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» 2017年09月07日 05時00分 公開

「The Next Platform」で読むグローバルITトレンド(9):Googleはインターネットを再構築したいのか(前編) (1/3)

Googleが、SDNスタック「Espresso」を開発した。Googleは、Espressoがインターネットで自社のユーザーのために行われるルーティングの在り方を変える可能性だけでなく、インターネットルーティングの全体的な在り方を形作る可能性もあると考えている。これまでにも見られたように、Googleのアイデアが世界を変える決定的瞬間の1つが訪れようとしているのかもしれない。

[Timothy Prickett Morgan, The Next Platform]

英国のIT専門媒体、「The Register」とも提携し、エンタープライズITのグローバルトレンドを先取りしている「The Next Platform」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップ。プラットフォーム3へのシフトが急速に進む今、IT担当者は何を見据え、何を考えるべきか、バリエーション豊かな記事を通じて、目指すべきゴールを考えるための指標を提供していきます。

 あなたの会社の全てのビジネスが、インターネット経由でアプリケーションを利用するエンドユーザーに支えられている場合、ネットワークはインフラの根幹と言える。Googleが自前のネットワークスタックの構築に莫大(ばくだい)な投資を行っているのはそのためだ。同社は検索エンジンとネット広告で強大な勢力を誇り、メディア配信やホステッドエンタープライズアプリケーション、クラウドコンピューティングへとビジネスを広げている。

 だが、自社のデータセンターにおいて高速かつ効率的なハイパースケールネットワークを運用するだけでは、良好なユーザーエクスペリエンスを提供するには不十分だ。そこでGoogleは、パブリックインターネットでルーティングを行うためのSDN(Software Defined Networking)スタックとして「Espresso」を開発した。Googleは、Espressoがインターネットで自社のユーザーのために行われるルーティングの在り方を変える可能性だけでなく、インターネットルーティングの全体的な在り方を形作る可能性もあると考えている。これまでにも見られたように、Googleのアイデアが世界を変える決定的瞬間の1つが訪れようとしているのかもしれない。

 Googleのフェローでネットワーキング技術責任者を務めるアミン・バーダット氏は、最近、パブリックインターネット上でのEspressoを使ったルーティングのGoogle実装を詳しく紹介した。Espressoは、これまでに発表された同社のネットワーキングの4つ目の柱だ。またバーダット氏は、ネットワーキング技術(ハードウェア、ソフトウェアとも)がこの10年、なかなか進化が進まず雌伏の時期にあったものの、ここにきてイノベーションのペースが持ち直し始めている状況についても説明した。これについては、われわれも最近、考察記事を掲載している。

Googleのネットワーキングに関するさまざまな取り組み

 ハイパースケールデータセンターを運営している企業は皆、10年以上前から自前のネットワークを構築してきた。その中には自社開発のスイッチとルーターに加え、それらを動作させる包括的なソフトウェアスタックが含まれる。このソフトウェアスタックは、IT業界やアプリケーションプロバイダーの中で大きな競争優位を自社にもたらすコンピュータおよびストレージインフラと同様に、スイッチやルーターを柔軟かつスケーラブルに動作するように構築されていた。

 2013年、Googleは同社のSD-WAN(Software Defined WAN)「B4」について一部の詳細を明らかにした。B4はデータレプリケーションとワークロード共有のために、同社のグローバルデータセンターを相互に接続している。このWANでは上のグラフのように、トラフィックが急激に増加している。Googleとそのクラウドサービスの顧客がグローバル化を進め、アプリケーションとデータについて高い可用性を確保するためにレプリケーションを利用していることが大きな理由だ。

 バーダット氏は2014年に(われわれThe Next Platformの立ち上げ前)、ネットワーク仮想化スタック「Andromeda」の詳細を明らかにした。AndromedaはGoogleのネットワークファブリック上で動作し、同社のパブリッククラウド「Google Cloud Platform」を利用する顧客にネットワーク機能を提供する。

 バーダット氏は2015年6月にも、Googleが自社のデータセンタースケールのネットワークを支える独自のスイッチとルーターの構築に乗り出さざるを得なかった理由を説明するとともに、Googleの最新世代の「Jupiter」ネットワークを支えるソフトウェアの詳細についても明らかにした。Jupiterネットワークは2013年時点で、同社のデータセンターで1.3Pbps(ペタビット/秒)を超える2分割帯域幅を実現できるようになっていた。これは、10万台以上のサーバがそれぞれ10Gbpsでデータ交換を行える帯域幅だ。

 バーダット氏は、AndromedaやJupiterを管理するソフトウェアについても説明した。このソフトウェアは偶然とは言えないほど、クラスタおよびコンテナ管理システムの「Borg」と似ている。Borgは、Googleがこれまでに生み出してきた中で、Hadoopに実装されているデータ分析技術「MapReduce」に次いで重要な技術だろう。

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