジェリスト」にとって大事なのは製品/サービスへの“愛”と“吸引力”

砂金氏 水田さんとはハッカソンの現場で遭遇率が異常に高いのですが、こうやって詳しくお話聞くのは初めてですね。水田さんは、myThingsのエバンジェリストになる前はどんな仕事をされていたのですか?

水田氏 ヤフーにはもう10年以上在籍していて、もともとは位置情報系サービスを担当していました。その後、新ビジネスの開拓を行う部署に移り、そこで「来るべきIoT時代に、ヤフーとしてこんなことができるのではないか?」と上層部に提案し、社内で同じような取り組みをしている複数の部署と一緒に立ち上げたのが、myThingsのプロジェクトでした。

砂金氏 なるほど。myThingsはご自身で提案して立ち上げたプロジェクトだったのですね。そういえば、位置情報系サービス時代にジオガールズとかやってませんでしたっけ。もしかして黒歴史?(笑)積極的に露出する傾向は、その頃からあったのかもしれませんね。今では結果的にmyThingsのエバンジェリストとして活動されているわけですが、もともとエバンジェリストを志したきっかけは何かあったのでしょうか?

水田氏 位置情報系サービスを担当していたころに、グーグルと共催イベントを開催し、そこでGoogle MapsのDeveloper Advocateを務めていたマノ・マークスさんの話を聞き、製品/サービスに対する愛の深さや熱量の高さに感銘を受けました。そこで「自分もこんなふうに、自分の仕事について熱く語れる人になりたい!」と思ったのがきっかけでした。

砂金氏 そうやって熱量の高い人に触発されて、心の火が点く瞬間ってありますよね。そのような体験を契機に、突然変異的に行動に移せる人がエバンジェリストという道に進むような気がします。逆にいえば、「こういう本を読めばエバンジェリストになれる」「こういう技術を身に付ければエバンジェリストになれる」というものではない。

 弊社の西脇や澤もいわゆるエバンジェリスト本を書いており、読めば確かにプレゼンテーションは上手になるかもしれませんが、最終的には圧倒的な技術愛や熱量による共感がないと、プロのエバンジェリストにはなれないと思います。

ヤフー スマートデバイス推進本部 水田千惠氏

水田氏 そうですね。あともう1つ大きなきっかけになったのが、東日本大震災の直後に、社外のエンジニアの方々と協力してボランティアで復興支援プラットフォーム「Sinsai.info」の運用などに携わった経験でした。この経験を通じて、エンジニアの方々が自身のスキルを生かして世の中の役に立っている姿を目の当たりにして、ものを作るスキルの重要性を思い知らされました。それ以降、独学でプログラミングの勉強も始めました。

砂金氏 水田さんは、もともとエンジニアだったわけではなかったのですね。独学で勉強されてエバンジェリストになるのは、キャリアパスとしてはとてもユニークですね。私のチームにも最近文系の大学を卒業して3年間の独学でエンジニアとしての技術を身に付けた、漫画家でもある“ちょまど”さんを若手エバンジェリストとして採用しています。

水田氏 ネットで拝見しました。熱意を持って取り組めば、プログラミングの習得は意外と早いのかもしれません。

砂金氏 ちなみに先ほど、製品/サービスに対する“愛”という話が出てきましたが、これもエバンジェリストにとっての重要な資質だと思いますね。私も普段、仕事がどれだけ辛くても、最後の最後にはMicrosoft Azureに対する愛があるからぎりぎり乗り越えてこられたような気がします。まして水田さんは、myThingsの生みの親の1人でもあったわけですから、製品/サービスに対する愛はかなり深いのではないでしょうか?

水田氏 そうですね。「こういうサービスを実現したい」「こういうサービスに育て上げていきたい」という、生みの親ならではの愛着は深いですね。それに、myThingsがターゲットにしているIoTという領域自体が、まだ世の中に広く定着していないこれからのソリューションですから、プロジェクトのメンバーがそれぞれ自分のこととして、「どういうサービスを作りたいか」について愛を持って考えて進んでいくことが大事だと思います。

砂金氏 自社製品だけをゴリ押しせず、IoTという領域自体を広めようという目線の高さは重要ですね。「技術で世の中をよくしよう」という高い視座を持ちながら、愛着やこだわりを持ってがむしゃらに頑張る人には自然と魅力が出てきますし、それに惹かれてさまざまな人たちが集まってきてコミュニティーやエコシステムが形成されていきます。エバンジェリストというのはまさに、そういう“吸引力”を持った人のことを指すのだと思います。

「エバンジェリスト」と「圧力団体」のフィードバックサイクルが製品/サービスをより良くする

砂金氏 ちなみに、myThingsを使ってサービスを開発したり、新しいことにチャレンジしたりしている方々って、どんな人が多いのでしょうか?

水田氏 IoTを使ってどんなサービスが可能か、それを使って社会にどんな影響を与えられるのか、そういったことを日々考えているような方々に興味を持っていただいています。例えば、大学の先生方や、各種コミュニティーのオーナーの方などが多いですね。そういう方々と一緒に、ハンズオンやプロトタイピングを行うような場を提供しています。

砂金氏 なるほど。「myThings使って、こんなの作ってみた、ハックしてみた」という情報発信が多いように見えるのは、キーインフルエンサーをうまく巻き込んでいるからなのですね。myThings自体のコミュニティーというのはないのですか?

水田氏 今のところはmyThings自体のコミュニティーを作って引っ張っていくというよりは、いろんなコミュニティーにmyThingsのことを知っていただき、その中でさまざまな使い方を模索していただければと考えています。

砂金氏 水田さんとは以前から、よくIoT系のハッカソンなどでお会いする機会がありましたよね。私たちエバンジェリストがハッカソンに参加する場合、一参加者というよりは、自分が担当しているサービスやプラットフォームを紹介する側の立場であることが多いかと思うのですが。

水田氏 そうですね。ハッカソンの場では実際にクラウド基盤上で動いているmyThingsを使って、センサーから送られてきたデータをトリガーにWebサービスを動かしたり、逆にインターネット上の何らかのトリガーを契機にモノを動かしたりと、「IoTプラットフォーム」としてのmyThingsの特徴を、より一層つかんでいただけるような体験を提供できるよう工夫しています。

 ただ、ハッカソンイベントの限られた時間の中で体験できることには、おのずと限りがありますし、私たちのやり方にもまだ至らないところも多くあると思いますので、そうした点は参加者の方々からフィードバックをいただき、それを基にサービスのブラッシュアップに取り組んでいます。

日本マイクロソフト デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部 エマージングテクノロジー推進部 部長 砂金信一郎氏

砂金氏 それはとても良いサイクルだと思います。私も日頃、エバンジェリストとしていろいろなところで話す機会が多いのですが、そういうときにいつも最前列に陣取って、「良い意味でのプレッシャー」を掛けてくれる熱心なエンジニアの方々がいます。最新技術を常に追い続け、変態的にハックする、私たちはそういう方々のことを、敬意を込めて「圧力団体」と呼んでいるのですが(笑)、そうした方々の期待にどう応えればいいのか日々考え続けることでエバンジェリストとしてのスキルが磨かれていきますし、バグや製品仕様に関するフィードバックを頂くことで製品/サービスをより良くしていくことができます。

 若いエンジニアの方々には、「エバンジェリストにプレッシャーを与える変態的エンジニア」になってもらいたいものです。こちらは仕事がやりにくくて仕方ありませんが(笑)。

職種にとらわれず、会社の垣根を越えて行動を起こしていくことが大事

水田氏 若いエンジニアの方々には会社の垣根をどんどん越えて、少しでも興味のある分野があれば、勉強会やハッカソンなど社外の集まりに積極的に参加してほしいですね。そうやって実際に触ってみる、使ってみる、そしてその分野の第一人者の方と直に話してみる、そういう行動を起こすことで、私がエバンジェリストを志したように、エンジニアとしての新しいキャリアも開けていくのではないでしょうか。

砂金氏 技術系の集まりだけではなく、ビジネス系のスタートアップイベントなどにもいろいろなアイデアが転がっています。「自分のアイデアで世界を変えよう」という意気込みの起業家の方々によるピッチコンテストなどは、エンジニアにとってもすごく刺激になると思います。「俺だったら、こんなふうに実装するのに!」といったアイデアが浮かぶかもしれませんし、何より、多くの起業家は優秀なエンジニアとの出会いに飢えてます。

水田氏 そうですね。人工知能が発達したら今の「エンジニア」という職種がそのままで通じるとは限らないと思います。「エンジニアだからビジネスのことには興味ない」「ビジネス側の人間だからエンジニアリングには興味がない」ではなく、職種にとらわれず、どうすれば良い未来を作っていけるかを皆で考えていけるような機会を、会社の垣根を越えてどんどん作っていきたいですね。そうした取り組みには私も微力ながらぜひお手伝いできればと思っていますので、もし機会があればぜひ声を掛けてください。

砂金氏 人工知能の発展でなくなる職業という話題が少し前に話題になりましたが、エンジニアも例外ではなくて、単に詳細仕様書を枯れた技術でコーディングするだけのプログラマーや、サーバ監視やパッチ充てだけを粛々と行うエンジニアは人工知能に取って代わられる可能性がありますね。私の社会人としての最初のキャリアは日本オラクルでのデータベースエンジニアだったのですが、既に環境構築やチューニングなどの領域はクラウドやハードウェアの発展で仕事が少なくなってきてますしね。反対に、人工知能や機械学習、深層学習を使いこなせるエンジニアには、新しいチャレンジがいくらでもあるように思えます。ゼロスタートでこれから始まる分野なので、圧倒的な経験を積んだ先人がいないのも、若いエンジニアには魅力的と思います。

 いろいろお話ししてきましたが、5月24日、25日に日本マイクロソフトが主催する有償のエンジニア向けイベント「de:code 2016」があります。myThingsも展示会場で展示いただく予定ですよね。楽しみにしています。

水田氏 ありがとうございます! myThingsアプリを使った組み合わせの事例や、エンジニアの皆さまにIoTを体験いただけるようなデモンストレーションをご用意する予定です。

砂金氏 今回のde:code 2016では、マイクロソフトの技術だけではなく、オープンソースソフトウェアやDevOps、クロスプラットフォーム開発などの話題も多く取り上げています。もちろん、IoT関連のセッションもありますので、水田さんにも楽しんでいただけるのではないかと思います。

水田氏 セッションはもちろんですが、会場で多くのエンジニアの皆さまに直接お会いできるのも楽しみですね。

砂金氏 まさに、そこが重要です。de:codeには、日本マイクロソフトのさまざまな製品/サービスのエバンジェリストや海外からのゲストスピーカーたちが、それぞれの分野の第一人者、専門家として登壇します。どの面々も製品愛にあふれていて、熱量の高い人間ばかりですので、彼らの熱意に触れることは今後のキャリアを考える上でとても良い体験になるのではないでしょうか。キャリアアップを目指すエンジニアの方々にとって、ぜひ“気づき”の場を提供できればと考えています。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月9日

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。