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» 2017年12月11日 10時00分 公開

「無事故と安全の実現は、全ての人を幸せにする」――ものづくり企業のあくなき挑戦:“ドライブレコーダーの生みの親”、データ・テックは 「全ての人の安全を守る」ためにクラウドをどう生かしているか

東京・蒲田に本拠を構えるデータ・テックは、世界に先駆けてドライブレコーダを開発したものづくり企業だ。1998年に提供開始された同社ドライブレコーダー「セイフティレコーダ®」は2017年11月現在、累計11万台を数え、運送事業者、宅配事業者など、国内物流の安全を支え続けている。そのセイフティレコーダ®の最新版において、同社はパブリッククラウドを活用し、いちだんと機能性・利便性を高めたという。その具体的な中身とは?――データ・テック流のクラウド選定・利用のポイントと、“安全”に懸ける思い、“ものづくりに懸ける思い”を聞いた。

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“ものづくりの街”から生まれた世界初のドライブレコーダー

 IoTをはじめ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが各業種で進んでいる。特にセンサデータの蓄積・分析基盤となるパブリッククラウドは、DXトレンドの進展を受けて、これまで以上に企業での利用が加速、高度化しているといえるだろう。車両の運行状況を記録・解析するドライブレコーダーを自社で開発・提供しているデータ・テックも、クラウドを使いこなしている1社だ。

 “ものづくりの街”、東京・大田区蒲田に本拠を構える同社の強みは、ジャイロセンサやGPSを使って「物の動きを把握する」技術にある。1983年に創業した同社は、ファームウェア技術、ハードウェア技術を中核に発展し、1990年にジャイロ/加速度計測技術と通信制御技術を基に、顧客と市場を拡大。1995年には世界初となる「バーチャルリアリティ用小型3軸角度センサ」を生み出し、セガ・エンタープライゼス(当時)に納品。エンタテインメント施設におけるアトラクションに搭載された。

 さらに1996年には、GPSやジャイロ・加速度の自律センサで、移動体の位置を高精度に確認できる「自律航法ユニット」や「カーナビセンサ」を発売。1997年にはヘッドマウントディスプレイ(HMD)向けに、顔の動きを3次元で検知できる「小型センサ」も開発した。今でこそ社会全体で「IoT」や「コネクテッド」などが注目されているが、データ・テックは20年以上も前から、センシングやM2Mなどの取り組みを先駆的に進めてきたというわけだ。

 そんな同社技術の粋を集めた製品の1つが、1998年に開発し“世界初のドライブレコーダー”となった「セイフティレコーダ®」だ。セイフティレコーダ®は、自動車版フライトレコーダー®というべきもので、さまざまなセンサからのデータを車載機内の記憶装置で収集・解析。「いつ、どこで、どのような運転をしたか」を可視化できるシステムだ。

 同様の機能を持つドライブレコーダー製品は複数社が開発・提供しているが、同社製品の場合、単に運転実態のデータを可視化・解析するだけではなく、その結果を踏まえて、“運行管理者やドライバーなどにとって意味のある形”にデータを変換し、「安全運転、事故予防、業務改善につなげられる」ことを特長としている。データ・テックの代表取締役、田野通保氏は次のように話す。

ALT データ・テック 代表取締役 田野通保氏

 「GPSやジャイロ、加速度センサを使えば、クルマの事故を減らせると考えたことがセイフティレコーダ®開発のきっかけです。例えばGPSでクルマの位置を正確に把握し、差分を採ることで速度が分かります。ジャイロや加速度センサでは、ブレーキやアクセルを踏んだ際に受ける衝撃や、交差点内でのハンドル操作を把握できます。つまり、さまざまなデータから、急加速/急減速/急ハンドルなど、危険な運転をした場所、時間などの“状況”が分かる。その状況をドライバーに知らせることで、より安全な運転を勧めることができるのです」(田野氏)

 開発当初、試作品を携えて営業に回ると、まず大きな興味を示したのは損保業界だったという。自動車保険契約者の事故を減らすことは、契約者にとって望ましいのはもちろん、損保会社にとっても収益に直結するためだ。その後も宅配事業者など「運転」に関わるさまざまな企業に支持され、販売を拡大。技術改良を重ねながら、「自動車走行状況を解析・支援するサービス」や、セイフティレコーダ®のリース提供なども開始した。

 現在は、損害保険会社が提供している安全運転診断アプリなどでデータ・テックの診断ロジックが広く活用されている他、主要な運送事業者や宅配事業者、引越事業社などにセイフティレコーダ®が採用され、2017年11月現在、累計11万台を出荷するロングセラーに成長している。このセイフティレコーダ®の最新製品で、同社はクラウドを利用しているのだ。

センサデータを、どう無事故につなげていくのか?

 では、具体的にはどのような機能を持つのだろうか? まずセイフティレコーダ®は、クルマ側に搭載する車載機「セイフティレコーダコネクト(SR Connect)」と、その車載機で収集したデータを解析するシステム「SR-WEB解析システム」で構成されている。

ALT 車載機「セイフティレコーダコネクト(SR Connect)」。大きさは厚めの単行本ほど(高さ約35mm×幅170mm×奥行140mm)で重さは500g程度。狭い社内でも設置場所を選ばないコンパクト設計となっている

 前方や車内を常時録画してイベントを記録するカメラと、記録した映像や音声、運行データを格納するSDカードのスロット、運転データを送信するための3Gユニットなどが備わっている。温度情報を計測する温度計、バック操作を記録し判定する機能や、ETCなども付けることができる。

 大きな特長は2つ。1つは「コネクト」と冠する製品名通り、SIMカードを使って車載機のデータを自動的にクラウドに送信・保管し、クラウド上にあるSR-WEB解析システムで処理する仕組みとしていることだ。通常は10分に1回、データを送信し、危険な状況になると瞬時にデータをクラウド上に送る。

ALT 車載機「セイフティレコーダコネクト(SR Connect)」と、車載機で収集したデータを解析するシステム「SR-WEB解析システム」の概念図。運行データを車載機から直接クラウドに送信。クラウド上からサービスとして提供されるSR-WEB解析システムで、いつでも、どの端末からでも、乗務データを閲覧できる《クリックで拡大》

 一方、クラウド上で稼働させているSR-WEB解析システムは、Webアプリケーションとしてユーザーに提供。ユーザーが自分のアカウントを使ってサイトにログインすることで、いつでも、どの端末からでも、ドライビング記録をあらゆる角度から柔軟に閲覧できる仕組みとしている。

 例えば「基本画面」では、運転診断結果、速度チャート、走行距離など、1日の走行データを見ることができる。「いつ、どこで、どういう運転をしたか」は、リアルタイムに記録されており、SR-WEB解析システムの位置情報のデータは1分ごとに更新される。GPSやカメラでデータを記録しているため、「どの道を走っているか」「カーブでどのようなハンドル操作をしたか」など、運転状況を、映像や地図と組み合わせて把握することができる。

ALT SR-WEB解析システムの位置情報画面。画面イメージのように、「いつ、どのルートを通ったか」、あるいは「今、どのルートを通っているのか」を一目で把握できる《クリックで拡大》

 もう1つの特長は、以下のように画面中央に表示されるレーダーチャートに「ブレーキ」「停止」「右左折」「ハンドル」「スムーズ」というデータ項目が並び、各20点の計100点満点で安全運転度を評価できることだ。SR-WEB解析システムの開発を手掛けた佐藤重敬氏(技術本部ソフトグループ課長)は、この点について次のように話す。

ALT 収集したデータを解析し、データ・テック独自のアルゴリズムに基づいて安全運転のレベルを採点。どのような運転を心掛けるべきか、数値とコメントで分かりやすく促す《クリックで拡大》

 「どのような運転をすると『安全』なのか、あるいは『事故につながるのか』については、セイフティレコーダ®の20年の実績の中で培ってきた豊富な知見があります。その知見を基に開発した独自のアルゴリズムを使って運転データを解析し、評価点を算出しているのです。運転の採点機能を持つドライブレコーダー製品は他社にもありますが、弊社の製品は他社製品より厳し目の評価となることが多く、そこにアルゴリズムの差が現れていると考えます」(佐藤氏)

 前述のように、ただ単にデータを解析・可視化するだけではなく、誰にでも理解できるインタフェースを通じて、ドライバー1人1人に合わせて安全運転のノウハウを伝える――これが同社セイフティレコーダ®の最大の特長なのだ。

大量データをさばく「SR-WEB解析システム」を支えるIBM Cloud

 こうしたセイフティレコーダ®の機能を支えているのがIBM Cloudだという。ではなぜ同社はクラウド利用に乗り出したのだろうか? その理由は、従来製品の運用形態にある。

 従来のセイフティレコーダ®は、車載機内のSDカードにデータを記録しておき、専用データ解析ソフト「安全の達人」というクライアントアプリケーションをローカルPCにインストールし、そこにデータを取り込んで閲覧・解析する仕組みを採っていた。だが、このスタイルだと運用を人手に頼ることになる点で、複数の課題があったのだという。

 例えば運送事業者なら、乗務を終えたドライバーが自分で車載機からSDカードを取り出し、営業所のPCにデータを読み込ませる必要があった。また、ドライバーの乗務終了時間は一定時刻に集中するのが一般的だ。そうなると、営業所によっては利用できるPCが不足して待ち時間が発生するという課題もあった。日々蓄積されるデータのバックアップも、ユーザー企業側で管理しなければならなかった。

 「そうした課題を解決するために、クラウドとSIMを活用して、データを自動的に送信、保管、解析できるシステムを考案したのです。2014年から複数のパブリッククラウドを検討し、セイフティレコーダ®を高い性能の下で安定的に提供できるサービスとして、IBMのクラウドを選択しました」(田野氏)

 ではAWS、Microsoft Azureなどパブリッククラウドは複数存在する中で、何がIBM Cloudを選ぶ決め手となったのだろうか? これには大きく3つのポイントがあったという。1つは「APIの豊富さ」だ。

ALT データ・テック 技術本部ソフトグループ課長 佐藤重敬氏

 「特にメンテナンス用のAPIが充実していることが魅力でした。セイフティレコーダ®は常に安定稼働し続けなければならないミッションクリティカルなシステムです。その運用を支えるために、APIを使って確実に監視・保守できるようにしています。将来的にはオートスケールを利用するなど、より効率的にパフォーマンス管理を行っていく予定です。今後、パートナー企業と共同でビジネスを展開したりする上でもAPIは大きな意味を持つと考えます」(佐藤氏)

 2つ目は、アプリケーションの特性に合わせて、ベアメタルサーバ(物理サーバ)と仮想サーバを組み合わせられること。セイフティレコーダ®が生成するデータは膨大だ。車両1台から取得する平均的なデータ容量自体は100バイト〜1KB程度だが、言うまでもなく運行状況や台数によってデータ量は大きく変わってくる。SR-WEB解析システムの利用時間が集中しても、高いパフォーマンスを担保しながら、安定して処理できる基盤が求められた。

 「SR-WEB解析システムのフロント側の処理は仮想サーバで十分ですが、解析のためのデータベース処理には高い性能が必要です。メンテナンスのために不定期に止まるのも困ります。その点、IBM Cloudはベアメタルサーバも利用できるので、これをデータベース処理に当てることで性能を担保しています。現在は、CPU負荷30%をスケールアウトのしきい値として運用しています」(佐藤氏)

 そして3つ目は、料金体系が明確であり、営業窓口のホスピタリティも高かったこと。例えば、多くのパブリッククラウドではデータ転送量や容量で実際の利用料金が大きく変わり、想定よりも請求額が大きくなるということがある。IBM Cloudではインバウンド(クラウドに入っていく)データ通信は無料で、アウトバウンドの通信料金は月額タイプとしており、仮想サーバなら250GB、物理サーバの場合には500GB分が無償枠として含まれている。このため実際の利用時の請求額を想定しやすくなっている。

 田野氏は、「請求書が届いてみないと利用額が分からないようでは、事業として見通しが立てにくい。クラウドのサーバ構成や料金体系もシンプルで分かりやすいことはIBM Cloudの大きなメリットだと感じます。また提案活動が親身かつ熱心であり、『こうした場合にはどうするのか』という質問に対するレスポンスも速かったことが採用の1つの決め手になりました」と振り返る。

 事実、クライアントアプリケーション「安全の達人」のクラウドへの移植は予想以上に困難だった他、クラウドのメリットを引き出すために、車載器通信サーバを複数台で負荷を分散させて万が一にも止まらないようにする、独自フォーマットのファイルをUDP(User Datagram Protocol)で送信することで無線の通信量を減らすなど、同社側でも安定運用の工夫を施したが、「開発パートナー企業の助けのみならず、IBMの技術的なアドバイスには大きく支えられた」と評価しているという。

“全ての人が幸せになる”ものづくりへのあくなき挑戦

 なお、「安全の達人」のクラウド化は、ユーザーの利便性だけではなく、安心感の向上にも寄与している。前述のように、従来、運行データはユーザー企業自身でバックアップを取っておく必要があったが、現在は「基本画面」で利用する各種データは3カ月、映像データについては1カ月、SR-WEB解析システム上で解析可能とし、期間経過後は「IBM Cloud Object Storage」に全データを自動的に保存していく仕組みとしている。オブジェクトストレージであるため、必要なとき、必要なデータを取り出しやすく活用しやすいことは言うまでもない。

 SR Connectの機器情報や各種設定情報もIBM Cloud上で管理している。SR Connectがクルマに設置された時点で、機器の情報がクラウド上の管理サーバに自動的に登録される他、SR Connect側のプログラムもクラウドからダウンロードして書き換えることができる。故障など顧客から問い合わせがあった場合も、その情報を参照することでサポートがしやすくなったという。

 このようにSR-WEB解析システムのクラウド提供で、導入・運用の手間を大幅に軽減したことで、セイフティレコーダ®の導入はさらに加速しているという。企業によっては、パブリッククラウドにデータを上げることをポリシーで許可していないケースもあるが、その場合は従来通り、SDカードを使い、ローカルPCで「安全の達人 II」を使って運用することもできる。企業のニーズや実情に対する配慮も、同社セイフティレコーダ®の特長の1つといえるだろう。

 今後の展開として、田野氏は「スマートフォンとビーコンを使って安全運転を支援するサービス」の展開や、「AI技術を使った新しい事故予防システム」の開発などを挙げる。

ALT 「『モノを作って売りたい』という強い思いが、創業時からの原動力になってきました。今のエンジニアたちも、1人1人が自分で課題を見つけて『これを作りたい』と自発的に言ってきます。ものづくりを通じて、“全ての人が幸せになること”を、これからも追求していきたいと思います」

 「無事故や安全の実現は全ての人を幸せにします。ドライバー、ドライバーの家族、事故の被害者、被害者の家族、ドライバーを雇用する企業、保険会社、そしてわれわれやパートナー――ものづくりを通じて、全ての人が幸せになることをこれからも続けていきたいと思っています」(田野氏)

 そうした安全への思いは、データ・テックの全エンジニアの思いでもあるようだ。田野氏は同社のエンジニアについて、「いい意味で、あきらめが悪い人ばかり」と笑う。

 「個性の強い人ばかりが集まっていますね。もうそろそろ諦めてくれないと商品化に間に合わないと言っても、ぎりぎりまで『もうちょっと待ってくれ』と粘る。実は会社としては『これを作ってくれ』とお願いすることはほとんどないのです。気が付くと、エンジニア1人1人が自分で何か課題を見つけて『これを作りたい』と言ってくる」

 チャレンジ精神を持ち、自ら可能性を探して価値に変えて提案する「クリエーター」としてのスタンスは、今、エンジニアに最も強く求められていることの1つだ。特に自動車関連分野では自動運転に象徴される“イノベーション”が、グローバルで強く期待されている。それに応え得るのは、やはりこうした1人1人のエンジニアの思いやこだわりなのだろう。

 「そもそも『モノを作って売りたい』という強い思いが、創業時からの原動力になってきました。最近はメーカーといっても、他社が作ったさまざまな部品を組み合わせて製品を作るケースも増えていますが、当社はハードからソフトまで自社で一貫して作ることにこだわって“トータルなものづくり”を志向しているのです」――

 田野氏のスピリットは、確実に全社員に受け継がれているようだ。データ・テックの「安全への思い」「ものづくりへの思い」が作り出す、“全ての人が幸せになるシステム”への、さらなるチャレンジに期待したい 。

株式会社データ・テック

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年12月31日

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