「あなたにはスキルがない」と言われたら――感情コントロール「ステップ5 感情を活かす」ストレスフルな職場でエンジニアが心穏やかに働くための5段階感情コントロール(6)(2/3 ページ)

» 2017年05月12日 05時00分 公開

原動力に変える一般的な方法は「悔しさをバネにする」

 ネガティブな感情をポジティブな原動力に変えるには、「あの野郎、今に見てろよ!」のように「悔しさをバネにする」のが、よく使われる方法です。

 私自身、これまで何度も悔しさをバネにしてきたので、この方法が決して悪いとは思いませんし、今も「全くしていない」と言ったらウソになります。

 けれども、この方法には欠点もあります。自分を鼓舞するたびに、あの悔しい体験や嫌な気分を思い出してしまうのです。

 あまり嫌な気分にならずに、物事を前に進める原動力に変える方法はないものでしょうか。

「事実」と「解釈」に分けて、事実に新しい解釈を付ける

 今、私はネガティブな気持ちになったとき、「リフレーミング」という方法を使って、ネガティブな感情をポジティブな原動力に変えています。

 リフレーミングは、ひと言で説明すれば、「ネガティブな出来事を『事実』と『解釈』に分けて、事実に新しいポジティブな解釈を付ける」という方法です。

 例えば、「A氏に『あなたはスキルがない』と言われてすごく悔しかった」という出来事をリフレーミングするなら、まず「A氏に『あなたはスキルがない』と言われた」という事実と、「その結果、私はすごく悔しかった」という解釈に分けます。

 その後、解釈の部分を「私は、誰もが認めるエンジニアになりたい」「エンジニアとしての力を付けたい」のように、ポジティブな解釈に変えるのです。

 「A氏に『あなたはスキルがない』と言われた」という事実を変えることはできませんが、解釈なら変えられる可能性があります。

「解釈の書き換え」は、困難を乗り越えるための働き

 実はこの「解釈を変える」という行為は、それほど特別なことではありません。私たちは無意識で、何度もそれをやってきています。

 仕事の失敗や人間関係のいざこざなど、ネガティブな体験は誰もが経験したことがあるでしょう。その時はすごく悔み、嫌な思いもしたけれど、今、改めて振り返ってみると、「あの経験があったおかげで、今があるんだな」と思うことはありませんか?

 これは、体験自体は何も変わっていないのに、その後の経験や時間経過によって解釈が変わった例です。

 リフレーミングは、これを「意識的にやる」と思ってください。

 もちろん、感情的になっているときには、すぐにリフレーミングできないかもしれません。けれども、事実と解釈を分けて、別の解釈を付ける習慣を付けると、一時的には感情的になっても、「あの野郎!」と相手を呪い続けることは少なくなります。

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