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» 2018年10月17日 14時30分 公開

自律的なモノ、拡張アナリティクス、AI主導開発、エンパワードエッジなど:Gartner、2019年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表

Gartnerは、「企業や組織が2019年に調査する必要がある」と認定した戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表した。「インテリジェント」「デジタル」「メッシュ」がキーワードだという。

[@IT]

 Gartnerは2018年10月15日(米国時間)、「企業や組織が2019年に調査する必要がある」と認定した戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表した。

 Gartnerは戦略的テクノロジートレンドを、「テクノロジーが出現したばかりの状態を脱し、幅広く使われて広範な影響を与え始め、大きな破壊的変革をもたらす可能性を持つようになったトレンド」や、「今後5年間で重要な転換点に達する、変動性が高く、急成長しているトレンド」と定義している。

 「過去2年間、一貫して主要なテーマとなってきた『インテリジェントデジタルメッシュ』が、2019年もトレンドの大きなけん引役となる。インテリジェント、デジタル、メッシュという3つのキーワードに関わるさまざまなトレンドが、『ContinuousNEXT』戦略の一環として、継続的なイノベーションプロセスを大きく後押しするだろう」と、Gartnerのバイスプレジデント兼Gartnerフェローのデビッド・カーリー氏は述べている。

 ContinuousNEXTは、Gartnerが最近、企業や組織がデジタルトランスフォーメーションとその後の展開によって成功を収めるために、実装すべきと提唱しているアプローチだ。

 「例えば、人工知能(AI)が、自動化されたモノや拡張インテリジェンスという形で、IoTやエッジコンピューティング、デジタルツインとともに利用され、高度に統合されたスマートスペースを実現する。このように、複数のトレンドが融合して、新しい機会を生み出したり、新しい破壊的変革をもたらしたりすることが、戦略的テクノロジートレンド2019のトップ10の特徴だ」(カーリー氏)

Gartnerが発表した戦略的テクノロジートレンド2019のトップ10 10の技術を「インテリジェント」「デジタル」「メッシュ」の3種類に分類できる(出典:Gartner

 2019年の戦略的テクノロジートレンドトップ10の概要は次の通り。

自律的なモノ

 ロボットやドローン、自動運転車のような「自律的なモノ」は、AIを利用して、これまで人間が担ってきた機能を自動化する。こうした自律的なモノは、固定的なプログラミングモデルによる自動化を超えて、周囲の環境や人間との自然なやりとりを含む高度な動作を行う。

拡張アナリティクス

 「拡張アナリティクス」は、拡張インテリジェンスの特定の領域を対象とし、機械学習(ML)を利用して、アナリティクスコンテンツの開発や利用、共有の在り方を変える。拡張アナリティクスは急速に進化し、データ準備やデータ管理、モダンアナリティクス、ビジネスプロセス管理、プロセスマイニング、データサイエンスプラットフォームの主要機能として、広く採用されるだろう。

 また、拡張アナリティクスによる洞察の自動化は、人事や財務、販売、マーケティング、顧客サービス、調達、資産管理といったエンタープライズアプリケーションに組み込まれるだろう。その目的は、それぞれに関連する全ての従業員の意思決定や行動を最適化することにある。

 拡張アナリティクスはデータの準備や洞察の獲得、洞察の視覚化といったプロセスを自動化し、さまざまな状況で専門的なデータサイエンティストを不要にすると予想した。

AI主導開発

 これまでの市場では、専門的なデータサイエンティストとアプリケーション開発者が組んで、AIを活用したソリューションを構築するアプローチを採っている。現在は専門的な開発者が、サービスとして提供される定義済みモデルを使って、単独で作業を行うモデルへの移行が急速に進んでいる。これに伴い、開発者をサポートするAIアルゴリズムやモデルに加え、AI機能やモデルをソリューションに統合するための開発ツールのエコシステムが生まれている。

 また、さまざまなデータサイエンスやアプリケーション開発、テストといった機能を自動化するために、AIが開発プロセス自体にも利用される。これを「AI主導開発」と呼ぶ。2022年には、新規アプリケーション開発プロジェクトの少なくとも40%で、AIが共同開発者として開発チームに加わる見通しだ。

デジタルツイン

 「デジタルツイン」は、実世界の物体やシステムのデジタル表現を指す。Gartnerは2020年までに、200億以上の接続されたセンサーとエンドポイント、デジタルツインが、数十億のモノに向けて存在するようになると予想している。企業や組織は、まずデジタルツインを単純に実装するだろう。さらに、時間とともにそれらを進化させ、適切なデータを収集、可視化する機能を向上させ、適切なアナリティクスとルールを適用し、ビジネス目標に効果的に対応すると予想した。

エンパワードエッジ

 エッジは人々が使用する、または人々の周囲に組み込まれたエンドポイントデバイスを指す。エッジコンピューティングは、情報処理やコンテンツの収集、配信をこうしたエンドポイントのすぐ近くで行う。エッジコンピューティングは、トラフィックと処理をローカルに保つことで、ネットワークの伝送量とレイテンシを抑えることを目指している。

 今後5年間に専用AIチップや高度な処理能力を持つプロセッサ、ストレージなどの機能が幅広いエッジデバイスに追加される。組み込みIoT環境では、寿命の長い産業システムも混在することから、管理が大きな問題になる。長期的には、第5世代移動通信(5G)の成熟化に伴い、拡大するエッジコンピューティング環境と中央サービスの堅牢(けんろう)な通信が可能になる。これが「エンパワードエッジ」だ。5Gはレイテンシの低下や帯域幅の拡大、単位面積当たりのノード(エッジエンドポイント)数の大幅な増加を実現する。

没入型エクスペリエンス

 会話プラットフォームは、人々がデジタル世界とやりとりする方法を変えている。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、複合現実(MR)も、人々がデジタル世界を知覚する方法を変えている。これらの変化が今後の「没入型エクスペリエンス」に道を開いている。

ブロックチェーン

 分散台帳の一種である「ブロックチェーン」は、信頼の実現や透明性の提供、ビジネスエコシステム間の摩擦の軽減といった特徴を備え、産業を変革すると期待されている。具体的にはコストの削減や取引の完了に要する時間の短縮、キャッシュフローの改善をもたらす可能性がある。だが現状では、ブロックチェーンの取り組みの多くでは、高度に分散されたデータベースなど、ブロックチェーンの特徴を全て実現しているわけではない。ベンダーロックインに陥る恐れがあるケースもある。

 現時点でブロックチェーンソリューションを導入する企業や組織は、このような限界を理解するとともに、将来は完全なブロックチェーンソリューションに移行する準備を整えるべきだ。また、ブロックチェーン以外の既存技術を効率的に、調整して利用することで、同じ結果が得られる可能性にも留意する必要がある。

スマートスペース

 「スマートスペース」は、人間と技術システムがよりオープンで、高度に接続され、調整が行き届いたインテリジェントなエコシステムの中でやりとりする物理環境やデジタル環境を指す。人やプロセス、サービス、モノなど、多くの要素がスマートスペースに集まり、没入型でインタラクティブな自動化されたエクスペリエンスが、特定の人々に向けて特定の産業のシナリオに沿って実現する。スマートシティやデジタルワークスペース、スマートホーム、コネクテッド工場などのシナリオが想定される。

デジタル倫理とプライバシー

 「デジタル倫理とプライバシー」は、個人や組織、政府にとって大きな懸念事項となっている。人々は、自分の個人情報が政府や民間組織によってどのように使われているのかについて、不安を強めている。こうした不安にプロアクティブに対処しない組織は、反発を買うばかりだろう。

 プライバシーやセキュリティは信頼を構築するための基本要素だが、肝心なのはあくまで信頼だ。組織には、倫理や信頼に立脚した行動が求められるようになっている。

量子コンピューティング

 「量子コンピューティング」は、原子と同等かより小さい粒子(電子やイオンなど)の量子状態に基づいて動作する、非古典的なタイプのコンピューティングを指す。この量子状態では、情報はビットではなく量子ビットで表現される。

 量子コンピュータは並列実行と大規模なスケーラビリティを特徴としており、従来のアプローチにとっては複雑過ぎる問題や、従来のアルゴリズムでは解を見つけるまでに時間がかかりすぎる問題に威力を発揮する。自動車や金融、保険、医薬、軍事、研究などの分野が、量子コンピューティングの進化の恩恵を最も受ける。

 「CIO(最高情報責任者)やITリーダーは量子コンピューティングへの理解を深め、実際のビジネス課題にどのように応用できる可能性があるかを検討して、量子コンピューティングに備え始めるべきだ。ただし、ほとんどの組織では、量子コンピューティングを利用し始めるのは、2023〜2025年ごろからではないか」(カーリー氏)

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