連載
» 2018年05月23日 05時00分 公開

羽ばたけ!ネットワークエンジニア(4):ネットワークエンジニアは自ら提案し受注しよう! (1/2)

連載第4回はネットワークソリューションの提案と受注に焦点を当てる。この段階では顧客の注意を引き、強い関心を持ってもらうことが重要であり、そのためには提示するアイデアやソリューションに独自性がなければならない。2つの事例を引きながら解説する。

[松田次博,情報化研究会主宰]

 自分がネットワークエンジニアだと思っている方は、何をやりがいに仕事をしているのだろうか。筆者は新しい技術やアイデアを取り入れたネットワークを提案し、それを自ら設計、構築することにやりがいを感じている。さらに、それを事例として著作や講演で紹介し、広げていくことを心掛けている。それによってネットワークの世界を少しでも変革できると思っているからだ。

 つまり、提案し、受注しなければ何も始まらないのだ。自ら提案し、受注できてネットワークエンジニアは一人前と言える。今回は受注できる提案のポイントについて、旧新2つの事例を挙げて解説する。

提案では独自性が最も重要

 筆者は提案だけでなく、講演や著作においても3つのことが重要だと考えている。「独自性があること」「論理性があること」「裏付けがあること」である。

 中でも独自性が最も重要だ。2011年11月に受注したツルハホールディングス(本社は札幌市)の提案のきっかけは、同年7月に札幌市で行った講演である。

 その中で、Cisco Systemsと同等以上の性能を持ち、コストパフォーマンスに優れた国産ネットワーク機器を用いる筆者のポリシーとその事例を紹介した。もちろん目的はネットワークのコスト削減だ。

 講演が終わったとたん、ツルハホールディングスの情報システム部長が筆者のそばにみえて、提案を求められた。日を改めて現状のネットワークについてヒアリングさせていただいた。ネットワークの費用を30%以上削減できる提案をしたかったのだが、そう簡単には実現できそうにない。

 ネットワーク費用の多くの部分は回線が占める。ツルハホールディングスが運営するドラッグストアは、当時約1000店舗あり、回線は安価なフレッツが使われていた。これより安い回線は存在しない。どうやったら回線費用を下げられるかが問題になった。

 当時、公衆無線LANサービスが注目されており、ツルハホールディングスにも幾つかの事業者が公衆無線LANの設置を提案していた。そこでアイデアがひらめいた。筆者の提案が終わるまで、公衆無線LAN事業者との契約を待っていただいた。

 そのアイデアとは、1つのネットワークをツルハホールディングスと公衆無線LAN事業者でシェアすることだ。図1がネットワークの構成である。店舗の公衆無線LANのアクセスポイントと公衆無線LAN事業者のデータセンターにある無線コントローラーの間に暗号化されたトンネルを設定する。これによりツルハホールディングスのイントラネットと公衆無線LANのネットワークを論理的に分離している。公衆無線LANを使う端末からイントラネットに侵入することはできないし、イントラネット側から公衆無線LANに入ることもできない。IPアドレスもそれぞれ独立である。

図1 図1 ツルハホールディングス(ツルハ)のネットワーク構成イメージ ネットワークシェアリングを実現した。

 ネットワークの設計、構築、機器、回線、監視、保守の全てをNECが月額いくらのサービスで提供する。その費用をツルハホールディングスと公衆無線LAN事業者が分担するのだ。ツルハホールディングスから見ると自社だけでネットワークを使う場合と比べて毎月数百万円のコスト削減を実現できた。公衆無線LAN事業者も単独でフレッツ光を引く場合と比べて、大幅な費用削減となった。

 この「ネットワークシェアリング」という独自のアイデアが受注の決め手となった。単に独自性があっても実利がなければ意味がない。この提案では、40%以上のコスト削減という大きなメリットをもたらした。

 2017年6月にはセキュリティの強化を主としたリニューアルを行っている。実は図1はリニューアル後のイメージである。1000店舗だったツルハグループの総店舗数は2018年5月時点で1900店舗を超えている。

独自性のあるアイデアの出し方

 独自性のあるアイデアは、一見無関係な2つのものを結び付けたり、組み合わせたりすることで生まれることが多い。ツルハホールディングスの事例では、イントラネットと公衆無線LANサービスという水と油の関係に近いものを結び付けた。

 企業ネットワークの商談ではルーターが保守期限を迎えたからWANを更改したい、PBX(構内交換機)が古くなったので更新するといったものが多い。このとき、WAN更改だけを提案したり、PBX更改のみを提案したりする単純な提案では独自性を発揮できない。

 単にWANを更改するのではなく、例えばクラウドを接続しやすい仕組みを付け加えて、複数のクラウド接続を効率的にまとめる提案ができる。WANとクラウドを結び付けることで独自性が生まれる。PBXを更改するだけでなく、働き方改革と結び付けてテレワークに役立つ機能や仕組みを合わせて提案することもできるだろう。提案のときには結び付けや組み合わせを考えることを心掛けよう。


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