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» 2017年05月12日 10時00分 UPDATE

これまでネットワーク化を諦めていた場所でも設置可能に:最新無線LANソリューションで広がるネットワークのさらなる可能性

モバイル、クラウド、IoTといったトレンドが広がりを見せる中、新たな「無線LAN環境」の需要が高まっている。だが、インフラ未整備のエリアや屋外、工場、商業/公共施設、建築現場などでは、時間やコストだけでなく、“物理的な制約”もあって簡単には構築できないケースもある。そうした、これまではネットワーク化を諦めていた場所でも、高速で柔軟な無線LAN環境を素早く構築できる新たな無線LANソリューションに注目が集まっている。

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今、なぜ屋外での無線LANサービス提供の需要が拡大しているのか

ALT 菱洋エレクトロ IoT営業本部 営業第3部 部長
西川敏文氏

 企業におけるモバイルやクラウド、IoT、スマートファクトリーといった取り組みが加速する中、「屋外無線LAN(Local Area Network)」の需要が拡大している。屋外無線LANとは、文字通り、無線LANアクセスポイントを屋外に設置し、Wi-Fiサービスを広範囲に提供するものだ。

 例えば、工場や作業現場では、センサーや生産機械をネットワークに接続したり、作業員がモバイルPC/タブレットで電子図面データを確認したりといったシーンが増えてきている。また、店舗やオフィスでも、防犯や顧客行動の把握を目的としてネットワークカメラの画像や映像を活用する動きも進んでいる。さらには、工場全体やオフィスビル全体をスマート化する取り組みや、街全体をスマート化するスマートグリッド/スマートシティーの取り組みもある。

 こうした新しいネットワーク/無線LANのニーズの高まりに応えるために、シャープと菱洋エレクトロは2016年1月、「無線バックホール方式」を採用した無線LANアクセスポイント「QX-C300シリーズ」の提供を開始した。販売開始から1年余りを経て、両社の想定を超えるさまざまな場所にまで普及し始めているという。販売を担当する菱洋エレクトロの西川敏文氏(IoT営業本部 営業第3部 部長)は、屋外無線LANに対する旺盛な需要について、次のように話す。

ALT ▲シャープが開発した無線LANアクセスポイント「QX-C300シリーズ」。「無線バックホール方式」を採用する《クリックで拡大します》

 「これまで無線LANを屋外に延長したいというニーズは高かったのですが、それに応えられる製品が少なかったのです。広域に展開しようとすると、有線ケーブルが敷設できなかったり、電波が届かなかったりします。そうした課題を解決し、柔軟な無線LAN環境の構築を可能にするのがシャープの『QX-C300シリーズ』です。ここまでの無線バックホール性能を有する製品は少ないと思います。従来の無線LANアクセスポイントやLTE、4Gネットワークではカバーできなかった場所での利用が進んでいます」(西川氏)

 また、シャープの城田真吾氏(IoT通信事業本部 スマートネットワーク推進部 主任)は、QX-C300シリーズが採用した「無線バックホール方式」の特徴を次のように説明する。

 「無線バックホール方式は無線LANアクセスポイント同士を組み合わせ、電波を中継していく方式です。これまでにもあった方式なのですが、2〜3台を超えて中継しようとすると極端にスループットが低下してしまうことが大きな課題でした。そこで、シャープが携帯電話開発で培ってきたノウハウを生かすことで、そうした課題を解消しました」(城田氏)

バックホールで利用可能な通信規格 802.11ac/j
バックホールの帯域(理論最大値) 1.3Gbps
バックホールの最大ホップ数 20ホップ
アクセスポイントで利用可能な通信規格 802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)
防塵・防水対応 IP66準拠
▲QX-C300シリーズの特長

無線バックホールにおけるスループットの低下をマルチチャネル方式で解消

ALT シャープ IoT通信事業本部 スマートネットワーク推進部 主任 城田真吾氏

 広域に無線ネットワークを構築する場合、まず考えられるのは、LTEや4Gなどのモバイルネットワークを活用したシステムだ。しかし、モバイルネットワークは、有線LAN並みの高速通信を行いたい場合や、大量のデバイスを同時にLANに接続したい場合などには不向きである。さらに、常に安定した品質で通信することも難しく、システムを新たに構築する必要もある。

 一方、無線LANは、モバイルネットワークに比べて高速で安定した通信が可能だ。既存のネットワークを延長するだけで利用でき、サポートするデバイスの種類や数も多い。大規模なシステムの改修も不要なため、コストや工期面でもアドバンテージがある。こうした状況を受けて、屋外での無線LAN利用のニーズは年々高まっている状況であると、西川氏は説明する。

 ただし、屋外に無線LAN環境を整備するには、幾つか解決しなければならない課題もある。

 その1つが、電波が届く距離だ。LTEや4Gと違って、無線LANアクセスポイント1台がカバーできる範囲は実用上数十メートルから100メートルほどであるため、土地が広大だったり、建物が高所に及んだりすると電波が届かない。そこで、有線ケーブルを使ってアクセスポイントを延長することになるが、途中に道路、河川、壁などの障害物があると、ケーブルそのものを延長できなくなる。

 この課題を解消するのが、QX-C300シリーズが採用した「無線バックホール方式」になる。

 「無線バックホール方式は、これまであまり注目されてきませんでした。その最大の理由は、複数台を中継する『マルチホップ』の際、どうしてもスループットが低下してしまうからです。最大3ホップ程度では実用できる距離も100メートルほどに限られ、メッシュとして利用するにも難しいものがありました。そこで、QX-C300シリーズでは、ホップを繰り返しても、スループットが低下しない仕組みを開発する必要がありました」(西川氏)

ALT ▲従来の無線LANでは、アクセスポイントまでそれぞれLAN配線が必要だったが、QX-C300シリーズが採用した無線バックホール方式では敷設のためのLAN配線は不要。より柔軟な無線LAN環境を構築できる《クリックで拡大します》
ALT ▲QX-C300シリーズではマルチホップでもスループットの低下が少ない仕組みを採用している《クリックで拡大します》

 屋外無線LANのもう1つの課題は、電波の干渉だ。オフィスビルやイベント会場などでも、複数の電波が干渉して、ネットワークが不安定になったり、スループットが出ないといったことがよくある。ソフトウェア面の開発を担当した、シャープの中山圭氏(IoT通信事業本部 スマートネットワーク推進部 技師)は、次のように話す。

 「従来の無線バックホール方式の場合、外部からの干渉や揺らぎによる影響を特に受けやすい傾向があります。1つのチャネルをバックホール全体で共有するため、隠れ端末問題が発生したり、アクセスポイント同士が干渉するなど、ネットワークが不安定になりやすいのです。そこで、QX-C300シリーズでは、バックホールを構成する際に異なるチャネルを利用することにしました」(中山氏)

最大20ホップ、数キロ圏内にまで無線LANを拡張可能に

ALT シャープ IoT通信事業本部 スマートネットワーク推進部 技師 中山圭氏

 QX-C300シリーズの特徴は、高速な通信を可能にするツインエンジンの搭載にある。まず、1台のアクセスポイントに「バックホール用」と「アクセスポイント用」、それぞれで独立したCPUを持つ。そして、それぞれの無線の処理には独立した専用の無線モジュールを搭載した。このように処理を分散することで高速な同時通信を実現した。

 次に、複数のバックホールリンクに個別のチャネルを割り当てることでスループット低下が少ないマルチチャネル方式を採用したことだ。例えば、アクセスポイント間の中継に100チャネル、116チャネル、184チャネルなどの異なるチャネルを使用すると、アクセスポイント同士のチャネルが独立するため、スループットの低下をほとんどなくすことができたという。

 このツインエンジンマルチチャネル方式を採用したことにより、QX-C300シリーズは、最大ホップ数が理論上20ホップ、電波が安定して届く距離は数キロにまで広がった。数キロというと、工場の敷地や工事現場、レジャー施設をすっぽり覆うことができる距離だ。その効果について、西川氏は次のように話す。

 「造船所や製鉄所といった大きな工場では、敷地が数キロ程度になることもあります。従来は、有線ケーブルを使ったり、アクセスポイントを複数設置して工場全体をカバーしたりしていました。しかし、工場内での有線LANの配線工事は条件が厳しく、コストも時間もかかります。QX-C300シリーズを活用することで、短期間で有線と無線を適材適所に混在させた柔軟なネットワークを構築できます」(西川氏)

 また、これまでは無線LANを整備したくても、できなかった場所での活用も可能になった。例えば、ゴルフ場やスキー場、キャンプ場、遊園地、屋外のイベント会場などだ。こうした環境では、森林や河川、高架塔などが障害物となり、有線ケーブルの敷設自体が難しかった。また、事務所と施設が物理的に離れていることも多く、それぞれに個別の設備が必要となっていた。QX-C300シリーズでは、無線バックホール方式によるマルチホップにより、無線アクセスポイントだけで敷地全体をカバーできるため、低コスト、短期間で無線LANが整備できる。

 「遊園地の例としては、観覧車の運行を監視するネットワークカメラでの活用があります。有線LANが不要なため、工期も短く、いろいろな箇所に柔軟に設置できます。さまざまな角度から施設を監視することで、より安全な運行につながります」(西川氏)

 西川氏も驚いたのは、トンネル工事現場での活用だ。トンネル工事の現場は、温度や湿度、排水など、過酷な条件での作業になる。もちろん、IT機器そのものが設置できないことが多い中で、簡単に設置でき、耐候性(動作温度:−20〜50℃、動作湿度:10〜90%)、防水・防塵性(IP66準拠)などに優れるQX-C300シリーズは、大いに役立つと期待している、という。

 最新の活用事例としては、高層ビルの建設工事現場がある。建設中でネットワーク環境のない高層ビルでも、工事の進捗に合わせて無線LAN環境を上層階に順次拡張し、ネットワークを活用することも可能だ。

ALT ▲QX-C300シリーズの活用例《クリックで拡大します》

試行錯誤を重ねることで高めた製品の完成度

ALT シャープ IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 回路開発部 課長 鈴江秀雄氏

 2014年秋、無線LANに対するニーズの多様化と高まりを受け、菱洋エレクトロはシャープと共に新しい無線LANアクセスポイントの開発をスタートした。開発を担当したシャープのIoT通信事業本部は、広島を本拠に携帯電話をはじめとするさまざまな無線機器の開発と製造を担う部署。ラジオから電話機、FAX、携帯電話と、時代に合わせた機器を数十年にわたって開発し、作り続けてきたプロフェッショナルな集団である。シャープ側でも、次の時代に向けた新たな無線機器の検討を進めていた背景があり、すぐに共同開発をスタートすることができたという。

 もっとも、全く新しい製品の開発ということで、試行錯誤の連続でもあった。中山氏は、こんなエピソードを明かす。

 「製品の開発には、テストが欠かせません。スループットをテストするためには、実際にアクセスポイントを設置し、接続する必要があるのですが、1台当たり100メートル近く電波が飛びます。部のメンバー全員で機器を持って、施設の周囲を100メートル間隔で取り囲むように設置していきました。事業所の敷地全体を使って、なんとか間隔を作ったこともあります。テストは何度も繰り返すので、真夏の炎天下でのテストなどは体力的にも大変でしたね」(中山氏)

 開発する機器の大きさもこれまでの携帯電話とは異なり非常に大きく、携帯電話開発で使用していた装置ではテストできずに、新たに用意する必要もあったという。

 また、シャープの鈴江秀雄氏(IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 回路開発部 課長)は、無線親機の設計で戸惑うこともあったと振り返る。携帯電話は基本的に無線の子機となるため、親機側とは設計の勝手が違う。「接続してくる子機にはさまざまなメーカーの製品が存在するため、正しく動作することの確認に時間を要することもありました。また、法規や認証の規定が子機側とは大きく異なります。5GHz帯で電波を吹くことに対する法規制を順守することや、今まで経験したことの無い5GHz帯のアクセスポイント側としてのWi-Fi認証など、設計・開発には新たにさまざまなノウハウを蓄積する必要がありました」(鈴江氏)

 また、敷設した無線ネットワークをどう可視化するか、セキュリティへの対応や機能改善のためのファームウェアのアップデートをどうするかなども両社で十分に検討を行ってきた。直観的なインタフェースを持つQX-C300シリーズの管理ツール「無線LANソフトウェアコントローラー(クラウド版/オンプレミス版)」における、無線経由で全アクセスポイントに対して一斉にファームウェアアップデートできる機能や、「無線LANリモート監視サービス(クラウド版のみ)」における、メールでのアクセスポイント障害通知機能も、そうした両社の共同開発体制から生まれてきたものだ。

 実際、販売を開始すると、これまでにない無線LAN環境を実現できる製品として、想像以上の反響を呼ぶことになった。「短工期、低コストで導入でき、高いパフォーマンスが得られる。ネットワーク活用の範囲が大きく広がったという評価をいただいています」と西川氏は話す。

 また、シャープの城田氏は「営業チームの話では、日本語で表現、対応されているGUIやマニュアル、サポート体制など当たり前の事が喜ばれ評価されているようです」と話す。

 今後は、工場やリゾート施設、レジャー施設を中心にさらに利用シーンを広げていくことを目指すという。総務省は地域情報化の基盤として、公衆無線LANの普及に力を入れている。そうした整備事業における活用も訴えていく。

 屋外に無線LANサービスが広がることで、これまではできなかったサービスの提供が可能になる。潜在需要はかなりあると見込まれ、今後のさらなる展開が期待される。

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提供:菱洋エレクトロ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年6月11日

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