トイレにこもって3分間――感情コントロール「ステップ3 感情を鎮める」ストレスフルな職場でエンジニアが心穏やかに働くための5段階感情コントロール(4)(2/3 ページ)

» 2017年04月21日 05時00分 公開

感情を鎮める4つの方法

1 ほとぼりが冷めるまで待つ

 同僚や顧客から問題点を指摘するメールが入って、「何だよー」「それはそっちの都合だろう」と、イラっとした経験はありませんか? 感情的な状態のまま返信を書いているうちにますますイライラしてきて、攻撃的な返信をしてしまった……という失敗をしたことがある人も少なくないでしょう。

 感情的になったとき、私はまずその場から離れて、ほとぼりが冷めるまで待つようにしています。

 「ほとぼりが冷めるまで待つ」について、心理学博士のダニエル・ゴールマンは『EQ-こころの知能指数』(講談社)で次のように言っています。

13歳だったある日、何かにひどく腹を立てた私は、もう二度と戻ってくるものかと心に誓って家を出ました。そのうち、辺りの静けさと美しさに気分がなぐさめられ、心が穏やかになってきました。数時間後、気持ちのやわらいだ私は反省を胸に帰宅しました。それ以来、腹が立ったときは可能なかぎりこうして散歩するようになりました。怒りを収めるためには、これが1番の方法です。

 怒りの感情を抱いたときは、「しばらくその相手から距離を置き、怒りが静まるのを待つことで、憎悪の拡大にブレーキをかけられる」ということです。

2 外に出す

 感情を抱いたときは、「外に出す」のも良い方法です。「外に出す」とは、身体の内側でうごめいている感情を、身体の外側に出すイメージです。

 例えば、「悲しみ」や「怒り」の感情を抱いたときは、自然と涙が出ますよね。涙が出る働きは、日薬理誌『涙とストレス緩和』によると、

涙はストレスによって誘発されるが、涙を流す行動はストレス緩和にもなる。すなわち、ストレスには悪いストレスと良いストレスがあるとすると、激しく涙を流す行為である号泣は、その後に気分がスッキリすることから分かるように、良いストレスとして機能する可能性がある。

 とのこと。つまり涙が出るのは、ストレスをコントロールしようとする、人が持つ自然な働きなのです。

 とはいえ、意識して涙を出せる人はそう多くないでしょう。そこで、「外に出す」別の方法を試してみましょう。

 感情コントロールで私がよくやるのは、意識的に「大声で叫ぶ」です。これも「外に出す」の1種です。カラオケで大きな声で歌ったり、大声で笑ったりすると、気分がスッキリしますよね。

 場所は選んだ方が良いでしょう。当事者に向かって怒鳴ってヒートアップしてしまったり、周囲の誰かに聞かれてよからぬ誤解を招いたりするのは避けたいものです。「車の中」や「カラオケボックス」など、1人になれて、誰にも迷惑が掛からない場所で叫ぶと結構スッキリできます。もっと気軽に、クッションやまくらに顔をうずめて叫ぶのもいいかもしれません。

 また、以前「なぜ社長はクラブに通うのか」という記事で、人に話を聞いてもらう効能を書きました。

 不満や悩みがあるとき、「誰かに聞いてほしい」と思いますよね。この「人に話す」も「外に出す」の1つです。親しい友人に「ねぇ、ちょっと話を聞いてくれない?」とお願いして、話を聞いてもらうのはどうでしょうか。もちろん、クラブに行ってのもいいですが(笑)。

 なお、「愚痴を友人に話すのは気が引ける」という人もいるかもしれません。でも、大切な友人が悩んだり、苦しんだりしていたら、「気分を軽くしてあげたい」と思うのも、また友人です。たまには愚痴るのもいいんじゃないでしょうか。今回、聞いてもらった分、次回は友人の話を聞いて差し上げればいいわけですから。

3 切り離す

 前述のように、怒りのような突発的な感情は、ほとぼりが冷めるまで待てばどうにかなりますが、将来に対する「不安」や新しいことにチャレンジする「恐怖」など、正体がつかめない感情は、考え始めると頭の中でグルグルと回って、どんどん膨らんでしまうこともあります。

 なかなか離れない感情を鎮めるためには、意識を「切り離す」のも良い方法です。「考えないようにしよう」とするのは難しいですが、「別のことに集中する」と嫌な感情から比較的容易に意識を切り離せます。

 オススメは「単純作業」です。

 私は料理が好きで、時々作ります。野菜をみじん切りにしたり、餡を皮に包んだりと単純作業が連続するギョーザ作りは、頭の中が空っぽになるので、感情を切り離すのに最適です。

 体を動かすのが好きな人は、水泳やランニングなどのスポーツもいいですね。黙々と体を動かすと頭の中が空っぽになって、ネガティブな感情から意識を切り離せます。

 料理や運動が苦手なら、本を読むのもオススメ。ビジネス書もいいですが、小説や漫画など、その世界観に意識も感情も移入できるのがいいでしょう。

 エンジニアにオススメの方法として、以前、「ただ、たたくだけ――エンジニアにオススメな“打鍵”瞑想法」という記事を書きました。心の中で抱いている感情を思うがままに言語化する方法ですが、これもなかなか良いです。

 単純作業は他にもいろいろとありますので、あなたがやりやすい方法を探して、やってみてください。

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