クラウドアプリ向けの仮想ADCアプライアンス、F5ネットワークスが「BIG-IP Cloud Edition」の販売を開始セルフサービス化でアプリケーションの展開を早める

F5ネットワークスジャパンは、アプリケーションデリバリーコントローラー機能を、クラウド上で稼働する単一アプリケーションに向けてカスタマイズした仮想アプライアンスとして提供する「BIG-IP Cloud Edition」の販売を開始した。

» 2018年07月12日 16時10分 公開
[@IT]

 F5ネットワークスジャパン(以下、F5)は2018年7月11日、「BIG-IP Cloud Edition」の販売を開始した。同社の「BIG-IP」のADC(アプリケーションデリバリーコントローラー)機能を、クラウド上で稼働する各アプリケーションに向けてカスタマイズした仮想アプライアンス(vADC)として提供する。

F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 権田裕一氏

 同社が開催した記者会見で、F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 権田裕一氏はBIG-IP Cloud Edition提供の背景を次のように述べた。

 「最近の企業には、顧客接点を増やすためのITサービスの提供が求められている。そのため、ITサービスに必要となるアプリケーションの数が増加しており、しかも展開スピードを重視するため、クラウドの利用が進んでいる。こうしたクラウドで稼働させるアプリケーションでも、これまでのオンプレミスと同様に、可用性とセキュリティの確保について一貫性が必要だ。一貫性が失われると、サービスダウンや不正アクセスによる情報流出の脅威にさらされる危険性が高まる

 だが、アプリケーションによって求められる可用性やセキュリティレベルが異なる。クラウドで稼働する全てのアプリケーションに対して、最も厳しい基準に合わせて一律に対応したのでは、過大なコストがかかる」

 BIG-IP Cloud Editionは、こうしたクラウドで稼働する各アプリケーションに向けて、単一アプリケーション専用の仮想アプライアンスとしてBIG-IPのADC機能をカスタマイズして適用できるようにしたものだ。

BIG-IP Cloud Editionの構成イメージ

 BIG-IP Cloud Editionの主な機能は、トラフィック制御機能の「F5 BIG-IP LTM(Local Traffic Manager)」と「F5 Advanced WAF(Web Application Firewall)」「F5 BIG-IQ Centralized Management」の3つ。

 F5 BIG-IP LTMは、トラフィック制御機能を、仮想環境やクラウド環境で利用できるようにするもの。これをアプリケーションごとに適用することで、パフォーマンスや可用性の確保を、シンプルかつ柔軟な形で実現できるという。

 F5 Advanced WAFは、機械学習と行動分析を活用した動的な攻撃判定や、自動チューニング機能を備えたWebアプリケーションファイアウォール(WAF)。「OWASP Top 10」に列挙されているセキュリティリスクの防御や、SSL/TLSで暗号化された通信の検査、スクリプティングによるアプリケーション攻撃の防御といった従来のWAFの機能に加え、botを使った攻撃の防御や、マルウェアなどを利用したクレデンシャル情報の不正入手、アプリケーションレイヤーに対するDoS攻撃、APIへの攻撃などにも対応する。

 3つ目のF5 BIG-IQ Centralized Managementは、アプリケーションごとに適用したBIG-IP Cloud Editionのインスタンスを、集中管理する管理ダッシュボード。アプリケーションごとに状態を可視化し、分析や制御が可能。各アプリケーションの処理性能や健全性を診断する機能や、問題解決機能も備える。

専用の管理ダッシュボードでアプリケーションの状態を可視化

 加えてBIG-IP Cloud Editionでは、アプリケーションごとに可用性やセキュリティの設定を変更したいときにも、柔軟に対応できる。ネットワーク管理者が事前に用意したテンプレートを、アプリケーション開発者がセルフサービスで利用する機能も備えた。これにより、アプリケーション開発者がネットワーク管理者に設定を要請し、ネットワーク管理者がそれに応えるまでの時間を削減。アプリケーションの展開を早めることができるという。

セルフサービス化により、アプリケーション開発者は可用性やセキュリティの設定をすぐに適用可能に

 なお料金体系は、従来の買い切り型ライセンスモデルに加え、サブスクリプションモデルも選べるようになった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。