連載
» 2018年02月23日 05時00分 公開

久納と鉾木の「Think Big IT!」〜大きく考えよう〜(4):しょうもないROI算出に時間を使ってはいけない (1/3)

社内にはERPをはじめさまざまなITサービスがある。しかし、「ITサービスをサービスとして成立させるために不可欠」な、ITサービスマネジメントに関わる費用にまでROIが求められるのはおかしなことではないだろうか? しょうもないROI算出に時間を使ってはいけない。

[久納信之/鉾木敦司,ServiceNow Japan]

編集部より

 数年前から「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が各種メディアで喧伝されています。「モノからコトヘ」といった言葉もよく聞かれるようになりました。

 これらはUberなど新興企業の取り組みや、AI、X-Techなどの話が紹介されるとき、半ば枕詞のように使われており、非常によく目にします。しかし使われ過ぎているために、具体的に何を意味するのか、何をすることなのか、かえって分かりにくくなっているのではないでしょうか。

 その中身をひも解きながら、今の時代にどう対応して、どう生き残っていけばよいのか、「企業・組織」はもちろん「個人」の観点でも考えてみようというのが本連載の企画意図です。

 著者は「モノからコトへ」の「コト」――すなわち「サービス」という概念に深い知見・経験を持つServiceNowの久納信之氏と鉾木敦司氏。この二人がざっくばらんに、しかし論理的かつ分かりやすく、「今」を生きる術について語っていきます。ぜひ肩の力を抜いてお楽しみ下さい。


ITサービスを成立させるために不可欠なITサービスマネジメントなのに……

 今回お伝えしたいことはこれ。ITサービスマネジメントにかかる費用の投資対効果を、ROIで求めることは止めるべきだ。少なくとも、ITサービスマネジメント単独でROIを算出することはナンセンスの極みだ、これが言いたいことである。

編集部注:「ITサービスマネジメント」がどういうものかについては第1回でUberを例に分かりやすく解説しています。ぜひご参照ください

 難しい話に入る前に、ある市場調査の結果をご紹介しよう。

 「買ってはみたものの、すぐに使わなくなり無駄になった家電は何ですか?」というアンケートを全国の成人男女約400人にしたところ、1位はジューサー(全回答に占める割合約15%)だったそうな。「家庭で毎日、自家製フレッシュフルーツジュースを!」と思い立つ老若男女は多いが、「使い終わった後の掃除が面倒」「結局、市販の果汁100%ジュースを買っている」などと挫折する人が多いようで、数回使われた後にジューサーは戸棚の中で無駄に眠ることになるようだ。

 この失敗談を(無理やり?)今回の主題であるROI的に分析してみよう。

 期待効果(Return)は、新鮮なジュースを毎日飲むことで得られる美容と健康、それと市販の果汁100%ジュースを買うより安い(つまり差額)といったあたりだろうか。一方、投資(Investment)は、ジューサーの購入コスト、文字通り投入される果物のコスト、作る手間と電気代……だけでは済まなくて、毎回ジュースを作った後のジューサーを掃除する手間や、使い込むと摩耗する部品(例えば刃)の交換コストといった辺りも、長い目で見ると含めておかなければならない。このアンケートから見え隠れするのは、ジュース作りで挫折する典型的なパターンとは、Investmentから使用後の掃除や部品交換コストが漏れていて(あるいは過小評価されていて)、ジュース作りって想像よりずっと大変だと後から気付くというものなわけだ。

 この件から得られる教訓は、何かを末長く楽しもうと思ったら、その道具の維持管理(Management)コストは、見落としてはいけないということだ。見方を変えると、この維持管理コストは、あくまでも「フレッシュジュースがもたらす美容と健康」という期待効果を存続させるために必要な投資(Investment)なのであって、ジュースと切り離し、独立して考えることはナンセンスなのだということを、まずは皆さんと一緒に押さえておきたい。

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