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» 2018年07月09日 10時00分 公開

“SD-WAN先駆者”日商エレクトロニクスがSD-WANの新たな導入ステージを確信:マルチクラウドや働き方改革推進をきっかけとしたSD-WANの本格導入が加速する

日商エレクトロニクスは、シスコシステムズの競合といえるネットワーク製品ベンダーを、長年扱ってきたことで知られる。その同社が2018年6月1日、シスコと共同でセミナーを開催、今後も緊密な協業を進めていくという。それはなぜか。SD-WANが今年から日本で大きな波となることを、両社が確信しているからだ。

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 日商エレクトロニクスは2018年6月1日、シスコシステムズと共同で、「ネットワークの新潮流、SD-WANセミナー」と題したイベントを開催した。ここ数年、国内外で注目を集めてきたSD-WANだが、実導入となると、二の足を踏むユーザー組織が多かった。しかし昨年夏にシスコがViptelaを買収するなど、大手ベンダーが本腰を入れ始めた。さらに今年に入っては、クラウド利用の本格化が促進要因となり、引き合いが急増しているという。

 本セミナーでは、Viptela製品を一貫して推進してきた日商エレクトロニクスで、ビジネス・プラットフォーム部門プロダクトマーケティング部部長を務めている新田学氏が、市場動向やSD-WANが求められる理由を解説。また、シスコシステムズ プロダクト・セールス・スペシャリストの北かおり氏が、SD-WANを含めたエンタープライズネットワーク基盤のコンセプトである「Cisco DNA」の進展について紹介した。

さまざまな商用導入が生まれる「SD-WAN フェーズ2」が到来

 日商エレクトロニクスの新田氏は、SD-WANが新たな発展段階に入ったことを、以下のように表現した。

日商エレクトロニクス ビジネス・プラットフォーム部門プロダクトマーケティング部部長、新田学氏

 従来のエンタープライズWANは、IP-VPNやL2VPNといったサービスで展開されてきた。そのトレンドに、新たな動きが見え始めたのは、10年ほど前だろう。仮想化がブームになり、ホワイトボックススイッチ、SDN、OpenFlow、OpenStackなど、さまざまなテクノロジーのキーワードが議論され始めた。とはいえ、実ビジネスへの展開となると、実を結んでいるとは言えない状況が続いていた。その流れがようやく変わったのが2013年頃だ。企業内で開発やテクノロジーを担当する人たちではなく、運用者が感じている課題を、「ソフトウェアデファインド」で解決するという議論が始まった。SD-WANは、その課題を解決するソリューションとして認知が広まった。

 SD-WANとは、「ソフトウェアデファインドなWAN(SDN+WAN)」のことで、「離れた拠点間を結ぶネットワークをソフトウェアで簡単に構築・運用が可能なソリューション」である。離れた拠点間を結ぶためには、従来は比較的高額な専用線や人を派遣した機器の設定が必要で、インテリジェントな制御ができないという課題があった。それに対してSD-WANでは、以下のことを可能にする。

  • ゼロタッチによる簡単な拠点開設
  • 安価なインターネットの利用が容易
  • アプリケーションや回線品質によるトラフィック制御

 従来の企業WAN環境は、データセンターをハブにしてオフィスと拠点を結ぶ、いわゆるハブ&スポークのネットワークというケースが多い。このモデルでは、インターネットに出るには必ずデータセンターを経由する。問題は、ワイヤレスやホームオフィス、キオスク端末、IoTなど新しい取り組みが増えたことで、データセンターにつなげるためのWANが逼迫(ひっぱく)し始めたということだ。さらに、IaaSやSaaSを利用するようになると、つなぐ先は必ずしも自社のデータセンターだけではなくなる。こうなると、WANはさまざまな課題を解決しなければならない。

 回線費用、サービス提供までのリードタイム、セキュリティ、一貫性のある管理といった課題をクリアしたとしても、経営層の意見が反映されていない、セキュリティ/コンプライアンス、ネットワークの柔軟性、オペレーションの複雑さといった課題が出てくる。SD-WANは、こういった課題を解決する重要なソリューションとして期待されている。

 SD-WANにとって大きなインパクトだったのは、2015年11月に、GAPがSD-WANを全面採用したと発表したことだ。このとき、通信事業者のSD-WANサービスが発表され、多くのSD-WANベンダーが生まれた。GAPに採用されたViptelaは、2012年に設立され、ベンチャーキャピタルから1億1000万ドルを調達したことで話題になった。現在はシスコに買収され、その製品はCisco SD-WANとして提供されている。

 国内では、日商エレクトロニクスが2013年にViptelaとの協議と、国内市場における市場調査を開始している。また、同社は2015年から3年連続で、Interop TokyoにおいてSD-WANのコンセプトとViptela製品を展示しており、2016年にはアワードも受賞した。それに伴って問い合わせや案件が増加しているが、フィールドPOCが中心だったという。その理由として考えられるのは、以下の点だ。

  • WANコスト低減目的の需要は国内では低い(WANコストが諸外国よりも安い)
  • グローバル拠点を含むWAN運用に関する課題意識がまだ低い
  • IP-VPNやWAN最適化製品の拡張という興味にすぎなかった

 しかし、2017年にSD-WAN市場で大きな動きがあった。ひとつは、シスコのViptela買収のような、大手ベンダーによる取り組みの本格化だ。その他、クラウドサービス多様化に伴うネットワーク環境の見直しや、キャリアに任せきりだったグローバル企業における、自社運用への移行検討が具体化し始めた。さらに、厚生労働省による働き方改革の推進も、ネットワーク環境の変更を後押しした。

 このような流れが確実に見えてきている中、新田氏は「2018年にさまざまな商用導入が生まれると感じている」という。SaaSを使って働き方を最適化するようなワークライフ・インテグレーション時代が到来すると、さらにクラウド利用が増える。クラウド利用が増えると、コンテンツがクラウドにあるのだから、WANとLANの境界は意味を成さない。また、これまでグローバルでの導入は、現地への機器搬入やサポートが課題だったが、確実に提供可能なフェーズになっているという。これが、同氏のいう「SD-WANフェーズ2」だ。

 新田氏は、Ciscoのプレミア認定パートナーであり、SD-WAN(Viptela)およびネットワークのスペシャリスト、かつ働き方改革やHCIも含めたソリューションプロバイダーである日商エレクトロニクスだからこそ、SD-WAN フェーズ2の時代において、SD-WANの本格導入を加速していきたいと語った。

マルチクラウド環境ではネットワークの構造が変わるべき

 シスコの北氏は、SD-WANを含めた、エンタープライズネットワークの今後のシスコの戦略について紹介した。

シスコシステムズ プロダクト・セールス・スペシャリスト、北かおり氏

 今日、ネットワークにつながる接続デバイス数は84億、毎時100万台が増えているという。まさに、大量のデバイスが接続されるネットワークセントリックな時代だ。同時に、スケール、複雑性、セキュリティなど、ネットワークの負荷は飛躍的に増大している。

 足元に視線を移すと、企業にとってネットワークは、コストも手間もかかるものだ。ネットワーク投資のうち、運用コストは設備投資の2倍、展開時間にいたっては、コンピューティングよりもネットワークの方がはるかに大きい。社内のネットワークを全部張り替えるには、1年がかりのプロジェクトになることもある。また、IT部門は8割の時間を運用やトラブルシューティングに費やしているのが実情だろう。そこでシスコは、「ネットワークのあり方を再定義しなければならない」と考えていると北氏は言う。

 最大の原因は、クラウドだ。従来のネットワーク環境でマルチクラウドを利用する場合、以下の図のようになる。ユーザーアクセスはすべていったんデータセンターに集約され、そこからインターネットや各クラウドに出て行くという形だ。データセンターを境に二分されていて、ネットワーク設計は、どのプロバイダーと契約するか、どのアプリケーションをどのユーザーに使わせるかという権限制御の考え方になる。

 しかし本来は、マルチクラウド環境ではネットワークの構造が大きく変わるはずだ。いったんデータセンターに集まるのではなく、エンドツーエンドでつながるべきであり、SD-WANはそれを助けるものと考えられている。

 シスコではこれを、「インテントベースド」なネットワークだと定義している。うまい日本語がないが、「やりたいことができるネットワーク」といったイメージだ。それを実現するために、シスコは「Cisco Digital Network Architecture(DNA)」というコンセプトでソリューション群を整えつつある。

 Cisco DNAは、SDN対応のネットワーク基盤の上に、インテリジェンスを載せるという作りになっている。ネットワーク基盤は「SDN対応」である点がポイントだ。シスコの考えるこれからのエンタープライズネットワークでは、SDN対応のWANとして「Cisco SD-WAN(旧Viptela)」、SDN対応のLANとして「Cisco SD-Access」を提供していく。SD-WANは、データプレーンとマネジメントプレーンを分離するものなので、Cisco DNAとは親和性がある。

 Cisco DNAの特長は、ネットワーク基盤からの情報を収集し分析し、ラーニングして抽出した意図(インテント)をネットワークに反映するという点だ。図ではクローズドループになっているが、これを継続して回し続ける。将来的には、学習した結果を基に、トラブルを解決するまでの自動化を目指しているという。従来は、「実行したいこと(What)」があっても、「それをいかに行うか(How)」の部分、設定や展開の作業に費やす労力の方が大きかった。それを、Howの部分は極力自動化して、Whatに注力できるようにするというのが、インテントベースドということだという。

シスコはViptelaをどう統合していこうとしているか

 Cisco SD-WANは、シスコにとってWAN向けのインテントベースドネットワークソリューションとなる。とはいえ、「買収後、Viptela製品のアーキテクチャには手を入れていない」と北氏は言う。

 これまでは、名称もそのままで提供してきた。既にViptela製品を導入済みの場合も、ベンチャーとは違うシスコの手厚いサポートが受けられる。また、2018年7月にはシスコのISRルーターにSD-WAN対応のアップデートを行う予定で、「Cisco ISR 1100シリーズ」「同4000シリーズ」「ASR 1000シリーズ」はViptelaのvEdgeルーターと同様の動作をするようになる。シスコのポートフォリオがSD-WANに対応し、ViptelaとSD-WAN対応のISRが併存する状態だ。2019年以降には、LANも含めて管理を統合する方針だという。

 シスコにとって、SD-WANは次世代エンタープライズネットワーク基盤に不可欠な要素のひとつという位置づけだ。Cisco DNAはまだ発展途上だが、自動化やデータの収集の機能がそろってきた。また、導入企業からは、「WANの展開が早くなった」「業務を効率化できた」という声をもらっているという。SDN対応のネットワークはマネジメントの部分に手を入れやすい。だからこそ、今後シスコはSDNをベースに、SD-WANを含めた自動化や分析に注力していく方針という。

 シスコの今後に向けた戦略を支えるSD-WANで、同社は日商エレクトロニクスとタッグを組む。その理由はなぜか。

 シスコがViptelaを買収するよりも前から、日商エレクトロニクスはViptelaを国内で推進しており、既に明確な販売実績がある。2018年に入ってからは大規模案件を受注している。また、この活動を通じて蓄積してきたSD-WANおよびViptelaに関する技術力とナレッジは、かけがえのないものとなっている。

 こうしたことから、シスコとしては国内におけるSD-WANの展開で、日商エレクトロニクスに大きな信頼を寄せ、共にこの市場を開拓していくことに期待しているのだという。


 シスコがSD-WANの主要ベンダーを買収し、同社の豊富な製品ラインアップとともに国内で本格的に推進していくことにより、SD-WANはもはや「ニッチな存在」とは呼べなくなってくるだろう。特にこの分野で確固たる販売実績を持ち、技術力を備えた日商エレクトロニクスと協業していくことは、日本のSD-WANが急速に離陸することを予感させる。

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提供:日商エレクトロニクス株式会社、シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月8日

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