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» 2016年07月21日 05時00分 UPDATE

ITエンジニアの未来ラボ(12):さまざまな技術が混じり合う現在、必要とされているコミュニティー本来の役割とは (1/2)

マイクロソフトの技術とOSS技術の融合が急速に進んでいる昨今、その影響がコミュニティー活動にも波及しているという。最近のコミュニティー動向についてHokuriku.NETとPOStudyの運営者に聞いた。

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 2016年5月23日にさまざまなコミュニティーが集結するアンカンファレンスイベント「Japan ComCamp meets de:code」が開催された。これは、2016年5月24日、25日に開催された日本マイクロソフトのエンジニア向けカンファレンス「de:code 2016」の前日に、同じ開場で開催されたアンカンファレンスイベントだ。マイクロソフトの技術とオープンソースソフトウェア(OSS)技術の融合が急速に進んでいる昨今、その影響がコミュニティー活動にも波及しているというので、本稿では最近のコミュニティー動向について主催者に聞いた。

左から、日本マイクロソフト デベロッパー&エバンジェリズム統括本部 マーケティング部 Senior Audience Evangelism Manager 熊本愛華氏、Hokuriku.NETの鈴木孝明氏(グラニ アプリケーション部 エンジニア、Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies(Visual C#))、POStudyの関満徳氏、(グロースエクスパートナーズ ITアーキテクト、Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies(Visual Studio ALM))、マイクロソフトコーポレーション デベロッパーエバンジェリズム統括本部 オーディエンス&プラットフォームマーケティング オーディエンスエバンジェリズム マネージャー 松野千晶氏

社会人からプログラミングを始めてコミュニティー活動に出会う

 鈴木氏が、プログラミングを始めたのは、2007年に社会人になってからのこと。プログラマーになった動機は、「とにかくPCが好きで、取りあえずPCが仕事で活用できそうな地元の企業、福井コンピュータに勤めよう」と思ったからだという。

 「そこでC++のプログラミングを教えてくれた研修担当者が小島富治雄さんで、Microsoft MVP(Most Valuable Professional、以下MVP)だったんです。小島さんが僕を引きずり回して、『勉強会に行け! 行け!』みたいな感じでした。入社2カ月くらいなのに、300人くらいの前で、東京でLT(ライトニングトーク)させられたのが初めてのコミュニティー参加だったんですよ(笑)」(鈴木氏)

 6カ月続いたC++の研修が終わるときに、小島氏に「C++を教えていたけど、実はC#だったら、こんなにかっこよく書ける」と言われ、鈴木氏は「これはC#をやらないとまずいな」と思うようになり、2008年にC#の学習を始めた。ちょうどそのころからC#には「LINQ」という機能が追加されたため、「C#ってめっちゃ簡単じゃん! やるべきじゃん!」となり、小島氏がC#のMVPであることに後から気付いたこともあって、勉強会に行くようになったという。

 鈴木氏が参加するようになったのは、北陸地方で開催されている「Hokuriku.NET」という勉強会のコミュニティー。そこでは、持ち回りでスピーカーを担当しており、鈴木氏も講演するようになる。その後C#の見識を深め続け、2012年7月にC#カテゴリでMVPを受賞した。

 「MVPになると、北陸だけではなくて、全然違う地方の方とも知り合うことができました。FacebookやTwitterなどでも、みんなフランクに話してくれるし、『ぜひ、こっちの勉強会にも来てよ』などと誘ってくれます。新潟や、岡山の方からも。そういうのもうれしいですね。お互いの地域に呼び合うという感じで。僕らは最初、北陸でしか活動していなかったのですが、東京の人たちに『今度ぜひ来てください!』って言ったら、『いいよ!』って、すごい軽いノリで来るんですよね。しかも自費で(笑)」(鈴木氏)

 また鈴木氏は、MVPになってからは、Twitterでつぶやいたり、ブログを書いたりするだけでも、勉強会の場で会ったことのない人たちから「あっ、鈴木さんですか? 前からお会いしたかったんです」と声を掛けられるようになる。「それは、ぐっと来るものがあるというか、頑張ってきたんだなと思えました。いっぱい発信すると返ってくるものがある。輪が広がっていくと感じました」(鈴木氏)。

 鈴木氏は、それで満足しない。「自分よりも、もっとデキる人がいる環境がないと、もっと自分も勉強できない。それを求めたら、自分が外から見ていても尊敬できるなって思える人たちのところに行くしかない。そう思って、2015年の9月半ばくらい東京に出て来てグラニに入りました」(鈴木氏)。

一歩を踏み出すことができない人のために

 コミュニティー活動を積極的に行っている鈴木氏だが、プログラミングを始めたころからずっと取り組んでいたわけではないという。

 「最初3年くらいは自分からはやりませんでしたね。きっかけになったのは、当時日本マイクロソフトにいたエバンジェリストの長沢さん(現アトラシアン)が福井にいらっしゃったときです。当時、私は長沢さんが書いた記事を読んでいて、すごく感動していたので、これは会いに行くしかないと、自分で初めて勉強会に参加登録したんですよ。

 それまでは、小島さんがいるから勉強会に行くというような感じだったんですが、この時ばかりは自分で何も言われなくても行きましたね。そこから変わりました。そこが一番、コミュニティー活動にギアが入ったタイミングでした。この勉強会の懇親会で、長沢さんに『Twitterを始めなさい』って言われました。始めた結果、人間関係の輪がどんどん広がったんですよ。一歩踏み出したら、どんどん行っちゃった感じですね」(鈴木氏)

グラニ アプリケーション部 エンジニア、Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies(Visual C#) 鈴木孝明氏

 有名な人や会いたい人がいるから行動に移したというパターンが多い一方で、「一歩を踏み出すことができない人」というのは多い。これについて鈴木氏に尋ねてみると、福井の自治体と協力したり、独自に行ったりなど、プログラミングを教える活動をしているという。「最近、そういう活動を福井で少しずつ始めているんですよ。小学生から大学生まで。学校に行くこともありますね。学校側も動きづらいから、こっちから行っちゃえばいいじゃんという気持ちでやっていますね」(鈴木氏)。

 プログラミングを教える活動をしている中で、「勉強会に行きたいんですが、どうしたらいいですか」と聞かれることも少なくない。すると鈴木氏は、「(プログラミングを)やっている人たちに会ってくることが一番だから、1回行ってみなよ」「勉強会よりも懇親会の方が(勉強会では聞けないことが聞けたり、交友関係がより深まったりして)面白いから、行っておいで」とアドバイスをする。

 とはいえ、小学生がいきなり勉強会に参加することは難しい。そこで鈴木氏は、自治体と協力して大人から子供まで参加可能な週末だけで簡単なアプリケーション開発を体験できるイベントを開催するなどしている。同じくらいの歳の子がいると集まりやすいし、親なども連れてきてくれることもある。その結果、小学生含め学生が増えてきて、最近は「あっ、鈴木さん!」「鈴木さん、僕これ作ったので見てくださいよ」と声を掛けられるようになり、それはうれしいことだという。

 「田舎は、勉強会に来てくれる人が結構固定化されているんです。これは難しい話で、そこにもう一歩リーチするための方法にいつも苦労しているんです。そうなるともう、自分から動くしかないですよね」(鈴木氏)

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