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» 2018年11月01日 11時00分 公開

RHELユーザーはクラウド移行に前向き:Red Hat買収はIBMのクラウドシェア拡大に寄与するか、ノークリサーチが分析

ノークリサーチは、IBMによるRed Hatの買収が、中堅中小企業に与える影響について分析結果をまとめた。Red Hat Enterprise Linuxのユーザー企業にはクラウドに移行しようとする意向が高く、支援体制によってはIBMのクラウド市場でのシェアが増える可能性があるとしている。

[@IT]

 IBMは2018年10月29日(日本時間)、Red Hatを約340億ドルで買収すると発表した。これを受けてノークリサーチは2018年10月31日、IBMによるRed Hatの買収が、年商500億円未満の中堅中小企業に与える影響についての分析結果をまとめた。

 それによると、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を導入済みのユーザー企業に対して、日本IBMが今回の買収によってこれまで以上にクラウド移行への支援体制を整えられれば、IBMのクラウド市場でのシェアが増える可能性があるとしている。

 まずノークリサーチは、中堅中小企業が現在運用しているオンプレミスサーバについて、今後の方針を調べた。それによると、RHELを利用しているユーザーは、仮想環境やクラウドへの移行を検討している割合が、他のサーバOSのユーザーよりも際だって多かった。具体的には、仮想環境への移行を検討している割合は20.5%、コンテナ環境への移行は10.3%、SaaS(Software as a Service)への移行は28.2%、PaaS(Platform as a Service)への移行は20.5%、IaaS(Infrastructure as a Service)への移行は15.4%だった。

 これに対してWindows Server 2008/同2008 R2のユーザーは、RHELのユーザーに比べてそれぞれ半数程度の比率にとどまっている。

サーバの更新手段(複数回答)(出典:ノークリサーチ)

 次に、中堅中小企業が現在利用しているサーバOSを調べた。全体ではWindows Serverが大半を占めているものの、Linux/UNIX系の中ではRHELが最も多かった。具体的には、RHELの6.4%に対して、Oracle Linuxは4.6%、CentOSとSolarisは2.0%、Ubuntuは1.8%、HP-UXは1.6%だった。

 これらの状況を踏まえてノークリサーチでは、RHELを導入済みのユーザー企業が仮想化やクラウド環境にどれだけ進むかが、Linux/UNIX系サーバ全体の今後の動向に影響を与える可能性があると分析している。

日本IBMのクラウドシェアがどう変わるか

 一方、中堅中小企業が導入済みまたは導入予定のクラウドを調べたところ、Google Cloud Platformの31.9%とMicrosoft Azureの29.1%、Amazon Web Services(AWS)の26.4%が3強だった。

中堅中小企業が導入済みまたは導入予定のIaaS/PaaS事業者(複数回答)(出典:ノークリサーチ)

 日本IBMは、日本国内の中堅中小企業のクラウド導入社数シェアでは、他のベンダーに後れを取っている。もし今回の買収によって、RHELを導入済みのユーザー企業に対してクラウド移行をこれまで以上に支援できれば、IBMのクラウド導入社数シェアが増加する可能性があるとノークリサーチは指摘している。

 同社は、サーバ更新時の課題についても調査した。「クラウドに移行したいが、移行計画を推進できる人材が社内にいない」(全体の5.9%)や「クラウドに移行したいが、移行時に必要となる費用を捻出できない」(同4.4%)、「仮想化やコンテナを導入したいが、管理運用できない」(同3.1%)といった課題を挙げる声が大きかった。とりわけこれらの課題は、RHELを利用しているユーザーで割合が高く、それぞれ20.5%、10.3%、15.4%だった。

サーバ更新における課題(出典:ノークリサーチ)

 こうした点を踏まえてノークリサーチは次のように結論付けている。

 「RHELを導入済みのユーザー企業は仮想化やクラウド移行に前向きであるものの、管理運用などにIT企業の支援を必要としている。今回の買収によってIBMがこのような企業に対する支援を提供し、クラウド移行までを一気通貫で担うのか、それともRed Hatとしてはこれまでと同様に各クラウド事業者と等距離を保つのか、といった今後の動向によって、今後のクラウド導入社数シェアに少なからず影響が及ぶと予想される」

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