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» 2017年06月26日 05時00分 UPDATE

法律用語解説|システム開発契約(基礎編)(5):瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)

契約書に書かれている法律用語、トラブル時にIT訴訟で争点となるかもしれない契約の種類。エンジニアなら知っておきたいシステム開発契約に関わる法律用語を、IT紛争解決の専門家 細川義洋氏が分かりやすく解説します。

[ITプロセスコンサルタント 細川義洋,@IT]

瑕疵担保責任とは何か

 瑕疵担保責任とは、現行の民法第六百三十五条に記載されている、「請負契約の発注者に対して「受注者が負うべき責任」のことです。

「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる」(民法第六百三十五条)

 請負契約に基づいて受注者が納品したものに不具合があり、契約の目的を達成できない場合、発注者は契約を解除したり、修補を求めたりできます。不具合のために何らかの損害が発生したら、賠償を請求できます。

 システム開発の代表的な納品物の不具合はプログラミングミス、いわゆる「バグ」です。設計のミスやハードウェアやソフトウェアの設定ミスも、瑕疵担保責任の対象です。

瑕疵担保責任を問われるとき

 とはいえ、ITシステムは一般に、本稼働後にも何らかの問題が残るものです。そこで裁判所も、軽微な画面の誤りや、普段あまり使わない機能の不具合などは、「軽微な瑕疵」として損害賠償の対象にはしない傾向があります。

 なお、瑕疵担保責任を問われるか否かのポイントは「スピード感」のようです。

 裁判の例を見ると、「瑕疵の内容」はもちろんですが、「受注者が瑕疵を知った後どのくらいのスピード感で対応を開始したのか」が、責任を果たしているか否かの判断材料になるようです。

 すぐに修補可能な不具合でも、半年も何もしないで放っておくと瑕疵担保責任を問われる場合があります。たとえ修補の方法が分からなくても、すぐに「調査」を開始し、解決のために「努力」をすることが大切なのです。

民法改正のポイント

 現行の民法では、瑕疵担保責任の期限は「納品後1年以内」で、「納品後1年以内に発注者が損害賠償請求や契約の解除を申し出なければ」、瑕疵担保責任を問えないことになっています。

 しかし近く予定される民法改正後は、「瑕疵を発見してから1年以内」に変更されます。事実上の「無期限」と考えてよいでしょう。ソフトウェアは納品後何年もたってから不具合が発見されることもありますので、それに対応した改正ではないかと思われます。

瑕疵担保責任のポイント

  • バグや設計のミスなどは、瑕疵担保責任
  • 納品物に不具合があれば損害賠償を請求される可能性もある
  • システム開発の場合は、軽微な瑕疵は損害賠償の対象とはならないことが多い
  • 不具合を指摘されたらすぐに行動をとるべし
  • 軽微なミスでも先延ばししない
  • 民法改正で事実上期限が「無制限」になった

瑕疵担保責任が争点となった裁判解説

細川義洋

細川義洋

ITコンサルタント

NECソフトで金融業向け情報システムおよびネットワークシステムの開発・運用に従事した後、日本アイ・ビー・エムでシステム開発・運用の品質向上を中心に、多くのITベンダーおよびITユーザー企業に対するプロセス改善コンサルティング業務を行う。

2007年、世界的にも希少な存在であり、日本国内にも数十名しかいない、IT事件担当の民事調停委員に推薦され着任。現在に至るまで数多くのIT紛争事件の解決に寄与する。

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