先輩とメアド交換しちゃった!田中淳子の“言葉のチカラ”(33)(2/2 ページ)

» 2016年08月08日 05時00分 公開
[田中淳子@IT]
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見ていてくれたんだ!

 先日、30歳前後のITエンジニアに「上司や先輩にしてもらってうれしかったこと」を挙げてもらったところ、似たような例がたくさん出てきた。「覚えていてくれた」「気に掛けてくれた」、そういったことが部下や後輩の心にはとても響くようだ。

「あなたのことを、気にしているんだよ」という感じを出してくれると、とてもうれしいです。

私がプロジェクトで大変な状況になっていることを知っていて、時々「大丈夫?」と声を掛けてくれると、それだけでうれしい。「ちゃんと私のことも気にしてくれているんだなあ」と思うから。

「先週、具合悪そうだったけれど、風邪の調子は?」なんて声を掛けてもらうと、「見ていないようでいて、ちゃんと見てくれているんだ」と驚くし、うれしい。

「夏休みは、ちゃんと計画している?」と気を配ってもらえた時もうれしかった。

 上司が部下に、先輩が後輩を、といった上下関係だけではなく、仲間同士でも「大丈夫?」「何か困っていることない?」と互いを気に掛け、時に、声も掛け合っている職場は、安心して仕事できるのではないだろうか。

私のお守り

 入社2年目のエンジニア(女性)が、新入社員のころのことを話してくれた。

OJT担当の先輩女性と別のプロジェクトにアサインされて、なかなか会えなくなってしまいました。私、先輩とのコミュニケーションが少ないことが不安で、不安で。
先輩も気になってたのかな。2週間後くらいに歓迎会の席で、「もし困ったことがあったら、連絡してね。朝でも夜でもいつでも構わないし、愚痴でもいいからね」とプライベートのメールアドレスを教えてくれたんです。

 実際にそのアドレスにメールする事態には陥らなかったそうだが、そのアドレスは、お守りのような作用があったと話していた。アドレスを交換すること自体が「気に掛けている」という証になったのだろう。



 「誰かが気に掛けてくれている」と分かると、人は安心できる。「あなたのことを見ているよ」「あなたのことを気にしているよ」と、少しずつ他者に関心を寄せあったら、居心地良い職場となって、仕事でも高い成果を出せるのではないだろうか。

筆者プロフィール 田中淳子

 田中淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー

1986年 上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで、延べ3万人以上の人材育成に携わり28年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。

日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。

著書:「ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方」(日経BP社)「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)など多数。

電子書籍「『「上司はツラいよ』なんて言わせない」(ITmediaのebook)、「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”――職場で役立つ30のコミュニケーション術」(ITmediaのebook)

ブログ:田中淳子の“大人の学び”支援隊!


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