職場の“味見”は学生のうちに――「Wantedly People」Web版をほぼ1人で開発した東大院生のネオジョブホッピング体験記まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと(14)(3/3 ページ)

» 2017年07月24日 05時00分 公開
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味見の“おかわり”で「Wantedly People」PC版を開発する

 再び、ウォンテッドリーに舞い戻った泉さん。2度目のインターンシップでは、同社の名刺管理アプリ「Wantedly People」PC版の開発を担当することになった。

 「Wantedly People」は、既にスマートフォン版がリリースされていたが、PC版は開発未着手だった。しかし泉さんが戻ってきたので「開発をスタートさせよう」ということになった。2017年1月のことである。

 4月までは、ほぼ1人でPC版の開発を進めた。とはいえ、ほったらかしということではない。同社のインターンシップはメンター制が敷かれており、泉さんのメンターには、元Googleの経験豊富な先輩エンジニアが付いてくれた。

 だからこそ、泉さんに自由にやらせてくれたのである。また、画面デザインは、同社のデザイナーが基本的なデザインを先に仕上げてくれていた。

 「スマートフォン版が先にあったので、そこからどの機能を採用し、どの機能を割愛していくかなどを考えながら実装していきました」

 前回の社内SNSにはAngularJSを使ったが、今回の開発にはFacebookが提供しているJavaScriptライブラリであるReact.jsを使った。これを決めたのも泉さんだという。

 開発終盤の4月には、それまでアルバイトだったスタッフ1人が社員として入社し、PC版の開発プロジェクトに加わった。

 4月下旬、晴れてPC版リリースの日を迎えた。

 「リリース後1〜2週間は、ユーザーからの評判を見聞きするのが怖くて、『Twitter』や『はてブ』を見られませんでした」

味見をして、本当に望んでいることが分かった

 リリースが終わって運用フェーズに入ったある日、人事担当者から呼び出されたので部屋についていくと、新卒採用の最終面接がセッティングされていたという。

 高専時代から複数社で味見=就業体験をしてきた泉さんが、ウォンテッドリーに入社を決めた理由は何だったのだろうか?

 「本当にいろいろなことをやらせてくれたのがウォンテッドリーでした。周囲が優秀な人たちばかりなのも、良い刺激になります。もっとここで働きたいと思ったのが決め手です」

 居心地の良さもポイントだった。

 同社のオフィスは土足禁止。全員、靴を脱いでリラックスして働いている。オフィス内もデスクだけでなく、ソファやカウチ、カウンターとスツールなどが設置されており、自室にいるようにくつろいで働けるよう配慮されている。

リラックスしてプログラミングをする泉さん

 同社では、在宅ワークやノマドワークのようなリモート環境での仕事を推奨していない。というのも、人と人とが顔を突き合わせて仕事を進める場にこそイノベーションが生まれるという考え方が根底にあるからだ。

 こうした考え方を持つのは同社だけではない。近年では大手ネット企業やSIerなども、イノベーション創出のためのスペースを自社内に設けるケースが増えている。

 同社の取り組みは、まさにIT業界の新しい動きといえるだろう。

 実際に働いてみなければ分からない「企業風土」や「同僚の力量」、それらを知るためには、実際に働いてみるに越したことはない。

 しかし、一度就職してしまうと、そうそう身軽に転職を繰り返すことはできない。だからこそ、学生時代のうちに、いろいろな会社を味見できる「インターンシップ」が有効なのだ。

 「転職のリスクを負わずにいろいろな企業を体験して、スキルアップしたりコードを見せてもらえたりするのは学生ならではの特権」と泉さんが表現する「インターンシップ」は、新型のジョブホッピング=「ネオジョブホッピング」かもしれない。

次回も、トップエンジニアに就活のアドバイスを聞く

 本連載では、今後もIT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞いていく。ぜひお楽しみに。

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