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» 2017年07月14日 05時00分 UPDATE

Microsoft Azure最新機能フォローアップ(36):Microsoft Azureを“大人買い”できる「Azure Stack」とは

Azure Stackは、Microsoft Azureと共通の技術と管理基盤に基づいた環境を構築できる“オンプレミス版のクラウドパッケージ”です。2017年9月からの出荷に向け、受注受付が開始されました。

[山市良,テクニカルライター]
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連載目次

そもそも、Azure Stackって何ですか?

 Microsoft Azureは、デベロッパーがWebアプリを開発、実行するための、あるいは企業や組織が仮想マシンを展開、実行するための豊富なサービスと俊敏性、拡張性を備えたプラットフォームを提供するパブリッククラウドサービスです。

 しかしながら、アプリケーションによってはネットワークレイテンシが問題になったり、法規制によりクラウド利用が制限されたりする場合があります。「Microsoft Azure Stack(以下、Azure Stack)」は、そうしたさまざまな課題の解決に向けて、企業のデータセンター内にMicrosoft Azureと共通の技術と管理基盤を構築できる“オンプレミス版のMicrosoft Azure”です。Azure Stackにより、IT担当者はオンプレミスでのサービス提供を制御し、開発者はMicrosoft Azureで提供されるさまざまなサービスをオンプレミスに展開できるようになります。

 Azure Stackは、Microsoft Azureと共通の技術に基づいており、Microsoft Azureと一貫性のあるポータルとサービス機能、「Azure Resource Manager(ARM)」による展開と管理、共通の開発環境を提供します(図1)。

図1 図1 Azure Stackの展開イメージ

 Azure Stackは、2016年1月にコンセプトを実証するための初めてのプレビューが公開され、2016年4月にTechnical Preview 1(TP1)、2016年9月にTechnical Preview 2(TP2)、2017年3月のTechnical Preview 3(TP3)を経て、いよいよ2017年9月から出荷が開始されることになります。

 Azure Stackは、ハードウェアパートナーが構築する「Azure Stack Integration Systems(Azure Stack統合システム)」というパッケージで提供され、顧客向けに構成が完了した状態で納入されるので、すぐに運用を開始できることが特徴です。

 Azure Stackの料金は、Microsoft Azureの従量課金モデルと同様の使用量(CPU利用時間やストレージ使用量、トランザクション量など)に基づいて請求されます。そのため、Microsoft Azureに対して使用量データが送信されます。もう1つ、Microsoft Azureに接続しない閉じた環境(非接続モード)にも導入することが可能で、その場合はAzure Stack Integrated Systemsの物理コア数に基づいて、定額のサブスクリプション契約(年単位)で利用できます。

 2017年7月より受注が開始されるのは、Dell EMC、ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)、レノボ(Lenovo)の3社で、日本を含む46カ国で購入することができます。そして、2017年中にシスコシステムズ(Cisco Systems)、2018年第1四半期にファーウェイ(Huawei)からもAzure Stack Integrated Systemsが提供される予定です。

Azure Stack最初のリリースの機能

 Azure Stackは、Microsoft Azureがそうであるように、継続的な機能拡張が行われます。2017年9月から出荷される最初のリリースの主な機能は、以下の通りです。

IaaS(Infrastructure as a Service)

  • 仮想マシン(A、D、Dv2シリーズ)
  • 仮想マシンスケールセット
  • ストレージ(BLOB、テーブル、キュー)
  • ネットワーク(仮想ネットワーク、ロードバランサー、VPNゲートウェイ)
  • Key Vault

PaaS(Platform as a Service)

  • App Service(Web Apps、Mobile Apps、API Apps)
  • Functions
  • MySQL
  • SQL Server

ID管理

  • Azure Active Directory(マルチテナントサポート)
  • Active Directoryフェデレーションサービス(AD FS)

Marketplace

  • Linuxイメージ(RHEL、SUSE、CentOS、Debian、Ubuntu、CoreOS)
  • Windows Serverイメージ
  • Azure Dockerエクステンション
  • Desired State Configuration(DSC)エクステンション
  • SQL Serverテンプレート
  • Cloud Foundryテンプレート
  • Pivotal Cloud Foundryテンプレート
  • Blockchainテンプレート

など


ハードウェア環境

  • 4〜12ノード/スケールユニット(2017年中に最大16ノードに拡張予定)、シングルスケールユニット/リージョン(2017年中に複数スケールユニット/リージョンに対応予定)、シングルリージョン
  • ワークロードに影響しないプラットフォームのパッチ更新(2017年中に複数障害ドメインをサポート予定)

など


2018年に予定されている機能拡張

 2018年中には、次のような機能拡張が予定されています。

IaaS

  • 管理ディスク(Managed Disk)など、Azureと共通の機能拡張

PaaS

  • Service Fabric
  • Container Service

その他

  • Azure Site Recoveryによる自動化された災害対策

ハードウェア環境

  • ジオ(Geo)冗長とクロスリージョンスケールのためのマルチリージョンサポート

シングルサーバで評価できるPoC(Proof of Concept)

 Azure Stackを運用環境に導入するにはAzure Stack Integration Systemsとして導入することになりますが、導入を検討する前にシングルサーバでAzure Stackの試用環境を構築し、評価することができる「Azure Stack Deployment Kit(ASDK)」の提供も開始されました(画面1)。

画面1 画面1 画面:Azure Stack Development Kit(ASDK)

 最小でも12物理コア、96GBのメモリ、5台のSSDまたはHDD(OSディスク200GB×1台+ストレージ用ディスク140GB×4台)を備えた物理サーバが必要です。なお、Azure Stack Deployment Kitで運用環境を構築することはできませんが、Azure Stack Deployment Kitで構築した環境で開発したアプリケーションをAzure Stack Integrated Systemに展開することは可能です。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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