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» 2018年06月22日 05時00分 公開

Gartner Insights Pickup(65):一般企業におけるCTOの役割を、5つのタイプで考える

最高技術責任者(CTO)は、CxOの役職の中で最も理解されていないものの1つだ。技術イノベーションをリードするとは、具体的にどのようなことなのか。その答えは企業によって大きく違う。ここでは、CTOの役割を5つのペルソナで考える。

[Rob van der Meulen, Gartner]

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 最高技術責任者(CTO)は、CxO(最高責任者レベル)の役職の中で最も理解されていないものの1つだ。イノベーションのような、抽象的な目標を追求する任務を課されることが多いからだ。こうした分野の成功や進捗(しんちょく)は多種多様な方法で定量化でき、さまざまな文脈でさまざまなことを意味し得る。そのため、CTOの役割自体は一貫した定義がなされていない。

 Gartnerのリサーチディレクターを務めるマイク・ウォーカー氏は、CTOを置いている幅広い企業を調査してきた。その過程で同氏は、CTOの役割を解明するのに役立つ5つのペルソナ(典型的な類型)を特定した。

 「CTOや他の技術イノベーションリーダーは、これらのペルソナを『自社にはどのようなCTOが最適か』を判断するのに役立てられる」とウォーカー氏は語る。

 「さらに、関連するステークホルダーとの関係において自分の立場を明確にし、それに従って期待や目標を設定する上でも、これらのペルソナを考慮に入れるとよい」(ウォーカー氏)

 ウォーカー氏が特定したCTOのペルソナ5つの概要は以下の通り。

最高ビジネス主導イノベーション技術責任者(The chief business-led innovation technology officer)

 通常、このタイプのCTOは取締役会レベルの役職であり、企業のビジネス部門やIT部門の最上層部に見られる。これまでのところ、企業がこうしたCTOを置くのは、市場の破壊的変化が著しく進んでいる業種が一般的で、今後もそうだろう。こうした業種には小売り、ハイテク、メディア、通信、銀行などがある。

 このタイプのCTOは非常に幅広い役割と影響力を持つ。世界のデジタル化が進む中、あらゆる種類の企業がこうしたCTOを置くようになる可能性もある。だが、CTOがそうした広い担当分野で成果を挙げるには、経営陣がビジョンを掲げコミット(目標必達に向けて後押し)する必要がある。

一般的な担当職務:

  • ビジネス担当役員との連携により、新しいビジネスモデルやビジネス機能を発見し、社内で承認を取り付け、それらの実現へのロードマップを作成する。
  • 自社にとって革新的および戦略的な考え方(エンタープライズアーキテクチャ、イノベーション管理、R&Dなど)を実践、推進するビジネス部門をリードする。
  • イノベーション主導の技術投資の資金確保と意思決定の権限を持つ。

最高技術イノベーション責任者(The chief technology innovation officer)

 このペルソナは通常、IT部門の上級幹部のポストを占め、CIOに直属する。技術ビジョナリー(技術的な先見性のあるリーダー)であり、エンタープライズアーキテクト、イノベーションマネジャー、シェアードITサービスの専門家などのグループを率いている。

 多くの場合、このタイプのCTOのアプローチは主要なビジネス機能に対する技術のベストプラクティスの適用を推進するとともに、組織内におけるそうした技術のデプロイをアーキテクチャの観点から監督するというものだ。

一般的な担当職務:

  • ビジネス戦略を進めるために主流技術と新興技術をどのように利用すべきかを決める。
  • IT部門における技術イノベーションの要の役割を果たす。
  • 技術投資に関する重要な決定を行う。
  • 新興プラットフォーム(デジタルプラットフォームなど)を試験運用し、完成させる。

技術の最高権威(The chief innovation guru)

 チーフアーキテクトと呼ばれることもあるこのタイプのCTOは、中小企業やビジネスおよび技術の専門知識の提供に特化した業種に多く見られる。

一般的な担当職務:

  • ソートリーダー(社内のブレーン)として、ビジネス戦略を進めるためにどの主流技術や新興技術を利用すべきかを自社の役員に指南する。
  • 技術の使い方に関する簡易なガバナンスフレームワークを提供し、技術に関する重要な決定についてアドバイスする。
  • 新興技術の試験運用に携わる。

最高ITオペレーション責任者(The chief operating officer of IT)

 これは、IT部門や技術部門にソートリーダーシップやイノベーションを求めない企業で一般的なペルソナだ。

 通常、IT部門の人数が多い非常に大きな企業では、CTOは主に日々のIT運用を統括している。そのおかげでCIOは、そうした仕事から解放され、ビジネス全体にわたる戦略レベルの仕事に取り組める。

一般的な担当職務:

  • 以下の全てまたは一部のITオペレーションを実行、維持する。ITサービス管理、ベンダー管理、シェアードITサービス、データセンター、通信、セキュリティ。
  • 現在および将来の自社の目標達成に向けたビジョンとロードマップの策定を支援し、最適な技術を提供する。
  • 高可用性かつ高パフォーマンスのシステムに影響する可能性のあるインシデントに対し、積極的なモニタリングと対応を行い、社内外のシステムが期待通りのパフォーマンスで稼働するようにする。
  • 技術のモダナイゼーション、最適化、合理化や主要ITシステム(CRMやERPなど)を中心とした技術に関する主な決定と調達に携わる。

最高オペレーショナルテクノロジー責任者(The chief operational technology officer)

 技術が製品やサービス、その提供の主要部分を担う業種では、CTOはその技術(オペレーショナルテクノロジー〈OT〉と呼ばれることもある)の統括責任者を指すことが多い。例えば、通信企業ではCTOは通信ネットワークを統括する可能性があるが、CIOは社内ITを統括する。このシナリオでは、CTOとCIOは多くの場合、指揮命令系統が異なる。

一般的な担当職務:

  • 製品およびエンジニアリングチームと連携し、新製品開発や製品の強化、再設計に取り組む。
  • ITアプリケーション、サービス、システム、機器の調達に当たって要件を確定して伝える。コスト、安全性、パフォーマンスの基準に基づいて、ベンダーとの契約を交渉し管理する。
  • 高可用性かつ高パフォーマンスのシステムに影響する可能性のあるインシデントに対して積極的なモニタリングと対応を行い、社内外のシステムが期待通りのパフォーマンスで安全に稼働するようにする。

 「これらのペルソナは、CTOの類型を網羅しようとしたものではなく、実務の参考になることを目的としている」とウォーカー氏は説明する。

 「実際、ハイテク業界の企業を見ると、一般的なペルソナは他にももっとある。CTOが技術エバンジェリストを務めたり、さらにはコア製品の発明や設計を指揮したりすることもよくある」(ウォーカー氏)

 最も重要なことは、CTOとその組織が「自社固有の文脈における自分たちの役割は何か」「その定義を全ての関係者にどう明確に伝えるか」について見解が一致していることだと、ウォーカー氏は述べている。

出典:Understand the 5 Common CTO Personas(Smarter with Gartner)

筆者 Rob van der Meulen

Manager, Public Relations


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