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» 2017年11月29日 10時00分 公開

医療DWHソリューションのさらなる“価値向上”のために:国内110の病院で活躍する医療DWH「CLISTA!」がSQL Serverを積極採用

大量データの分析結果から有用な情報を取り出すデータウェアハウス(DWH)は、医療の世界においても、病院経営や診療を改善するためのツールとして使われている。その代表的な製品が、医用工学研究所の医療DWH「CLISTA!」。同社は、「CLISTA! Data Model(CDM)」という同社独自のデータ共通フォーマットの作成にあたり、CLISTA!のデータベースとして「Microsoft SQL Server」を積極採用。その先に見据えているのは、Microsoft Azure上でのクラウドサービスとしての提供だ。

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経営効率化、診療の質向上、研究に生かすDWHを提供

ALT 医用工学研究所 取締役副社長 加藤一氏

 「2017年からの中期計画を策定するにあたり、『CLISTA!』の共通フォーマットである『CLISTA! Data Model(CDM)』の適用において最適であるSQL Serverを積極採用すること、そしてクラウドへの対応を進めることを社の方針として決定しました」

 医用工学研究所(本社:三重県津市)の取締役副社長である加藤一氏は、このように言い切る。「医療の運営と発展を情報のバックエンドから支える」をミッションに掲げ、2004年12月に三重大学発のベンチャー企業として創業した同社のメインビジネスは、医療DWHソリューション「CLISTA!」の立案、構築、導入。CLISTA!でデータを一元化し、“見える化”することで、「病院・医療機関の経営や運営の効率化」「業務改善」「診療の質向上」「研究」などに役立ててもらうことを目指している。

 同社が医療DWHに取り組むようになった背景には、厚生労働省が進める「医療の電子化」により、大量の医療情報がデジタルデータ化された状態で病院内に散在するようになったことがある。医療電子化の中核となるのは電子カルテシステムだが、それ以外にも病院内の各部門には医事会計システム、看護管理システム、手術システム、調剤システムなど、多種多様な医療情報システムが存在している(図1)。

図1 図1 標準的な病院のシステム構成。中核となる電子カルテシステムの他、各部門にさまざまな医療情報システムが導入されている(出典:「標準的電子カルテ推進委員会資料」より医用工学研究所作成図)《クリックで拡大します》

 1つの病院で30種類以上、多いところでは70種類以上のシステムが存在しているという。それぞれのシステムや機器がバラバラに運用されていると、病院内のさまざまな医療データから経営、診療、研究に役立つ有益な情報を統合的に取り出すのは難しい。

 医用工学研究所のCLISTA!は、病院内のさまざまな医療情報システムに格納されているデータを集約し、統合的に扱えるように整理した上で、容易に二次利用できる仕組みを提供する(図2)。

図2 図2 医療DWHシステムの仕組み。病院内の各システムから医療データを抜き出し、統合的に扱えるように整理してから二次利用する(出典:医用工学研究所)《クリックで拡大します》

 CLISTA!では「統計機能」と「検索機能」によって、疾病管理、業務支援、経営支援、診療支援、研究支援などを実現する(図3)。

図3 図3 CLISTA!が提供する「統計機能」と「検索機能」。DWHのデータを基に疾病管理、業務支援、経営支援、診療支援、研究支援などの機能を実現する(出典:医用工学研究所)《クリックで拡大します》

 2007年に販売がスタートしたCLISTA!は、既に国内110(2017年10月末現在)の病院で稼働中だ。大学病院や公立病院だけでなく、地域の中核病院となっている民間医療機関にも数多く導入されている。

 しかし、病院で使われている医療情報システムの種類は多く、データベース構造やデータ形式も統一されていない。電子カルテだけみても、ベンダーがそれぞれのデータベース構造や形式で病院へ提供を行っている。医用工学研究所はこれまで、約10の電子カルテメーカーと接続し、それぞれのベンダーとの連携の中で二次利用に最適なデータ構成を研究し再設計を行ってきた。これによって構築された医用工学研究所独自のデータ共通フォーマットが「CLISTA! Data Model(CDM)」である。

 CDMは、異なる電子カルテデータを1つのデータモデルへ統合していくことができる。診療データだけではなく、医事会計データも統合され、ベンダーに依存しない医療マネジメント基盤となる。これは複数の医療機関、異なる電子カルテのデータを1つのデータに統合し、長期のデータ保全を視野に入れながら、医療現場でのデータ活用の利便性を飛躍的に高めるために考慮されたデータモデルである。

CDMの適用に最適なSQL Serverを積極採用

ALT 医用工学研究所 営業部 営業推進Gリーダー 加藤昭吾氏

 では医用工学研究所はなぜ、CDMの適用においてSQL Serverを積極採用することにしたのだろうか。

 その理由を、同社営業部の加藤昭吾氏(営業推進Gリーダー)は「病院やユーザーに寄り添うことを第一に考えると、機能面でもコスト面でもSQL Serverが最適でした」と説明する。

 機能面での根拠の1つは、SQL Serverの「SQL Server Integration Services(SSIS)」の機能を最大限に使用し、さまざまな電子カルテデータからCDMへ、高速に安定してデータを取り込んで、データの再構成を行うことができることにある。また、データベースそのものについても、開発の指揮を執る河北陽平氏(開発課長)は「SQL Serverは『列インデックス』や『パーティショニング』などの機能が充実してきたので、統計機能のパフォーマンスをさらに向上できると判断しました」と振り返る。

 コスト面では、他のデータベースを利用した場合に比べてCLISTA!の構築コストを抑えられることが大きな魅力だったという。「中期計画では、2020年までに400の病院に納入することを目標としました」と、加藤一氏。現状の4倍という高い目標を達成するためには、大学病院などの大病院だけでなく、中小規模の病院も導入できる“お求めやすい製品”を必要としていたのである。

 CLISTA!をクラウドサービスとして提供する計画があったことも、SQL Serverの積極採用を決めた大きな理由だ。施設の大きさに限界がある中小規模病院では、サーバルームが電子カルテシステムや医事会計システムのハードウェアで一杯になっているところも多い。そうした顧客層に医療DWHを利用してもらうには、将来的なハードウェアの拡張や増設を必要としないクラウドサービスが向いていることは明らかだ。

 CLISTA!をクラウド化する際の基盤として医用工学研究所が検討しているのは、ビッグデータ分析や人工知能(AI)関連のサービスが充実している「Microsoft Azure」だ。「Microsoft Azureとの親和性も考えて、CLISTA!用のデータベースはSQL Serverを積極的に採用しています」と加藤一氏は話す。

 また同社では、病院原価計算システムとして「HOMAS-Cloud」を全国に展開しているが、同製品もMicrosoft Azureを利用しクラウド化されている。

データの移行にはSSISの活用と独自データフォーマットで対応

 病院システムのリプレース等による他のデータベースからの移行作業なども、SQL Serverであればスムーズに行うことができるという。

 「CLISTA!ではデータベースに依存する機能は外部モジュールとして分離し、CLISTA!本体のアプリケーションではSQL規格の標準的なSQL文しか扱わないようなアーキテクチャにしています。ですから、CLISTA!本体のコードを書き替える必要はありませんでした」と振り返るのは、CLISTA!の開発作業に携わる安田和宏氏(開発課主任)。社内エンジニアのほとんどがSQL Serverに詳しかったので、特に専門のトレーニングは不要だったと付け加える。

 問題となったのは、リプレース等による他のデータベースからの移行作業が発生する場合、DWHのデータをどうやってSQL Serverに移し替えるか、という点だけだった。

 CLISTA!のデータベースを移行する場合、新旧の両データベースがSQL Serverであれば特に問題はない。しかし、SQL Server以外のデータベースを使っているユーザーは、移行の際にDWH用データベース内のデータを新しいSQL Server用データに転換する必要が生じるのである。

 「そのために要する作業工数もさることながら、弊社が提供する変換ツールでは“データベーステーブルを1対1でのみ変換する”という制約がありました」と、河北氏。この課題を解決するために、医用工学研究所は2つの対策を講じている。

 1つは、SQL Serverに同梱されているSSISをデータベース間のデータ移行に利用することだ。「SSISなら、複数のデータベーステーブルからの集約も可能です。この点も、SQL Serverの積極採用を進める決め手の1つになりました」と、河北氏は話す。

 もう1つは、DWHデータのフォーマットを“ベンダーニュートラル”なものに切り替えていく戦略だ。「『CLISTA! Data Model』、略してCDMという弊社独自のデータ共通フォーマットを用意し、電子カルテシステムごとの差異を吸収するようにしました」と、加藤一氏。CLISTA!のデータフォーマットはCDMに統一されていくため、異なるデータベース間のデータ移行はCDM経由で容易に行えるようになるという。

今後は機能拡張とクラウド対応でさらなる商品力の向上を

 医用工学研究所では他にも、CLISTA!の商品力を高めるためのさまざまな計画を進めている。

 まず、予定されているのが、SQL Serverのネイティブ機能を直接利用するようにCLISTA!本体の仕様を拡張することだ。「Always Encrypted(常時暗号化)」をはじめとしたSQL Serverならではの先進機能を積極的に活用する。

 また、既に触れたように、CLISTA!のMicrosoft Azure上のクラウドサービスとしての提供が進められており、既に導入が決定している病院も複数存在する。CLISTA!がSQL Serverを積極的に採用することで、Microsoft Azure上でのサービス提供もそれほど工数をかけずに実施できるとの見通しだ。

 「当初はIaaS上で稼働させる形態で提供し、その後、ビッグデータ分析やAIなどのサービスを活用できるように拡張する予定です」と河北氏は話す。Microsoft Azure版のCLISTA!では複数の病院の医療データを比較できるので、「優れた経営を行っている病院をベンチマークとして、自病院の経営を見直すといったことも可能になるでしょう」(加藤昭吾氏)。

 さらに、中規模病院への展開に備えて、同社はパートナー企業との関係も見直していくという。「これまで、パートナーの方々には病院さまへの販売だけをお願いし、システム構築と保守の作業は全て弊社が行ってきました。今後は、高い技術力を持つ企業にパートナーとして加わっていただき、システム構築と保守もお願いしようと考えています」と、加藤一氏。SQL ServerとMicrosoft Azureを積極的に採用することで、医用工学研究所のビジネスモデルも大きく変わり始めている。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年12月28日

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