なぜ、いろいろな「暗号技術」が必要なの?セキュリティ、いまさら聞いてもいいですか?(9)(2/4 ページ)

» 2016年06月15日 05時00分 公開
[増井敏克@IT]

「共通鍵暗号」の仕組み

具体的な暗号技術の例を教えてください。


まず、シンプルな「共通鍵暗号」から紹介しましょう。


 暗号技術の中で最も基本的なものの1つが、「共通鍵暗号」です。名前の通り、データを送る側と受け取る側が、“共通の鍵”を使う方法です。送信側が情報を金庫に入れ、鍵を掛けて(暗号化して)送り、受信側がそれをスペアキーで開ける(復号する)様子をイメージするとよいでしょう。これにより、情報を暗号化して相手に届けることができます(ここでいう「鍵」は、一種のデータだと考えてください)。

 ところが、この方法には問題があります。「どうやって相手に鍵を安全に渡すのか」という点です。相手が近くにいれば、ディスクなどに保存して手渡しすることも可能かもしれませんが、それでは通信のメリットがなくなってしまいます。また、やりとりする相手が増えると、その分だけ鍵も増えていくため、鍵の配布や管理が大変になります。

 さらに、「鍵を渡した相手が本人であるとどう保証するのか」も問題です。もしも鍵が正しい通信相手ではない人の手に渡ってしまった場合、情報の中身を不正に見られたり、書き換えられたりしてしまう危険性があります。

Quiz: 鍵を相手に安全に渡す方法はないのでしょうか?

次ページからは、「公開鍵暗号」の仕組みを解説します。

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