連載
» 2017年10月04日 05時00分 公開

「私の一部はスタンフォード大学で開発されました」:「ナイトライダー」の「K.I.T.T.」を、2017年のテクノロジーで解説しよう (5/5)

[米持幸寿(Honda Research Institute Japan),@IT]
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ネットワーク能力

コムリンクでK.I.T.T.と会話するマイケル・ナイト(KNIGHTRIDERコンプリートブルーレイBOXトレーラー」から引用)

 K.I.T.T.には幾つかの通信機能がある。

 例えば、デボンとボニーが大型のキャリアで支援に来るシーンでは「K.I.T.T.に呼ばれて飛んできた」と言っている。K.I.T.T.はマイケルと「コムリンク」と呼ばれる腕時計型の通信装置で会話できる。悪党の調査などもこなしている。人物のプロフィール情報を検索し、過去の経歴や最近の動向などを調べて報告するシーンが頻繁に登場する。

 現代の技術に影響を受けてしまっている私たちは、「デボンを呼び出すには、電子メールやチャットメッセージを飛ばしただろう」「遠隔で会話しているのは、スマートウォッチだろう」「悪党の経歴は、インターネット経由で警察や軍のデータベースにアクセスしただろう」と邪推してしまう。

 しかし1985年の制作当時にはそういうものはなかったので、ナイト財団が国や軍の協力を得て「独自に開発した特殊装備」で成り立っていたに違いない。ナイト財団が独自にGPS衛星や通信衛星を打ち上げていた可能性も否定できない。

 K.I.T.T.の働きとして特筆しなければならないのは、いちいち指示しなくても行動に移す「気の利かせよう」である。「支援のためにデボンを勝手に呼び出す」「夜のうちに悪党のプロフィールなどを検索して調べておいてくれる」、そういう「気の利く」知能技術を、われわれも早く実現できるようになりたいものだ。

POINT!

K.I.T.T.には何らかの通信機能があり、マイケルの指示がなくても、事情を鑑みて仲間に連絡をしたり、情報収集したりできる

人間性

 K.I.T.T.には「人間性」のようなものが存在する。

 初回、デボンがマイケルにK.I.T.T.を紹介するときに「マイケルだけを守る」と伝えるシーンがある。ドラマ中、マイケルとK.I.T.T.は当時の刑事ドラマによく見られた「相棒」のような関係が描かれており、マイケルとK.I.T.T.の間には強い絆(きずな)があるように感じられる。

 「炸裂サミーの壮絶スタントショー」でマイケルが星型の銀のステッカーを貼っていると、「星のシールで機能が向上すると思えません」と抗議する。ステッカーがお気に召さない様子だ(私は学生時代乗っていたスカイラインに星型シールを貼っていた……)。まるで「自分は黒一色」であることにステイタスを感じているかのようである。

 「ジェット機に飛び乗れ」の最後のシーンで、雑誌に掲載された美女ローレンが水着姿でKNIGHT 2000にもたれ掛かっているグラビアを見て「私だけを撮って欲しかった」とK.I.T.T.が不満を漏らすシーンがある。美女には興味ないが、自分はきれいに写りたいという「自己顕示欲」のようなものを感じる。そして、マイケルと正反対で美女には冷たい。

 「ロボットを含むAIシステムに、人間性を持たせよう」という研究が現代では盛んである。まだまだ難しい分野ではあるが、K.I.T.T.のように「人と絆を感じられるような」ものを作れる時代をわれわれは目指し続けなければならない、とつくづく考えさせられた。



 連載「テクノロジー名作劇場」は今後も、AIやロボットが登場する映画や漫画、テレビドラマなどを取り上げる予定です。次回掲載をお楽しみに!

筆者プロフィール

米持幸寿

米持幸寿

人工知能とロボットのシステムインテグレーター

Honda Research Institute Japanで実用化部門ダィレクターとして、インテリジェントテクノロジーの開発に関わる。前職は、日本IBMでソフトウェア関連の仕事を28年。研究・開発、マーケティング、セールス、開発支援、アフターサービスなど、ソフトウェアビジネスの多くの業務を経験。

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