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» 2017年10月04日 05時00分 公開

「私の一部はスタンフォード大学で開発されました」:「ナイトライダー」の「K.I.T.T.」を、2017年のテクノロジーで解説しよう (4/5)

[米持幸寿(Honda Research Institute Japan),@IT]

K.I.T.T.の喋り

 K.I.T.T.は男性の声で喋る。もちろん、ドラマ制作では声優が喋っている。

 対話システムに関わる身としては、少し安心する仕様である。なぜかというとK.I.T.T.はいつも淡々と喋り、叫んだり、怒鳴ったり、歌ったりしない。この「淡々と喋る」のであれば、現代の「音声合成(TTS)」でもある程度は可能だ。

複数人との対話

 マイケルは別の人をKNIGHT 2000に乗せることがある。毎回、入れ替わりで美女をナンパして乗せてあげるのが定番だ。「荒野の大戦争! 地獄の暴走族スコーピオンズ対ナイト2000」では、売店の売り子の弟デイビーも乗せた。

 K.I.T.T.はマイケル・ナイト、デボン氏、デイビーやナンパした女性など、それぞれ個人を特定している。これは非常にすばらしい認識能力だ。

 現代の対話システムの多くは、人を特定しない。入ってきた言葉を「音声認識(ASR)」でテキストにした後、そのまま処理するからだ。ただし、2017年になって発表された数種類のスマートスピーカーは、音声により人を識別するようになった。顔画像を使った個人の識別システムは、さまざまなアプリケーションで実用化が進んでおり、対話システムに組み合わせて似たことが徐々にできるようになってきている。

POINT!

K.I.T.T.の対話技術は、搭乗者個々人を認識でき、叫んだり歌ったりせず淡々と喋る

運転能力

爆破攻撃を避けながら走り回るKNIGHT 2000(KNIGHTRIDERコンプリートブルーレイBOXトレーラー」から引用)

 K.I.T.T.はKNIGHT 2000を運転する能力(機能)がある。

 ご存じのように自動運転はカーメーカー各社がしのぎを削る時代に入った。完全自動化された自動運転車を「レベル4」と呼ぶが、そのレベルに達している車はまだ発売されていない。現在は限定された環境(高速道路の一部の区間や特別なセンサーが整備された駐車場内など)で一時的に手を離しても良いレベルで、人間は常に運転を代われる状態で注意していなければならない、という「レベル2」が実現され始めているにすぎない。

 K.I.T.T.は普通に道を安全に走るだけではない。高速走行では人が運転するよりも上手に、あるいは普通の車ではできないような運転もこなす。「炸裂サミーの壮絶スタントショー」では片輪走行を披露した。「渓谷の水を守り抜け」の中では闘牛士のような動きで雄牛をなだめる。

 KNIGHT 2000には「アンカーワイヤー」や「ロケット弾」「火炎放射」などの機能(武器?)が装備されている。アンカーワイヤーを駆使して急旋回するなど、うまい使い方をして機能を活用している。

 さらに、軍隊のロケット砲からの攻撃を避けながら走り回ったり、崖から飛び降りたりする。フィクションだから仕方がないが、当然そんなことが一般の自動車にできるわけはない。

 こういった動作をさせるには、一定の条件でプログラムしておく(アンカーワイヤーを使った急旋回、ロケット弾からの逃避走行)が必要かもしれないし、もしかしたらもっと高度にロケットや車体の運動を勝手に推測して行動しているのかもしれない。

 現代の自動運転技術やロボット制御技術の多くは、基本的にはあらかじめ想定してあることが重要な開発要件だ。状況を自然と読み取り、想像を働かせて運転するという芸当は、当分できないだろう。

POINT!

K.I.T.T.の自動運転能力は「レベル4」をはるかにしのぎ、人間ではマネできないような運転技術を実現している

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