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» 2017年07月13日 05時00分 UPDATE

エンジニアのための文章力養成講座(5):詳しくはマニュアルにお尋ねください――述語の共用にご用心

1つの文の中で述語を共用することがあります。「スキルの習得には時間もお金もかかる」は、「時間」と「お金」が「かかる」という述語を共用しているので問題ありません。しかし「山や海で泳ぐ」は変です。「山に登り、海で泳ぐ」と別の述語を書き足す必要があります。

[阿部紘久,@IT]

「エンジニアのための文章力養成講座」は、書籍「文章力を伸ばす 書くことが、これでとても楽になる81のポイント」(阿部紘久著 日本実業出版社)を基に、出版社と筆者の許可を得て、@IT読者向けに再構成したものです


 「要件定義書」「提案依頼書」「テスト仕様書」――エンジニアは業務でさまざまな文章を書きます。しかし、文章力が足りないと、無駄なことをたくさん書いてしまったり、考えているのとは違うことを書いてしまったり、頭の中にあった大事なことを書きもらしてしまったりしがちです。

 連載「エンジニアのための文章力養成講座」、第5回は「述語」の使い方を鍛えます。文章力を身に付けて、より良いエンジニアライフを送りましょう。

マニュアルに尋ねても、答えは返って来ない

間違い

PCが故障したら、修理か新品を買う

正しい

PCが故障したら、修理に出すか新品を買う

 間違いの文章は「修理を買う」になっています。

間違い

詳しくはマニュアルか、ユーザーサポートにお尋ねください。

正しい

詳しくはマニュアルをご覧になるか、ユーザーサポートにお尋ねください。

 マニュアルに尋ねても、答えは返って来ません。「マニュアルを見る(ご覧になる)」「ユーザーサポートに尋ねる」と、書き分ける必要があります。

インターンで得たものは?

間違い

インターンの期間中、仕事のみならず多くのエンジニアと交流し、その社風に触れることができた。

正しい

インターンの期間中、仕事を覚えるのみならず多くのエンジニアと交流し、その社風に触れることができた。

 原文は、「仕事と交流した」になっています。

原文

この度は私の不謹慎な行動により、ご迷惑とお騒がせを致しました

改善案

この度は私の不謹慎な行動により、ご迷惑をおかけし、お騒がせを致しました

この度は私の不謹慎な行動により、ご迷惑をおかけしました。

 ある女性タレントが電車線路内に立ち入って写真を撮り、それをブログに投稿して、書類送検されました。直後にそのタレントはブログに原文のような投稿をして謝罪しましたが、「(主語)ご迷惑を(述語)致しました」は変な日本語です。

 また、「お騒がせを致しました」という謝罪をよく耳にしますが、「騒ぐ」には「もてはやす、評判にする」などの意味もありますから、潔く謝罪せずに話をそらしているような印象も受けます。もっとストレートに謝ったのが2番目の改善案です。

「転職を持つ」?

間違い

これから先その同僚とは、お互いに転職や家庭を持ったりして、あまり会えなくなると思います。

正しい

これから先その同僚とは、お互いに転職したり家庭を持ったりして、あまり会えなくなると思います。

これから先その同僚とは、お互いに転職や結婚をしたりして、あまり会えなくなると思います。

 「家庭を持つ」を「結婚する」と言い換えれば、2つ目の改善案のように、「する」という述語を共用できます。

 連載「エンジニアのための文章力養成講座」は毎週木曜日掲載です。次回(7月20日掲載)も、「述語」の使い方を鍛えます。

書籍

文章力を伸ばす 書くことが、これでとても楽になる81のポイント

文章力を伸ばす
書くことが、これでとても楽になる81のポイント

阿部紘久著 日本実業出版社 1404円(税込み)

文章力を磨くとは、考える力を磨くこと。「書く力は、考える力そのもの」「受け手発想で書く」「意味の狭い言葉を使う」「長文を書くポイント」など、文章を書くときに大事なことだけれど、なかなか教わることがない81のポイントを、多くの文例と共に分かりやすく解説する。

筆者

阿部紘久

エッセイスト(元国際ビジネスマン)

帝人、米国系企業CEOを経て、2005年から昭和女子大学ライティング・サポートセンターで文章指導を行う。社会人も指導している。

主な著書に『文章力の基本』(日本実業出版社)、『文章力の基本100題』(光文社)、『シンプルに書く! 伝わる文章術』(飛鳥新社)などがある。


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