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» 2017年06月30日 05時00分 UPDATE

Gartner Insights Pickup(23):サプライチェーンリーダーがブロックチェーンについて知っておくべき5つのこと

ブロックチェーンは将来、金融業界よりもサプライチェーンを大きく変革する可能性がある。だが、この技術の限界や未熟さを理解しなければならない。真価が発揮できるのは、10年先になる可能性もある。

[Christy Pettey, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップ。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 ブロックチェーンはサプライチェーンに破壊的な変革をもたらす可能性がある。分散台帳は、これまでばらばらだった資金、商品、情報、デジタル資産の流れを統一することが期待できるからだ。とはいえ、ブロックチェーンは現在、過度の期待のピーク期にあり、将来有望ではあるが、真価をフルに発揮するのは10年以上先かもしれない。

 「ブロックチェーンとその関連するビジネスプロトコルの導入を、現在最も進めているのは金融業界だ。だが、長期的に見ると、幾つかの課題がクリアされればサプライチェーンに大きな影響を与える可能性がある。その課題は、とりわけスケーラビリティ、柔軟性、データの機密性、効率性、ガバナンス、相互運用性に関わるものだ。特にブロックチェーンは複数企業にまたがるプロセスに革命的な変革をもたらす可能性があるが、そのためには取引パートナーを結ぶ巨大なネットワークの構築も課題となる」。Gartnerのリサーチディレクターを務めるアンドリュー・スティーブンス氏はそう語る。

ブロックチェーンによるサプライチェーンについて知っておくべきこと

 サプライチェーンリーダーは、ブロックチェーンについて以下の5つのことを理解する必要がある。

1. 長期的には、多くの業界に変革をもたらす可能性がある

 世界規模の分散技術であるブロックチェーンの今後の動向は、これまでのWebやインターネットといった技術による変革の流れと似たものになりそうだ。ブロックチェーンは、アーリーアダプターによる導入が向こう3〜7年にわたって進むだろうが、サプライチェーンを含む幅広い分野で本格的に普及するのは10年以上先になるだろう。RFIDの初期のころのように、ブロックチェーンが可能性を発揮するにはビジネスプロセスや標準化の問題が解決される必要がある。

2. 導入の障害が多い

 サプライチェーンへのブロックチェーン技術とそのベストプラクティス導入のネックとなる問題として、標準、堅牢(けんろう)なプラットフォーム、スケーラブルな分散コンセンサスシステム、相互運用性メカニズムのいずれも欠けていることが挙げられる。「サプライチェーン全体でのスケーラビリティを慎重に計画し、サプライチェーンに関する優先順位の高い他の取り組みや、ステークホルダーとの整合性も確保する必要がある。サプライチェーンの拡大や成熟化が進む中、ブロックチェーンの導入は遅すぎても早すぎても組織全体にとってマイナスになりかねない」(スティーブンス氏)

3. 単なる新しいデータベース技術ではない

 多くの人の認識とは異なり、ブロックチェーンは従来のデータベース技術に代わるような技術ではない。例えば、ブロックチェーンには情報の作成、読み込み、更新、削除の機能はない。当面は、従来のデータベース管理ツールおよびプラットフォームが引き続きサプライチェーンで大きな役割を果たすだろう。主にサプライチェーンでは、データが内部で作成、維持、利用される。だが、データベース機能は今後ますますスケーリングされ、より多くのサプライチェーンネットワークパートナーや、最終的には顧客との間で統合される必要がある。

4. サプライチェーン向けのソリューションパッケージはない

 今のところ、サプライチェーン向けのブロックチェーンソリューションパッケージを買うことはできない。ブロックチェーンに関する大きな盛り上がりが続いているが、まだプロトタイプは非常に限られており、部分的にデプロイされるケースすらほとんどなく、しっかりした成果や具体的なユースケースはまだ報告されていない。リスク許容度が高く技術のアーリーアダプターである企業だけが、サプライチェーン管理に関するブロックチェーンの取り組みを、今後2〜5年で行うことを考えてもよいだろう。

5. サプライチェーンでの新しい使い方が登場し続ける

 前述したように、サプライチェーンにおけるブロックチェーンの初期の用途は見いだせる。しかし、ブロックチェーン技術の成熟化とともに、新しく予想外のサプライチェーン向けの使い方や、製品、サービスのタイプが登場する可能性がある。

出典:5 Things Supply Chain Leaders Should Know About Blockchain(Smarter with Gartner)

筆者  Christy Pettey

Director, Public Relations


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