ソラコムは24億円の資金調達で、どう海外進出を進めようとしているか玉川憲氏に聞いた

ソラコムは2016年5月11日、約24億円の資金調達を完了したと発表した。海外進出と新サービス開発に活用するという。代表取締役社長の玉川憲氏に、これについて聞いた。

» 2016年05月11日 08時30分 公開
[三木 泉@IT]

 IoTモバイル通信プラットフォームのスタートアップ企業、ソラコムは2016年5月11日、約24億円の資金調達を完了したと発表した。代表取締役社長の玉川憲氏に、これについて聞いた。

 これは「Series B」(第2ラウンド)の資金調達で、リードインベスターは既に同社へ投資しているベンチャーキャピタルのWorld Innovation Lab(WiL)。Infinity Venture Partnersの他、社名は公表していないものの事業会社も今回のラウンドに参加している。

 今回調達した資金は、海外進出および新サービスの開発に充てるという。

 海外進出については、「既存顧客からグローバルで使えるようなサービスにして欲しいという要望が多い」(玉川氏)。まずはこれに応えることを考えながらも、現地ユーザーを開拓していきたいという。

 「M2M/IoT市場の規模は、欧州、米国それぞれが日本の10倍。米国ではシリコンバレーなどで先進的な取り組みがなされていて、ソラコムのようなクラウドを活用したサービスが受け入れられやすい」と玉川氏は見る。

 グローバル展開のためには、対象国の携帯通信事業者とMVNO契約を交わす必要がある。だが、それ以外に大きな投資は必要ないため、海外進出を有利に進められるという。ソラコムの場合、Amazon Web Services(AWS)上でソフトウェアによって通信処理機能を実行しているからだ。同社が現在運用している通信処理機能を、AWSの適切なリージョンでニーズに応じた容量で稼働すればいい。

 MVNO契約のしやすさは、地域によって異なる。「例えば欧州では域内を幅広くカバーする携帯通信事業者がいる。MVNOも当たり前で、当社としてもやりやすい」。進出しやすいところからサービスを展開。並行してセールスおよびマーケティングのための拠点を海外につくっていく。2016年中に海外でのサービスを開始し、海外拠点を少なくとも1つ開設したいという。

 新サービス開発については、2つの方向性があるという。一つは簡単に使えるセキュリティの追加機能。もう一つは、パブリッククラウドのIoT関連サービスとの連携を強化だという。「IoTではクラウドが必須だが、パブリッククラウドは多数の関連サービスがあり、使いこなすのも難しい。「既にSORACOM Funnelでは、Amazon Kinesis、Amazon Kinesis Firehose、Microsoft Azure Event Hubsへのデータ転送を自動化しているが、こうしたサービスを強化し、トータルなIoTシステムを簡単に構築できるようにしていきたい」と玉川氏は話している。

 SORACOMサービスは2000以上の顧客に利用されていて、パートナーは150社に達しているという。最近の事例としては、楽天Edyが楽天Koboスタジアムで移動販売のEdy対応決済端末に活用し、通信コストを削減している例、東海クラリオンが業務車両向けのドライブレコーダーで、運行データおよび事故発生時の映像を送信するために用いている例、日本カルミックがソープディスペンサーなどの衛生設備の利用状況を可視化するために利用している例などがあるという。

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