【Oracle Database 12c】「FlexCluster」と「FlexASM」のインストール手順とトラブルシューティングデータベースサポート最前線の現場から(5)(2/2 ページ)

» 2017年01月17日 05時00分 公開
[栗原章二株式会社アシスト]
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root.sh実行時に「CLSRSC-1003」「CLSRSC-287」が発生した場合

 「Oracle Grid Infrastructure 12.1.0.1」のインストール時にroot.shを各ノードで実行する手順があります。このうち、ノード1で実行する際に「CLSRSC-1003」「CLSRSC-287」が発生する場合があります。

[root@sapox1 ~]# /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/root.sh
・・・略・・・
 
CRS-2672: 'ora.net1.network'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.net1.network'('sapox1')の起動が成功しました
CRS-2672: 'ora.gns.vip'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.gns.vip'('sapox1')の起動が成功しました
CRS-2672: 'ora.gns'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.gns'('sapox1')の起動が成功しました
CRS-2672: 'ora.ASMNET1LSNR_ASM.lsnr'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.ASMNET1LSNR_ASM.lsnr'('sapox1')の起動が成功しました
CRS-2672: 'ora.asm'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.asm'('sapox1')の起動が成功しました
CRS-2672: 'ora.DATA.dg'('sapox1')の起動を試行しています
CRS-2676: 'ora.DATA.dg'('sapox1')の起動が成功しました
2013/09/04 16:27:26 CLSRSC-1003: Failed to start resource OC4J
2013/09/04 16:27:26 CLSRSC-287: FirstNode configuration failed
Died at /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsinstall.pm line 2347.
The command '/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/bin/perl -I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/lib -I/Oracle/aid/crs/install /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/rootcrs.pl ' execution failed
[root@sapox1 ~]#

 ノード1に続き、ノード2〜4でroot.shを実行すると「CLSRSC-366」が発生する場合もあります。例として、ノード2での実行結果を示します。

[root@sapox2 ~]# /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/root.sh
・・・略・・・
 
Creating /etc/oratab file...
Entries will be added to the /etc/oratab file as needed by
Database Configuration Assistant when a database is created
Finished running generic part of root script.
Now product-specific root actions will be performed.
Using configuration parameter file:
/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsconfig_params
2013/09/05 11:38:03 CLSRSC-363: User ignored prerequisites during installation
OLR initialization - successful
2013/09/05 11:38:33 CLSRSC-330: Adding Clusterware entries to file
'/etc/inittab'
CRS-4133: Oracle高可用性サービスは停止されました。
CRS-4123: Oracle高可用性サービスは起動されています。
CRS-4133: Oracle高可用性サービスは停止されました。
CRS-4123: Oracle高可用性サービスは起動されています。
2013/09/05 11:40:19 CLSRSC-366: Failed to import credentials for ASM
Died at /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsinstall.pm line
926.
The command '/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/bin/perl
-I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/lib
-I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install
/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/rootcrs.pl ' execution failed
[root@sapox2 ~]#

対処方法

 このエラーは、インストール要件を満たさない、Red Hat Linux 5 Update 6(5.6)より低いバージョンで実行した場合に発生します。Grid Infrastructuerの前提チェック実行時にはエラーとして表示されないので注意してください。

 1つ目の対処方法は、OSを「Red Hat Linux 5 Update 6(5.6)以上のバージョンにアップグレードする」ことです。「Deinstallツール」を使用して、Grid InfrastructuerをアンインストールしてからOSのアップグレードを行ってください。

 それでもエラーが解消されない場合には、/etc/hostsにおいて、localhostが「IPv6の::1にマップされていないかを確認」します。また、localhostへpingが通るかも確認しておきます。

[root@sapox1 work]# cat /etc/hosts
# Do not remove the following line, or various programs
# that require network functionality will fail.
::1 localhost.localdomain localhost <-- ★
・・・略・・・
 
[root@sapox1 work]# ping -c 4 localhost
ping: unknown host localhost <-- ★
・・・略・・・

 上記のように、localhostがIPv6へのマッピングが有効になっており、localhostへpingが通らない場合には、IPv6の設定を解除します。/etc/hostsの設定は以下のように変更します。

[root@sapox1 work]# cat /etc/hosts
# Do not remove the following line, or various programs
# that require network functionality will fail.
#::1 localhost.localdomain localhost
127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
 
・・・略・・・

 完了後、root.shを再実行します。

DBCA実行時にASMディスクグループが表示されない場合

 データベースの記憶域を設定する「ディスクグループ」を選択する画面で、ディスクグループの選択肢が表示されないトラブルが発生することがあります(画面1)。

photo 画面1 「ディスクグループの選択」画面

対処方法

 「DBCA(Database Configuration Assistant)」を起動したユーザー(ここでは、v121)が所属するグループにasmadminasmdbaも含まれていることを確認します。もし含まれていなかったら、グループを追加して、DBCAを再度確認します。手順は以下の通りです。

--v121ユーザーとgridユーザーに対してidコマンドを実行して確認
[root@sapox1 ~]# id v121
uid=503(v121) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),501(dba)
[root@sapox1 ~]# id grid
uid=502(grid) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),1100(asmadmin),1200(asmdba),501(dba)
 
--グループを追加
[root@sapox1 ~]# usermod -g oinstall -G dba,asmadmin,asmdba v121
 
--グループ追加を確認
[root@sapox1 ~]# id v121
uid=503(v121) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),1100(asmadmin),1200(asmdba),501(dba)

 これによって、選択画面にディスクグループの選択肢が正しく表示されます(画面2)。

photo 画面2 ディスクグループの選択肢が正しく表示された

おわりに

 今回は、通常のサポート契約では案内できないVMwareやOSの設定を含めて、サポートセンターが持つ技術ノウハウを紹介しました。今後もブログならではの情報を発信していきたいと思います。

※初出:2015年10月5日 Database Support Blog「FlexCluster / FlexASM のインストール方法(Oracle Database 12c)

筆者紹介

栗原章二

2006年にアシストに入社。2011年よりバックサポートとして、お客さま対応を行うメンバーのフォローを主に行っています。バックサポートの活動として、メンバーが利用する検証環境の構築も行います。今後も、検証環境構築の手順やこれまでのサポート業務で蓄積してきた現場目線のノウハウを提供していきます。


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