制御・組み込みエンジニアは、ハードウェアのエンジニアと連携を取りながら開発を進める。主な仕事を次に紹介する。
機器の要件(機能、性能、動作など)を実現するために、ハードウェアとソフトウェアそれぞれに、どのような機能を持たせればいいのか(役割分担)を、ハードウェアのエンジニアと一緒に決定する。
ソフトウェアで実現すべき機能が決まったら、ソフトウェアが満たすべき要件を定義する。
さまざまな制約を考慮した上で、OSやプログラミング言語、開発ツールといった開発環境を決定する。ソフトウェアの基本設計、詳細設計を行い、プログラミングを行う。
開発環境でのテスト実施後にソフトウェアを実際の機器に搭載して、要件通りに機器が動作するかをテストする。問題があった場合は、ハードウェアとソフトウェアのエンジニアが一致協力して、問題解決に当たる。
制御・組み込みエンジニアの醍醐味(だいごみ)は、何といっても「自分の作ったプログラムで実際の機器が動くのを見られる」ところである。苦労が多い分、さまざまな課題を乗り越えて機器が思った通りに動く様子を目の当たりにしたときの達成感は大きい。
特定の機器に関する専門性を追求していけるのも、制御・組み込みエンジニアの特徴的なやりがいだ。CPUやメモリなどの制約の中で機器の性能を最大限に引き出せるかは、まさに腕の見せどころだ。
制御・組み込みエンジニアには、「ソフトウェアに関するスキル」と「ハードウェアに関するスキル」が求められる。メーカーなどでの開発経験を積み重ねながら、スキルを高めていくことになる。
組み込みソフトウェアによく用いられる「C」「C++」「Java」などのプログラミングスキルは必要である。組み込みソフトウェア開発特有の「設計」「開発」「テスト」、さらに「プロジェクトマネジメント」スキルも必要だ。
ほかのITエンジニアと違い、制御・組み込みエンジニアはハードウェアに関する知識も必要だ。
ハードウェアの専門家にまでなる必要はないが、メカトロニクスやエレクトロニクスのエンジニアとコミュニケーションできるだけの知識やスキルは持っておきたい。
「ものづくり」に強い興味や情熱を持った人が、制御・組み込みエンジニアに向いている。より良い製品を作るために、ソフトウェア側からものづくりに関わりたいという積極性が欲しい。
特定の機器やソフトウェアのスキルを極めたいという「職人気質」の人も向いている。同時に、「過去にとらわれず、次々と登場する新技術や新製品を取り入れる」挑戦心も持っていてほしい。
さらに、他の職種や部門の人々と一緒になって目標を成し遂げることに喜びを感じられる人がよい。
加えて、機器がうまく動作しないときに「何が原因なのか」「機器が実際に使われる場面でどのようなことが起こるだろうか」などを考えられる「論理的な思考」と「想像力」を兼ね備えた人も向いている。
1番大切な素養は、品質と安全に対する「責任感」だ。
野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部
1988年、野村総合研究所入社。電力業や鉄道業に対するコンサルテーションを実施。
2000年、NRIアメリカで日系企業の事業開発支援コンサルテーションを実施。
現在は、システムコンサルティング事業本部にて、営業支援および採用・人材育成を担当している。
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