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» 2018年05月23日 10時00分 公開

EIM(エンタープライズ情報管理)で開かれる新たな地平:日本でデジタル化の取り組みがうまくいかない理由、欧米企業と国内企業における非構造化データの活用格差とは

「エンタープライズ情報管理(EIM:Enterprise Information Management)」は、ECMをもう一段大きく発展させたものだ。日本ではそれほど一般的ではないが、英語圏ではECMやBPM、CEM(顧客体験管理)、BIなどのアナリティクス、eDiscovery(電子証拠開示)などのコンプライアンス対応、そして企業間データ連携といった、企業の情報を管理したり、企業間で情報を連携させたりするさまざまな機能を包含した仕組みとして注目度が増している。

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ECM(エンタープライズコンテンツ管理)をもう一段大きく発展させた、EIM(エンタープライズ情報管理)とは

オープンテキスト EIM エバンジェリスト 市野郷学氏

 「ビジネスプロセスがデジタル化する中で、これまでデータとして管理されていなかったものが次々にデータ化されています。例えば、受発注はデータ化されていても見積書は紙やFAXで処理していたようなケースです。そこで紙の見積書をOCRで読み取って、その情報を受発注システムや顧客管理システムの業務プロセスに組み込んで取引に利用できるようにする。実際、こうした仕組みを新たに構築して、取引先に対して今まで以上に柔軟な対応を行っている企業がいます。こうしたデジタル化は業務のあらゆるところで起こっています」

 こう語るのは、オープンテキストのEIM エバンジェリストである市野郷学氏だ。

 受発注の紙文書や現場で作成される音声・画像ファイル、さまざまなフォーマットの電子ファイルを企業内で一元的に管理し、検索、利用できるようにするエンタープライズコンテンツ管理(ECM)。そのパイオニアとして20数年にわたって業界をリードしてきたのがOpenTextだ。

 OpenTextのECM技術は、XML 1.0の仕様策定に関わった「XMLの第一人者」として知られるティム・ブレイ(Tim Bray)氏がカナダのウォータールー大学でオックスフォード英語辞典(OED)の検索プロジェクトを推進している際に生まれた検索技術が中核となっている。その後、米Yahoo!の初期の検索エンジン技術に採用されるなどして弾みがつき、インターネットと検索エンジン技術の発展とともに、文書管理からECMとして確立されていった。

 「ビッグデータ」という言葉が使われていなかった10年ほど前、企業内にあふれ返る膨大な「非構造化データ」を効率良く管理し、活用する基盤として広く採用されていたのがECM製品だった。ひとくちにECMといっても、取り扱う情報はさまざまだ。紙や電子文書の管理から、メールコンテンツ管理、コミュニケーション&コラボレーション管理、アーカイブ・長期保存、レポーティングなどまでを含む。

企業のデジタル化への取り組みに必要なコンテンツ管理基盤

 OpenTextが推進している「エンタープライズ情報管理(EIM:Enterprise Information Management)」は、ECMをもう一段大きく発展させたもので、ビジネスのデジタル化によって起こるさまざまなシーンで包括的に活用できる仕組みだ。

 EIMという言葉は日本ではそれほど一般的ではないが、英語圏ではECMやBPM、CEM(顧客体験管理)、BIなどのアナリティクス、eDiscovery(電子証拠開示)などのコンプライアンス対応、そして企業間データ連携といった、企業の情報を管理したり、企業間で情報を連携させたりするさまざまな機能を包含した仕組みとして注目度が増している。

 EIMが取り扱うデータは、構造化データにとどまらず、紙文書、商品の包装パッケージや店頭POPのデザインデータ、設計図面といった非構造化データまでを含んでいる。

欧米企業と国内企業における非構造化データの活用格差(≒生産性格差)

 ビジネスのデジタル化において、非構造化データを含む、まだデータ化されていない情報を活用できるとなると、活用範囲はこれまで以上に大きくなることは想像に難くない。また、データ活用の成果の1つが生産性向上だとすると、EIMが取り扱うようなデータを活用できるようになれば、企業には生産性向上の余地が膨大に残されていることになる。

 「データ活用による生産性向上には大きく、統合(ガバナンス)、共有(コラボレーション)、活用(イノベーション)、分析・予測(ビッグデータ)というステップがあると考えています。取り扱うデータは個人から部門へ、部門から全社へ、全社から社外へと広がっていき、取り組みのステップもそれにつれて上がっていきます。ECMが扱うのはこれら全てです。ただ、欧米企業がイノベーションやビッグデータというステップに踏み込んでいるのに対して、国内企業の多くはまだガバナンスやコラボレーションのステップにとどまっています。われわれは、このギャップを埋めていこうとしています」

欧米企業と国内企業におけるECMの活用格差

 ギャップを埋める上で重要なポイントは大きく3つある。

 1つは「インフォメーションフロー」(Information Flow)だ。インフォメーションフローとは、問い合わせのメールや受発注のFAX、製品の設計、製造、販売にまつわるさまざまなデータ、サポートやマーケティングのための音声・動画・Webコンテンツなどを、業務プロセスやシステムと連携させながら、スムーズな流れとして循環させることだ。

 「OpenTextは、検索エンジンからWebベースの文書管理、文書管理とレコードマネジメントの統合、ECMへと発展してきました。この中心にあったのがこのインフォメーションフローです。OpenTextの製品が高く評価されてきた理由の1つは、業務フローと連携させたインフォメーションフローが意識されていたことにあります」

 2つ目は「インフォメーションレイク」(Information Lake)だ。「データレイク」という言葉があるが、データだけではなく社内外のデータソースから得られる情報そのものを「レイク」として蓄積していくイメージだ。

 3つ目は、「インフォメーションガバナンス」(Information Governance)だ。EU一般データ保護規則(GDPR)などからも分かるように、個人情報保護に関する取り組みは年々厳格化している。社外データも適切なガバナンスの下で管理していく必要がある。

 「これら3つのポイントを押さえられることがOpenTextのEIMソリューションの大きな特徴です」

6つのコンポーネントがもたらす4つのビジネス価値

 製品の機能として見ると、OpenTextのEIMソリューションは大きく6つのコンポーネントで構成されている。ECMを提供する「Content」、BPMを提供する「Process」、BIやレポーティング、分析のための「Analytics」、AIを利用し高度なテキスト情報の検索や解析を可能にする「Discovery」、顧客とのエンゲージメントを強化する「Experience」、Managed Cloudによる企業間取引の「Business Network」だ。

ビジネスのデジタル化をサポートする製品群

 「これらを組み合わせて、企業がインフォメーションフローやインフォメーションレイク、インフォメーションガバナンスの仕組みを構築していくことを支援しています。OpenTextにもともとあった技術ですが、EIMソリューションとして提供する上で不足していた技術も多くあります。そこで、さまざまな技術を買収や統合によって獲得し、ポートフォリオを充実させてきました」

 例えば、Business Networkコンポーネントを構成しているのは、2014年に買収したB2B向けEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)ソリューションのグローバルリーダーであるGXSの技術が中心だ。また、Discoveryコンポーネントについては、2016年に買収したeDiscoveryソリューション企業Recommindの技術が、Experienceコンポーネントには同じく2016年に買収したHPのカスタマーエクスペリエンスソフトウェア資産の技術が生かされている。

 こうしたポートフォリオの拡充は、特に2010年以降大きく加速した。2017年にはECM製品「Documentum」を提供していたDell EMCのECD(エンタープライズコンテンツ事業部)を買収した他、企業間電子商取引プラットフォームやIoTアプリケーションを提供するCovisintも獲得。さらに、デジタルフォレンジックとEDR(Endpoint Detection & Response)のGuidance Softwareの買収により、国内でも高まりを見せる、サイバー攻撃や個人情報保護、法令対応などのニーズに応えることができるようになる。2018年には、クリエイティブコラボレーション向けのEFSS(ファイル共有&同期)サービス事業社Hightailの買収を行った。足りないピースを埋めるように買収した技術をEIMソリューションに組み入れ、企業にさまざまなメリットをもたらそうとしている。

 では、EIMソリューションが企業にもたらすメリットとはそもそも何なのか。市野郷氏は、「ビジネスや企業経営の観点から見て、大きく4つの価値を提供できます」と指摘する。

 1つ目は「利益の向上」だ。デジタル化やデータ活用を進め、タッチポイントの多様化に対応したり、顧客に対してパーソナライズ化した体験を届けてエンゲージメントを高めたりする。これらにより、成熟市場でさらなる利益を求めることや競合との差別化につなげられる。

 2つ目は「コスト最適化」だ。さまざまな業務の自動化や機械化、企業間取引の自動化を進める。これまでアナログのまま利用していた資料をデジタル化するだけでも、働き方改革に大きく貢献できる。文書の長期保存や監査対応に必要な文書の収集作業など、法令対応コストの削減なども可能だ。

 3つ目は「イノベーション」だ。情報の検索性が高まり、活用速度が上がるため、従業員の生産性は大きく向上する。また、セルフサービス化や時間の有効活用が進み、その時間をイノベーション創出のためのあらたな取り組みにあてることができるようになる。

 4つ目は「リスク管理」だ。何か社内で不正が発覚しても、情報が一元的に管理されていなければ、不正の原因を素早く特定できない。EIMを使うことで、設計図面や部品の情報、製造や販売の状況などを適切に管理できるため、リスクを最小限に抑えることができる。調査や情報開示にかかるコストを下げることにもつながる。

 情報が企業の重要資産になる中、EIMは企業のあらゆる活動を支えるソリューションと言っても過言ではない。

国内でもEIMソリューションがいよいよ本格展開

 EIMソリューションの国内展開は、2018年5月1日から、本格化している。なぜ5月1日だったのか。背景には、それぞれでソリューションを展開してきた国内関連会社3社の統合がある。具体的には、先述したB2B/EDIデータ連携のGXS、FAXクラウド&メッセージングサービスを提供してきたエクスパダイトが、ECMやBPM、CEM、アナリティクスを提供してきたオープンテキストと統合したのだ。

 「これまでEIMの6つのコンポーネントは、3社が連携しながら提供してきました。3社統合によって、これまで以上に密接な連携が可能になり、サービスの提案、構築、運用、サポートなどを1つの組織として高い品質で提供できるようになりました」と市野郷氏は統合のメリットを説明する。

 具体的な取り組み事例も既に動き始めている。

紙のデジタル化と業務プロセスとの統合

 例えば、エクスパダイトが提供してきたFAXソリューションが1つの組織として統合されることで、紙のデジタル化と業務プロセスとの統合が行いやすくなった。会社組織が異なると、紙のFAXのOCRで処理する工程と、デジタル帳票化したデータを業務プロセスに組み込む工程が分かれることが多いという。統合後は、受発注システムにデータを自動登録したり、請求書や納品書をメールやWebで配信したりといったシステム構築が容易にできるようになった。クラウドFAX機能をContentコンポーネントなどと組み合わせた形だ。

災害時のサプライヤーの稼働状況を可視化

 また、GXSが提供してきたB2B向けEDIサービスが統合されることで、EDIの情報を他のシステムに活用することも容易になった。例えば、ある自動車メーカーでは、災害時にEDIデータから災害時のサプライヤーの稼働状況を可視化できるような仕組みづくりを開始している。ここでは、Business Network、Content、Analyticsコンポーネントを組み合わせている。

受注や納品処理、仕入先請求書処理の業務におけるSAP ERPとのシステム連携

 既存の基幹システムとの連携も事例として増えているという。例えば、注文伝票の登録から注文請書、請求書の配信といった一連の受注処理の業務において、SAP ERPとのシステム連携を行ってインフォメーションレイクを構築する。その上で、新しいWebサービスと基幹データを連携させるインフォメーションフローを作る。

 また、ERPシステムに取引で発生した証憑をひも付けていつでもどこでも参照可能とすることによって、強固なガバナンス体制を敷きながら、ユーザーの利便性を向上させることもできる。

SAP ERPとのシステム連携におけるインフォメーションフローの例

 「日本でデジタル化の取り組みがうまくいかない理由の1つは、非構造化データの取り扱いにあると考えています。OpenTextの技術を活用することで、まずは社内で情報活用のイノベーションを起こしてほしい。それを全社的な取り組みにし、さらに社外とのコラボレーションを行っていくことが、目指すべきデジタル化のゴールとなる真の情報管理と活用だと思います」

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提供:オープンテキスト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年6月22日

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