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» 2016年08月17日 05時00分 UPDATE

お茶でも飲みながら会計入門(105):決算短信で読み解く「アイティメディア」の財政状況 (1/2)

元ITエンジニアで現会計士の吉田延史さんが、アイティメディアの決算短信を題材に「決算書の読み方」を伝授します。

[仰星監査法人 吉田延史, イラスト:Futoden,@IT]
「お茶でも飲みながら会計入門」

連載目次


 会計システムに携わるITエンジニアに、業務知識として会計の基礎知識をお伝えする本連載。前回は、FinTechとは何か、どのようなサービスがあるのか、などを会計士目線で分かりやすく解説しました。

 今回は、アイティメディアの決算書を基に、決算短信の読み方を解説します。

※本連載の趣旨は、「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。


 皆さんは勤め先や取引先の「決算書」を見たことがあるでしょうか。

 上場企業は3カ月に1度決算発表をしています。転職先や業績不安がウワサされている得意先の決算書を見ておくと、未然にトラブルを防止できるかもしれません。そこで今回は「決算書の読み方」を解説します。

 題材は当連載の運営元「アイティメディア」です。最近では平成29年3月期の第1四半期(平成28年4月1日〜6月30日)の決算を公表しています。決算発表の資料は「決算短信」と呼びます。決算短信のうち重要な情報は最初の1ページにまとめられていますので、その読み方を紹介します。

【1】決算書の2種類の情報

 決算書には2種類の情報が入っています。それは個人でいうところの「年収」と「財産」です。この2つを組み合わせて、会社の状況を把握します。

 会社を個人に置き換えて、見てみましょう。

決算書の「経営成績」と「財政状態」を、個人の「年収」と「財産」に例えてみる(※分かりやすくするために、財産は現金のみとしました)

 Aさんは年収も財産も少なくて生活が大変そうで、Bさんは年収はあるけど消費し過ぎ、Cさんは臨時収入により蓄えは多い、Dさんは年収も財産も多いという状態です。ここで、「年収」か「財産」どちらかだけの情報で4人の置かれている状況を見てみましょう。「年収」も「財産」も多いDさんが裕福な生活をしているであろうことは一目瞭然ですが、他の3人の場合は、置かれている状況が正確には分かりません。

 会社の決算書でも同じです。「年収」は「経営成績」、「財産」は「財政状態」と呼びます。

 詳細に見ていきましょう。

【2】経営成績

 アイティメディアの決算短信から「経営成績」(先ほどの例では年収)を見てみましょう。

平成29年3月期第1四半期「経営成績」(出典:株主・投資家情報 | アイティメディア株式会社

 平成28年4月1日〜6月30日の収入などが書かれています。比較のために前年同期(平成27年4月1日〜6月30日)の情報も掲載されています。

 主要項目を説明します。

項目 概要
売上高 企業や顧客に商品やサービスを提供して、もらう代金
営業利益 売上高から「商品を仕入れたり、製品を製造したりするのに掛けたお金」(原価)と「販売、管理活動に掛けたお金」を差し引いた残額
税引前利益 営業利益から営業外の損益を加減したもの
四半期利益 税引前利益から税金費用を差し引いた残額
親会社の所有者に帰属する四半期利益 四半期利益のうち、非支配株主に帰属する利益をのぞいたもの

 アイティメディアは、昨年度より売り上げは上がったものの、利益が少なくなってしまったようですね。

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