ソラコムがグローバルSIMで海外展開を開始、2つの新サービスも120カ国以上でサービス利用が可能に

IoTプラットフォームを提供するソラコムが、本格的な海外展開を開始した。2016年7月13日、世界120カ国を超えるグローバル対応を発表。またネットワークセキュリテイとIoT端末へのリモートアクセスで、新サービスをリリースした。

» 2016年07月13日 12時00分 公開
[三木 泉@IT]

 IoTプラットフォームを提供するソラコムは2016年7月13日、世界120カ国を超えるグローバル対応を発表、またネットワークセキュリテイとIoT端末へのリモートアクセスで新サービスをリリースした。

 ソラコムのIoTプラットフォームサービスは拡大を続けている。同社は顧客数が3000を超えたと発表した。

 日本企業のグローバルなIoT展開には、当然グローバルなサービスが必要になる。ソラコムは今回、グローバルSIMの提供開始を発表した。これは日本以外での利用に特化した国際ローミングが可能なSIMで、北米、欧州、アジアを中心に120カ国以上で使えるという。一方、例えばアフリカは、現時点で大部分がカバー範囲から外れているため、今後対応していきたいとしている。

グローバルSIMを持つソラコム社長の玉川憲氏

 モバイル通信を使ったサービス機能を製品に組み込みたいユーザー企業は、日本以外については製品をどの国に出荷する場合でも、このグローバルSIMを搭載すればいい。通信の有効化や無効化は、個々のSIMについて管理コンソールあるいはAPI経由で実行できるため、例えば製品の販売と同時に有効化するといったことが可能になる。

 料金体系は、大まかには国内向けの既存サービスと同じ。1枚単位の発行手数料、基本利用料金、従量料金で構成される。だが、当面は時間帯、上り下り、速度クラスに応じた料金の違いは設定しない。また、国際ローミングSIMではよく見られることだが、接続国を3つのゾーンに分け、これによって料金レベルを変えている。また、料金は米ドル建てとなる。

 料金表は7月13日時点で公表されている。グローバルSIMは、まず「PoCキット」として、30枚をセットとし、6カ月間の基本料金および300ドル相当の利用料金をパッケージしたものを提供する。1枚単位での発行開始時期については、ユーザーの意向を受けて検討するという。

 海外における利用をサポートするには、Amazon Web Services(AWS)の海外リージョンでのパケット交換サービスの稼働が欠かせない。ソラコムでは7月13日、AWSフランクフルトリージョンで、同サービスの稼働を正式に開始した。印刷機械の小森コーポレーションは、欧州で印刷機械を接続、稼働データを取得して付加価値ソリューションを提供するための検証を進めているという。

 また、ソラコムは7月6日に、未来創生ファンドからの資金調達を発表したが、このファンドに出資しているトヨタと KDDIは、2社が推進するコネクティッドカー向けグローバル通信プラットフォームにおけるSORACOMサービス利用について、協議を進めていくと発表した。2016年度中に、一部地域で技術検証を予定しているという。

 日本企業の海外活動サポートに加え、ソラコムは海外企業へのマーケティング活動を進めている。シンガポールと欧州には現地法人を設立済み。米国でも設立に向け準備を進めていくという。

新サービス、「Door」と「Gate」とは

 ソラコムが同時に発表した新サービスは、インターネットVPN接続の「SORACOM Door」と、デバイスへのリモートアクセスサービス「SORACOM Gate」の2つ。

 SORACOM Doorは、他のデータセンターやユーザー拠点との間でのプライベートな接続を、安価に提供するサービス。AWSの機能を活用している。すなわちAWSでは、VPCへのプライベート接続を、基本的にはIPsec VPNと専用線接続の2通りで提供している。ソラコムは、専用線接続については「SORACOM Direct」というサービスを既に提供している。もう一方のIPsec接続を提供するのが今回のSORACOM Door。このため、顧客は、AWS認定のIPsecルータを用いることで、SORACOMサービスにプライベート接続できる。

 もう1つのSORACOM Gateは、SORACOMサービスで接続されているIoT端末に対し、顧客拠点や他のデータセンターから、レイヤ2で接続できる機能。例えばネットワークカメラのリモートメンテナンスをしたい場合、遠隔拠点からカメラにプライベートIPアドレスで直接アクセスできる。

 Gateでは、SORACOMサービスのVirtual Private Gateway(VPG)と顧客拠点をVXLANで接続する。VPGには各端末用に、顧客拠点のプライベートIPアドレスレンジに基づいたプライベートアドレスを割り当てられる。一方、IoT端末側には固定プライベートIPアドレスを付与できる。VPGでは、この2種類のプライベートIPアドレスの間の変換を実行する。管理コンソールでは、各端末に割り当てられた固定IPアドレスとVPG上で割り当てられているIPアドレスのひも付けを管理できる。

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