連載
» 2018年04月20日 05時00分 公開

久納と鉾木の「Think Big IT!」〜大きく考えよう〜(8):IT投資動向調査には現れない、「投資額が決まるまで」〜予算が余る/ひっ迫するしょうもない理由〜 (1/3)

今回はお金(予算)の管理について考えてみたい。従業員目線で言えば経費精算、企業目線で言えば予算管理。こうしたITサービス財務管理(IT Service Financial Management)の在り方を、筆者の苦い経験を基に考えてみたい。

[久納信之/鉾木敦司,ServiceNow Japan]

編集部より

 数年前から「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が各種メディアで喧伝されています。「モノからコトヘ」といった言葉もよく聞かれるようになりました。

 これらはUberなど新興企業の取り組みや、AI、X-Techなどの話が紹介されるとき、半ば枕詞のように使われており、非常によく目にします。しかし使われ過ぎているために、具体的に何を意味するのか、何をすることなのか、かえって分かりにくくなっているのではないでしょうか。

 その中身をひも解きながら、今の時代にどう対応して、どう生き残っていけばよいのか、「企業・組織」はもちろん「個人」の観点でも考えてみようというのが本連載の企画意図です。

 著者は「モノからコトへ」の「コト」――すなわち「サービス」という概念に深い知見・経験を持つServiceNowの久納信之氏と鉾木敦司氏。この2人がざっくばらんに、しかし論理的かつ分かりやすく、「今」を生きる術について語っていきます。ぜひ肩の力を抜いてお楽しみ下さい。


IT投資を「死に金」にしないために

 皆さんにも、こんな経験がおありなのではないだろうか?

 高校生のころ、自分が所属する部活動より花形の野球部や吹奏楽部の方がたくさんの部費があって不公平と感じたとか。あるいは社会人になって、自分は書籍1冊購入してもらうのも承認する上司の顔色をうかがわなくてはならないのに、同期の営業は接待と称してお客さんと毎晩うまいものを飲み食いしていて理不尽だと感じたとか。

 かようにお金とは扱いが難しい。

 同列の扱いを求める者や部署は、等しい金額を割り振られることに公平感を覚えるだろうが、企業としては戦略的にお金の投入先を選択・集中させる必要がある。また、書籍と接待のように異質な物のどちらに1万円を費やすことが、はたして企業にとって有意義なのかを判断することも難しい。

 世の中のお金の動向にも目を向けてみよう。最近の経済新聞によると、日本の全産業の有力企業(資本金1億円以上)で設備投資額が伸びてきているとのこと。2017年度の設備投資動向調査(日本経済新聞社)によれば、対前年度比16%増と大幅に増える見通しだ。これらの動きは、半導体や電機などを中心に製造業に牽引されているようだが、デジタル変革の時代だ、この伸びに付随して当然IT投資も活発化してきている。

 IT投資はITサービスを充実させ、ビジネス変革を実現する牽引車だ。筆者もITに携わる者として、何としてもこの勢いを加速させたい。というわけで今回は、その一助となるべくITサービス財務管理(IT Service Financial Management)について一緒に考えてみたい。

 最初に結論を述べると、この機会にぜひいったん立ち止まって検討をお勧めしたいのは、ポートフォリオ管理の確立だ。ポートフォリオ管理は、ITの活動全体を俯瞰した上でムダ・ムラを省き、戦略的注力ポイントにリソースを集中投入することを支援してくれる。

 予算とは限りのあるものだ、お金は予定調和的に配るのではなく、明確な意図を持って配分を決めたい。1万円のムダなら始末書で済んでも、100万、1000万、1億という額は、単に消化される「死に金」にするのではなく、ビジネス変革を生む「生き金」にしなくてはならない。

 ただ一方で実は、このポートフォリオ管理を有効確実に機能させるためには、ITに関わるわれわれ1人1人が、日々の活動を見直す必要もある。今回は、あなた個人がボトムアップ目線ですぐに改善すべきことと、企業全体のトップダウン目線で行うポートフォリオ管理との両面から、ITサービス財務管理を捉えてみたいのだ。詳細は後述するが、両者は密接に関係し、どちらも欠けてはならないパズルのピースだ。

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