Xamarin.Forms:テキスト入力のさまざまなオプションを設定するには?.NET TIPS

Xamarin.Formsアプリでは、テキスト入力用のコントロールとしてEntry/Editor/SearchBarの3種類を利用できる。

» 2016年12月07日 05時00分 公開
[山本康彦BluewaterSoft/Microsoft MVP for Windows Development]
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連載目次

対象:Visual Studio 2015以降


 Xamarin.Formsでテキストを入力するUI(ユーザーインタフェース)を作るとき、利用できる3種類のUIコントロールがある*1。また、それらにはさまざまなオプションがある。本稿では、それら3種類のテキスト入力コントロールの使い方を紹介する*2

*1 この他に、本稿では扱わないが、Tableコントロール内で使うためのEntryCellコントロール(Xamarin.Forms名前空間)もある。

*2 本稿で使用したXamarin.Formsのバージョン

Xamarin 4.2.1.60 (47830f6)/Xamarin.Forms 2.2.0.45


テキスト入力のための3つのUIコントロール

 テキスト入力を行うためのコントロールには次の3つがある。

  • Entryコントロール(Xamarin.Forms名前空間): 1行だけの入力。Keyboardプロパティ/Placeholderプロパティ/IsPasswordプロパティを持っている(詳細は後述)
  • Editorコントロール(Xamarin.Forms名前空間): 複数行を入力できる(1行だけに制限できない)。Keyboardプロパティを持っている(詳細は後述)
  • SearchBarコントロール(Xamarin.Forms名前空間): 1行だけの入力。Placeholderプロパティ持っている(詳細は後述)。検索に特化しており、SearchButtonPressedイベントなどを持つ

 次の画像に、3つのコントロールの表示例を示す。

3種類のテキスト入力コントロール(Windows 10) 3種類のテキスト入力コントロール(Windows 10)
Entryコントロールは、1行のみの入力。長い文字列を入力しても、折り返されることはない。
Editorコントロールは複数行の入力用。改行も受け付けるし、自動的に折り返される。
SearchBarコントロールは検索用で、1行のみの入力。この例では右側に検索ボタンが見える。

 これら3つのコントロールには、以下のような特有なプロパティがある。

IsPasswordプロパティ

 Entryコントロールだけが持っている。trueにすると、入力した文字が「●」などで表示される。

Placeholderプロパティ

 EntryコントロールとSearchBarコントロールが持っている。文字列を設定しておくと、テキスト未入力時に表示される。

Keyboardプロパティ

 EntryコントロールとEditorコントロールが持っている。キーボードを切り替えたり自動スペルチェックを有効にしたりする。その効果は、デバイスによって異なる。

 Keyboardプロパティには、Keyboardクラス(Xamarin.Forms名前空間)のインスタンスを設定する。既定で用意されている6種類のインスタンス(Chat/Email/Numeric/Telephone/Text/Url)のいずれかを指定するか、Createメソッドを使ってKeyboardインスタンスを作って与える。

 次からの画像に、Keyboardプロパティの効果を幾つか示す。

Keyboardプロパティの効果の例(Windows 10 Mobile) Keyboardプロパティの効果の例(Windows 10 Mobile)
Keyboardプロパティの効果は、デバイスやその言語設定などによって異なる。
画像の左は、既定のキーボードが出ている状態である。
このWindows 10 Mobileの場合は、Keyboardプロパティに「Numeric」が指定されているEntryコントロールにフォーカスを当てると、キーボードが数値入力用に切り替わる(中)。
また、「Url」が指定されていると、キーボードがURL入力用に切り替わる(右)。

Keyboardプロパティの効果の例(Windows 10) Keyboardプロパティの効果の例(Windows 10)
Keyboardプロパティの効果は、デバイスやその言語設定などによって異なる。
KeyboardFlags.Spellcheckを含めてCreateしたKeyboardインスタンスを設定すると、このWindows 10の場合は、OSの自動スペルチェック機能が有効になった。

実際の例

 実際の例として、以上で説明したコードを試してみよう。

 ソリューションを新しく作るときに[Blank Xaml App (Xamarin.Forms Portable)]を選ぶ。以下ではソリューション名(=PCLプロジェクトの名前)は「dotNetTips1168」としている。

 そうしたら、PCLプロジェクトにあるMainPage.xamlファイルの内容を次のように変更する。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
             xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
             xmlns:local="clr-namespace:dotNetTips1168"
             x:Class="dotNetTips1168.MainPage">
  <ContentPage.Padding>
    <OnPlatform x:TypeArguments="Thickness" iOS="0,20,0,0" />
  </ContentPage.Padding>
  <ContentPage.Resources>
    <ResourceDictionary>
      <Style TargetType="Label">
        <Setter Property="HorizontalOptions" Value="End" />
        <Setter Property="VerticalOptions" Value="Center" />
        <Setter Property="FontSize" Value="Medium" />
      </Style>
      <Style TargetType="Entry">
        <Setter Property="TextColor" Value="Accent" />
        <!-- TextColor未指定だと、UWPでアンフォーカス時にテキストが消える -->
      </Style>
    </ResourceDictionary>
  </ContentPage.Resources>
  
  <Grid HorizontalOptions="Center" VerticalOptions="Center"
        WidthRequest="320" RowSpacing="20">
    <Grid.RowDefinitions>
      <RowDefinition Height="Auto" />
      <RowDefinition Height="Auto" />
      <RowDefinition Height="Auto" />
      <RowDefinition Height="Auto" />
      <RowDefinition Height="Auto" />
      <RowDefinition Height="Auto" />
    </Grid.RowDefinitions>
    <Grid.ColumnDefinitions>
      <ColumnDefinition Width="Auto" />
      <ColumnDefinition Width="*" />
    </Grid.ColumnDefinitions>

    <!-- Entryコントロールの例 -->
    <Label Text="Entry" />
    <Entry Grid.Column="1" Placeholder="(default)" />

    <Label Grid.Row="1" Text="Entry" />
    <Entry Grid.Row="1" Grid.Column="1"
           IsPassword="True" Placeholder="(Password)" />

    <Label Grid.Row="2" Text="Entry" />
    <Entry Grid.Row="2" Grid.Column="1"
           Placeholder="(Numeric)" Keyboard="Numeric" />

    <Label Grid.Row="3" Text="Entry" />
    <Entry Grid.Row="3" Grid.Column="1" Placeholder="(Url)" Keyboard="Url" />

    <!-- Editorコントロールの例 -->
    <Label Grid.Row="4" Text="Editor" />
    <Editor x:Name="Editor1" Grid.Row="4" Grid.Column="1" HeightRequest="80" />

    <!-- SearchBarコントロールの例 -->
    <Label Grid.Row="5" Text="SearchBar" />
    <SearchBar Grid.Row="5" Grid.Column="1" Placeholder="(SEARCH)" />
  </Grid>
</ContentPage>

テキスト入力のさまざまな方法を試す例(XAML)
Editorコントロールには「Editor1」という名前を付けてある。次のコードビハインドで参照する。
なお、本稿執筆時点では、EntryコントロールのTextColorプロパティに何か設定しておかないと、UWPでフォーカスを外したときに文字表示が消えてしまった。

 KeyboardクラスのCreateメソッドを使ってKeyboardインスタンスを作る方法は、コードビハインドで行う。MainPage.xaml.csファイルのコンストラクタに、次のコードのように追加する。

public MainPage()
{
  InitializeComponent();

  Editor1.Keyboard
    = Keyboard.Create(KeyboardFlags.CapitalizeSentence
                      | KeyboardFlags.Spellcheck);
}

「MainPage.xaml.cs」ファイルのコンストラクタを修正する(C#)
ここでは、CapitalizeSentenceとSpellcheckの2つを指定してKeyboardインスタンスを生成し、それをEditorコントロールのKeyboardプロパティに設定している。その効果は、デバイスによって異なる。前掲の「Keyboardプロパティの効果の例」の画像を参照。

 以上で完成だ。実行してみると次の画像のようになる。

実行結果(Visual Studio Emulator for Android)
実行結果(Mac上のSimulator)
実行結果(Mobile Emulator) 実行結果
上はVisual Studio Emulator for Androidでの実行結果。中はMac上のSimulatorでの実行結果。下はMobile Emulator(Windows 10)での実行結果。なお、Remoted iOS Simulator for Windowsを使用するにはVisual Studio Enterprise Editionのライセンスが必要となった(編集者がCommunity Editionを使っているため、本稿ではMac上のSimulatorでの画面キャプチャーとなっている)。使用方法についてはプレビュー段階の記事だが「XamarinアプリのMacでのビルドとiOS Simulator for Windows」を参照されたい。

まとめ

 1行入力にはEntryコントロールを、複数行入力にはEditorコントロールを使う。また、検索にはSearchBarコントロールが適している。

 EntryコントロールとEditorコントロールのKeyboardプロパティには、さまざまな効果がある。デバイスや言語設定によってその効果は変わってくるので、実際に試してから使おう。

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