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» 2017年11月07日 05時00分 公開

その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(96):Windows Server 2016の次は「1709」? いえ、2016の次はまだ出ていません! (1/2)

Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)が一般向けにリリースされた同じ日に、Windows Serverの最新バージョン「Windows Server バージョン1709」もリリースされました。Windows Serverの最新バージョンであることには違いありませんが、“Windows Server 2016の次のバージョン”というのは正確ではありません。Windows Server 2016向けの「機能更新プログラム」では決してありません。“Windows Server 2016とは別の製品の新(初)バージョン”といった方がいいかもしれません。

[山市良,テクニカルライター]
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Windows Server バージョン1709は、Windows Updateではやってこない

 2017年10月17日(日本時間18日未明)に「Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)」がリリースされ、Windows Updateによる配布が開始されました。Windows Updateによる配布は段階的に行われているため、その日にすぐバージョン1709の「機能更新プログラム」が来たという人もいれば、まだ来ていないという人もいるでしょう。

 同じ日に「Windows Server バージョン1709(ビルド16299)」もリリースされ、Microsoftの「ボリュームライセンスセンター(VLSC)」と「MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクライバー」でISOイメージが公開され、ダウンロードが可能になりました。

 以下のMicrosoftのアナウンスによると、Microsoft AzureのMarketplaceでも同時に利用可能になったように書いてありますが、実際にMarketplaceに登場したのは2017年11月に入ってからでした(筆者が確認できたのは日本時間2017年11月1日)。

 導入済みのWindows Server 2016があったとして、Windows Updateを実行しても、Windows 10のようにバージョン1709の機能更新プログラムとして検出されることはありません。第一に、Windows Server 2016とWindows Server バージョン1709は、ライセンス体系とサポートポリシーが違います。第二に、Windows Server 2016とWindows Server バージョン1709はSKU(別製品として扱われる製品単位)が異なります。その意味において、Windows Server バージョン1709は、Windows Server 2016の次のバージョンではありません。

バージョン1709はSKU 145または146のServer Coreインストール

 Windows Server バージョン1709(ビルド16299)は「半期チャネル(Semi-Annual Channel)」サービスモデルで提供される、Windows Serverの新しい、初のバージョンです。このサービスモデルは、Windows Serverのソフトウェアアシュアランス(SA)契約に基づいて提供されるものです。

 一方、Windows Server 2016は「Long Term Servicing Channel(LTSC)」(旧称、Long Term Servicing Branch:LTSB)として提供される“永続ライセンス”であり、従来と同様、数年ごとに新バージョン(LTSCの次のバージョン)がリリースされる予定です。これにSAを付けることは可能ですが、その場合、SAの有効期間中、LTSCの次バージョンにアップグレードすることもできますし、半期チャネルに移行することもできます。

 なお、LTSCは標準で10年の長期サポート(Premium Assurance契約でさらに6年延長して、最大16年)が提供されますが、半期チャネルは各リリース最大18カ月のサポートになります。

 Windows Server バージョン1709を導入する方法は2つあります。1つはISOメディアからのクリーンインストール。もう1つは後述する「コンテナベースのOSイメージ」としての導入です。Windows Server バージョン1709のクリーンインストールは「Server Coreインストール」のみで、デスクトップエクスペリエンスの機能は提供されません(画面1)。デスクトップエクスペリエンスは、今後もLTSCバージョンでのみ提供されます。

画面1 画面1 Windows Server バージョン1709は、Server Coreインストールのみ。デスクトップエクスペリエンス機能はない

 Windows Server バージョン1709で利用可能な「サーバーの役割」と機能をざっと確認してみたところ、Windows Server 2016のServer Coreインストールとほとんど共通していました。Server Coreインストールでもともとサポートされていない「FAXサーバー」「リモートデスクトップセッションホスト」「MultiPoint Services」は、Windows Server バージョン1709でもサポートされません。その他、「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」が既定で削除された状態でインストールされる点が異なるのと、新たに「Windows Subsystem for Linux」の機能が追加されている点が異なります(画面2)。

画面2 画面2 SMB 1.0/CIFSのサポートが既定で削除されている点と、Windows Subsystem for Linuxが新たに追加された点が異なる

 なお、LTSC製品は「Windows Server 2016」のような固有の製品名を持ちますが、半期チャネル版は「Windows Server バージョンYYMM」(YYは西暦の下2桁、MMは2桁表記の月)と表記することにも注意してください。つまり、「Windows Server 1709」という表記は正式ではありませんし、18世紀(1700年代)に作られた年代物でも、平安時代からの遺物でもありません。そして、LTSC製品であるWindows Server 2016の次期バージョンは「Windows Server 20XX」という名称(XXは未定)でリリースされるはずです。

 しかし、半期チャネルのリリースサイクル(1年に3月ごろと9月ごろの2回のリリース)とバージョン命名規則がこのまま進むとなると、過去のLTSC相当の製品との関係で、2020年にはさらにややこしいことになりそうです。2020年には、Windows Server バージョン2003とバージョン2009が出てくるでしょう。ご存じのようにWindows Server 2003は既にサポートが終了しましたが、Windows Server 2012/2012 R2については、2020年でもまだ現役のところが多いのではないでしょうか。

 Windows Server 2016のServer Coreインストールから、Windows Server バージョン1709にインプレースアップグレード(アプリケーションとデータを引き継いだアップグレード)は可能かというと、それはできません。「できない」ことは、公式ブログのコメント欄のやりとりからもうかがえますし、実際にやってみて確認しました(画面3)。

画面3 画面3 Windows Server 2016のServer CoreインストールからWindows Server バージョン1709にインプレースアップグレードは“できない”

 つまり、Windows Server 2016の環境からWindows Server バージョン1709の環境に移行するには、「ローリングアップグレード方式」で行う必要があります。

 例えば、Hyper-V環境であればホストクラスタを構築し、ノードを1台ずつバージョン1709に入れ替えます。Active Directory環境であれば、バージョン1709のドメインコントローラーを追加して、Windows Server 2016を削除していくという感じです。その他の役割やアプリケーションについても、それぞれ利用可能なローリングアップグレード方式を使用することになるでしょう。ただし、「記憶域スペースダイレクト(S2D)」の機能は、Windows Server バージョン1709から削除されているので、これを移行することはサポートされないようです。

 ライセンスの話は別として、「同じServer Coreインストールなんだから、インプレースアップグレードはできるんじゃない?」と思いましたが、そこでふとWindowsの「SKU(Stock Keeping Unit)」番号のことを思い出しました。Windows Server 2016のSKU番号は、以下の連載記事で説明したように、デスクトップエクスペリエンスとServer Coreインストールに関係なく、Datacenterが「8」、Standardが「7」でした。

 Windows Server バージョン1709のSKU番号を確認したところ、Datacenterが「145」Standardが「146」でした(画面4)。

画面4 画面4 Windows Server バージョン1709のSKU番号は、Datacenterが「145」、Standardが「146」

 SKU番号が違うということは、「異なる製品(エディション)」という扱いです。Windows 10でいえば、Windows 10 Enterprise(SKU 4)とWindows 10 Enterprise LTSB(SKU 125)でインプレースアップグレードはできません。それが、Windows Server バージョン1709へのインプレースアップグレードができない理由だというのが筆者の考えです。

 おそらく、今回、Windows Server バージョン1709をクリーンインストールで導入すれば、次回(2018年3月ごろ)半期チャネルのリリース時にはインプレースアップグレードができるのではないでしょうか(あくまでも個人的な想像です)。その際、Windows Updateで更新されるのか、そうでないのかも気になるところです。

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