特集
» 2018年01月24日 05時00分 公開

特集「Connect 2018」:人や企業、システム、そしてブロックチェーン同士をつなげる――富士通・阪井CMO

AIやIoT、ブロックチェーン、APIといった技術の導入によって、デジタルトランスフォーメーションの達成が求められる昨今、企業はユーザーやパートナーと“共創”することが欠かせない。富士通における取り組みを、執行役員常務 CMO グローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏に聞いた。

[吉村哲樹,@IT]

──2017年は、世の中のあらゆる分野においてデジタルテクノロジーが導入され、企業のデジタル革新やICT最適化が加速した年でした。

富士通 執行役員常務 CMO グローバルマーケティング部門長 阪井洋之氏

阪井氏 その通りだと思います。全体的にはまだテクノロジーの検証段階にあるお客さまが多いものの、AIやIoTなどのデジタルテクノロジーを早くも本番システムに実装する企業も出てきました。弊社が提供するデジタルテクノロジープラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」(以下、MetaArc)においても、2017年に数多くの新サービスをリリースしました。

 例えば「インテリジェント・ダッシュボード」という製造業向けのIoTソリューションでは、スマートファクトリー、つまり「工場の見える化」を実現しており、既にIntelやオムロン、島津製作所といった国内外の大手製造業で採用されています。またAIに関しては、テキストや数値のデータをグラフ構造化してディープラーニングに掛けられる「Deep Tensor(ディープテンソル)」という独自技術で、やはり数多くの成功事例が出てきています。

 一方、2017年は「働き方改革」が大きく進展した年でもありました。弊社でもテレワーク制度を導入したり、グローバルでOffice 365などを活用したコミュニケーション基盤を導入したりして積極的に働き方改革を推進しています。またお客さまに対しても、VDI基盤や超軽量型のノートPCなど、働き方改革に寄与するさまざまな製品やソリューションを提供しています。さらに2017年12月22日には、働き方改革の分野におけるAI技術の活用に関して、Microsoftとの協業を発表しました(参考)。

──こうした取り組みにおいて、御社は今後、他社とどのような協業を行っていくのでしょうか?

阪井氏 デジタルテクノロジーや、それらを使ったいわゆる「デジタルトランスフォーメーション」の取り組みは、1社だけでは決して達成できません。弊社やお客さま、そしてパートナー企業が互いに強みを持ち寄ることで、初めてイノベーションを起こすことができます。弊社はそうしたデジタルビジネスの“共創”の考え方を、「Digital Co-creation」というコンセプトにまとめています。

 既に具体的な協業が各分野で始まっており、2018年はこれをさらに加速させていく予定です。例えば2018年の春には、MetaArcのサービスの1つとしてブロックチェーンのプラットフォームを発表する予定で、現在6社のパートナー企業とともにPoCを進めています。またRPAの領域では、ベンチャー企業との協業を通じてサービスの提供に取り組んでいるところです。

 加えて、AIも2018年に重点的に取り組んでいく領域の1つです。現在、MetaArcではAIのサービスを13種類提供していますが、2018年にはこれを30種類程度にまで増やしたい。他社にはない弊社独自の技術やサービスも多く、例えば少量のデータでAIに学習させることができる独自技術は、チャットbotなどの分野でお客さまから高い評価を頂いています。また弊社のAI技術「Zinrai」のディープラーニングのプラットフォームは、現在はスーパーコンピュータとGPGPUによる並列処理がベースになっていますが、今後は弊社が独自開発したディープラーニング専用AIプロセッサ「DLU」を搭載したプラットフォームをクラウドとオンプレミスの両方で提供する予定です。

──技術以外の面では、ユーザーやパートナーと、どのようにつながっていきたいとお考えですか?

阪井氏 先ほど紹介したDigital Co-creationの一環として、お客さまと併走しながらデジタルトランスフォーメーションに共に取り組むための計画を幾つか用意しています。その1つが「デジタルトランスフォーメーションセンター」と呼ばれる施設で、お客さまのご担当者と弊社の関係者が一堂に集まり、弊社が独自に開発したメソッドを基にしたワークショップを行います。ここで行われたワークショップの約半数は、実際のプロジェクトへと結実しています。最初は東京のみに設置していましたが、2017年夏には大阪にも開設した他、2018年3月にはニューヨークとミュンヘンにも開設する予定です。

 また人材育成の面でも、お客さまとのつながりを深めていきたいと考えています。2017年から、企業においてデジタルビジネスを推進する人材の育成を支援する「FUJITSU Digital Business College」を開設し、「部門長向けコース」「デザイン思考コース」「AI・Analyticsコース」「セキュリティコース」の4コースで、それぞれ4カ月から半年間にわたる長期の研修サービスを始めました。おかげさまで大変好評を頂いており、2018年には募集枠をさらに広げて提供する予定です。

 また米国サンフランシスコ ベイエリアに設けた「Open Innovation Gateway」では、シリコンバレーのベンチャー企業とお客さまとのマッチングを行っています。これもまた、企業同士のつながりを深めるための弊社独自の取り組みだといえるでしょう。

──最後に、2018年に御社はITで何とつながっていくのか、お聞かせください。

阪井氏 ITを使って企業同士がより広く密接につながり、今までにない価値を生み出せるようなプラットフォームを整備したいと考えています。例えば、弊社では製造業向けに「COLMINA(コルミナ)」、金融業界向けに「Finplex(フィンプレックス)」と、業界、業種ごとに企業同士がAPIやブロックチェーンなどを通じてつながり合えるプラットフォームを提供しています。今後は、弊社がもともと強みを持っている公共やヘルスケアの分野においても、同様のプラットフォームを提供します。

 もちろん、人や企業をつなげるだけではなく、システム同士をつなげる取り組みも強化します。例えば、IoTで集めたデータをクラウド上のAIで解析し、その結果得られる価値を複数の企業間でシェアできるようなプラットフォームを提供します。

 加えて、2017年にはブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技術「コネクションチェーン」を開発しました。異なる仮想通貨の交換や決済を簡単、安全に実行するのみならず、企業間の高信頼なデータ交換や契約自動化などへ発展させながら、さまざまな分野での検証を進め、2018年度以降の実用化を目指しています。

 このように、弊社自身が外とつながるだけではなく、あらゆる人や企業がITを通じてつながり合い、新たな価値を生み出せるプラットフォームを提供したいと考えています。


特集:「Connect 2018」

 「IoT」に代表されるように、今やITであらゆる物事が「つながる」ようになりました。全ての物事がつながる今、企業はITに対するスタンスやビジネスに対する考え方を大きく変える必要があります。他の企業とどう協力するかという戦略も、成長に必要不可欠だといえるでしょう。

 本特集では、ベンダーやユーザー企業、ITやOTなど、さまざまな垣根を超え、全ての物事がつながる「未来」の姿を企業のトップに聞いていきます。

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