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» 2017年08月04日 05時00分 UPDATE

Gartner Insights Pickup(27):ソーシャルアナリティクスが失敗する5つの理由

ソーシャルメディアデータの力は、分析の即時性や精度の高さにある。

[Christy Pettey, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップ。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 フォロワー数をカウントしたり、「いいね」を集計したりすることが、ソーシャルメディアの成功度を測定する効果的な方法では決してない。多くのアナリティクスの専門家から見て、ソーシャルアナリティクスは、期待通りの成果に結び付いていないようだ。

 2017年3月に米国で開催されたGartner Data & Analytics Summitにおいて、ガートナーのリサーチディレクターであるジェニー・サシン氏は、「ソーシャルアナリティクスの失敗の大半は、その実行する過程でアナリティクスやビジネス担当者が犯すミスに起因しており、データの欠陥のせいではない」と説明した。

 「現在のソーシャルアナリティクス市場は成熟していない。一部の企業は、明確な目的を設定した上でソーシャルメディアコンテンツの分析に取り組んでいる。だが、大多数はまだ試行段階にある。ソーシャルメディアのモニタリングを行ってはいるものの、その結果に基づいて行動を起こしてはいない」(サシン氏)

 サシン氏は、企業におけるソーシャルアナリティクスが失敗する5つの理由を取り上げ、それらの解決策とともに説明した。

1. 分析対象とするSNSの選定が間違っている

 企業は多大な時間をかけて、主にTwitterやFacebookのコンテンツを分析し、その一方で、自社にとってもっと有益な分析対象になる可能性がある他のソースを軽視している。企業/消費者間取引(B2C)を手掛けていない企業にとっては、フォーラムやブログ、Reddit、LinkedInの方が情報源として役立つこともある。また、B2Cの企業にとっては、人気のソーシャルネットワークから得る情報は、どうしてもノイズが多くなってしまっている。

 企業は、「自社がどの地域で営業しているか」「男性と女性のどちらをターゲットにしているか」「平均的な顧客はどのような年齢層か」「どのような種類のデータ(テキスト、画像、動画)を検討するか」といったことを考える必要がある。そうすれば、自社のソーシャルアナリティクスに最適なソーシャルメディアを選定できる。

2. 情報を集め過ぎ

 ソーシャルアナリティクスから価値を引き出すには、「社名や商品名が登場するコンテンツをモニタリングするだけでは、ソーシャルアナリティクスの成功は到底望めない」ことを企業が理解することが重要だ。ソーシャルメディアはアナリティクスアプリケーションプロバイダーに、さまざまな方法でフィルタリングできるメタデータを提供する。こうしたメタデータが、企業がビジネス上の疑問への答えに近づくのに役立つ。

 「ソーシャルメディアのクエリを特定の疑問を表すように作成するには、地域や感情など、さまざまなフィルタを適用する必要がある。こうしたクエリを使って正しい答えに近づこうとすることが、ビジネス上の重要な意思決定に役立つ情報だけをより分けるコツだ」とサシン氏は説明している。

3. 情報を集めるだけで何もしない

 企業はソーシャルアナリティクスに莫大(ばくだい)な費用を投じているが、その多くは得られた洞察を説明できるだけで、行動につなげていない。これは、洞察の獲得を担当する組織が通常、洞察によって有意義な行動を取れるはずの組織と切り離されているからだ。この分離は、企業がソーシャルアナリティクスによって真のビジネス成果を上げる妨げになっている。

 「企業はプロセスまたは技術的アプローチを通じて、この問題を乗り越えられる。アプローチの1つは、データをすぐに活用できそうなビジネス部門にソーシャルアナリティクスプロジェクトのスポンサーになってもらうことだ。もう1つは、リアルタイムの意思決定支援や関連するビジネス部門の自動化を実現する仕組みを備えた、先進的なアナリティクスソリューションを利用することだ」(サシン氏)

4. 戦略を考えずに技術を選択

 多くの企業は、自社のビジネス目標の達成に貢献するかどうか分からないままソーシャルアナリティクス技術を選択する。これは多くの場合、ビジネス目標を踏まえて導入を検討、判断するのではなく、同業他社の技術投資に追随しようとしているからだ。

 企業はソーシャルアナリティクスプロバイダーを選択する際、5つの重要な要素を考慮する必要がある。それはデリバリーモデル、言語サポート、特定業種・業務に関するノウハウ、パートナーやインテグレーターとの関係、そして、どのようなユースケースに対応しているかだ。

5. ソーシャルデータをサイロ化

 企業がソーシャルアナリティクスの活用に失敗するのは、ソーシャルメディアデータを電子メールデータや通話記録、調査など、社内外の無数のソースと組み合わせることなく、単独で見るからでもある。

 「企業がデータサイロを克服する方法は3つある。すなわち、『ツールを1つに統一する』『レポートを1つのダッシュボードに集約する』『ギャップを埋めるプロセスを構築する』という方法だ。結局のところ、ソーシャルデータは情報源の1つでしかない。ただ、サイロ化された他の情報源とソーシャルデータを組み合わせることで、真のビジネス価値が実現される」(サシン氏)

出典:5 Reasons You’re Failing With Social Analytics(Smarter with Gartner)

筆者  Christy Pettey

Director, Public Relations


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