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» 2016年05月23日 05時00分 UPDATE

DRBDの仕組みを学ぶ(10):災害対策システム構築に向けた、パブリッククラウドの仮想マシンの準備手順 (1/2)

DRBDとDRBD Proxyを軸に、データを遠隔地にもバックアップして万が一の事態に備える「災害対策システム」の構築テクニックを紹介する本連載。今回は、“遠隔地”に据えるPaaS型クラウドサービスの仮想マシンの準備手順を解説します。

[澤田健,株式会社サードウェア]

連載バックナンバー

 現在、地震や台風などの自然災害をはじめとする、さまざまな業務リスクをカバーする事業継続計画(BCP)/災害復旧(DR)対策の必要性が叫ばれています。

 これまで、オープンソースの冗長化支援ツール「DRBD(Distributed Replicated Block Device)」と、そのオプション製品である「DRBD Proxy」を用いたBCP/DR対策となる「災害対策システム」の構築方法について解説してきました。

 本連載で構築する災害対策システムは、DRBDとDRBD Proxyを軸に「データを別の場所のバックアップサーバへリアルタイムにバックアップ(レプリケート)」しておき、万が一本番サーバに障害が発生したとしても、「バックアップサーバにすぐ切り替え」てサービスを継続する/ダウンタイムを極力減らす(事業を継続させる)ことを目的としています。

 ポイントは、「別の場所」にもう1つ(あるいは複数)のバックアップ/クローン環境を作ることです。地理的に離れた場所にもデータを保存しておくことで、万が一大きな災害が発生してシステムが破損してしまったとしても、物理的な被害を避ける形でデータを保護できます。また、本番サーバに障害が発生したとしても、バックアップサーバに切り替えてそのままサービスを継続できます。

 ただし、都合のいい遠隔地を自前で確保し、さらにもう1台の物理サーバを用意するのは大変です。そこで、別の場所を簡単に確保するのに適している「クラウドサービス」を使います。今回は、具体的な「クラウドの仮想マシン(インスタンス)の構築手順」について、IBMの「SoftLayer」を例に手順を解説していきます。

※ もちろん、他社のIaaS、あるいはVPS(仮想専用サーバ)サービス、例えば、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、さくらのクラウドなどを使う場合も本稿のポイントは流用できます。



SoftLayerに仮想マシンを構築する

注意事項

 なお、今回は本番サーバとバックアップサーバ、計2台の仮想マシンを作成します。SoftLayerは、初回のみ1台の仮想マシンと一部の機能が無料で使える30日のお試し期間(無料トライアル)がありますが、今回のようにSoftLayerで仮想マシンを2台作成する場合は無料トライアル範囲から外れますのでご注意ください。

 具体的には、1台目は無料トライアルが適用されますが、今回の構成では、2台目で1時間5円〜10円ほどの課金が発生します。また、停止状態(作業していないときなど)でも課金は継続されます。検証が済み、継続して利用しない場合は、仮想マシンを削除する作業が必要です。

 また、無料トライアル期間の終了後は1台目にも課金が発生します。無料トライアル期間の終了後、継続して利用しない場合は仮想マシンをアニバーサリービリングデート(Anniversary Billing Date:個々人の課金が更新される日時)の24時間前に削除を行ってください。重ねてご注意ください。

 仮想マシンの削除方法は後述します。

photo 「SoftLayer」のWebサイト

 では、仮想マシンをSoftLayer上に作っていきましょう。今回は、以下のような構成を目指します(図1)。

photo 図1 SoftLayer上に2台の仮想マシンを配置し、DRBDでリアルタイムにデータ複製を行う

 SoftLayer管理ポータル画面の、「デバイス」→「デバイス・リスト」を選び、「デバイスの注文」を行います(図2)(図3)。

photo 図2 「デバイス・リスト」を選択
photo 図3 「デバイスの注文」をクリック

 幾つかある仮想マシンの種類と課金体系のうち、「時間単位」の「仮想サーバー(パブリック・ノード)」を選びます(図4)。

photo 図4 「仮想サーバー(パブリック・ノード)」の「時間単位」を選ぶ

 「デバイスの注文」の詳細画面に遷移します。

データセンターの選択

 詳細の注文画面より、仮想マシンの数量とデータセンターの場所(ロケーション)を選びます。今回は2台分ですので、数量は「2」。SoftLayerには東京データセンターがあります。今回の検証では、日本で使うならば通信の遅延が少ないと想定される「Tokyo」にします(図5)。

photo 図5 仮想マシンの台数と、利用するデータセンターの場所(ロケーション)を選ぶ(なお、今回は同じデータセンター内に仮想マシンを配置した、データ保護の安全性を高めるならば別々のデータセンターに配置することを勧める。ただし、データセンター間の物理的な距離が離れるほど、通信速度に影響がある)

ワンポイント:「災害対策システム」の本運用まで進んだら

 第7回目「今こそ真剣に考える“災害対策システム”──クラウドと“DRBD Proxy」ですぐ構築する方法”」で、大規模な災害に備えるシステムとその考え方について解説しました。

 この際には、メインである一号機を物理サーバに、バックアップ先の二号機にクラウドを使い、遠隔地にデータを保護するシステムを作りました。しかし、物理サーバの初期費や運用費を考えると、クラウドへ「両方とも構築する」こともクラウドサービスのコストメリットを享受できる手段です。

 例えば、一号機を東京データセンターの「Tokyo」に、二号機を米国のデータセンターである「Dallas」に構築し、クラウド間での遠隔地データ保護の体制を構築することもできます。

 この他、クラウドサービスは、事業者の都合で急にサービスメンテナンスが入る可能性があります。しかし、他のロケーションにもう1つの環境があればどうでしょう。メインで使うロケーションで急なメンテナンスがあったならば、他方(他国など)のデータセンターでの運用に切り替えてサービスを継続する。そのような体制も整います。

photo クラウドを活用すれば、遠く離れた場所にバックアップ環境を構築するのも手元の作業で行える

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