ドメーヌ・ポンソの高級ワイン、不正開栓を見破るICタグで真贋証明――凸版印刷の「Cachet-Tag」を採用

仏ワインの名門ドメーヌ・ポンソは、2018年10月から出荷されたグラン・クリュクラスの製品に、凸版印刷のICタグ「Cachet-Tag」を採用。一度はがすとデータが読み取れなくなり、ワインの真贋判定や偽造対策に有効だという。

» 2018年11月19日 11時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 フランス・ブルゴーニュ地方の老舗高級ワインメーカーであるドメーヌ・ポンソのグラン・クリュ(特級畑)クラスの全製品に、不正開封を検知する凸版印刷のNFC対応ICタグ「Cachet-Tag(カシェタグ)」が採用された。既に2018年10月から順次出荷されているという。

 Cachet-Tagは、一度はがすとアンテナ回路が断線し、データの読み取りができなくなる脆性(ぜいせい)加工を施したICタグ。ラベルの不正な貼り替えや再利用を防止できるため、偽造品・模倣品対策に有効だという。

ALTALT 左:「Cachet-Tag」をはがす前(左)とはがした後(右) / 右:「Cachet-Tag」が採用されたドメーヌ・ポンソのグラン・クリュクラスのワイン(©Toppan Printing Co., Ltd)

 専用のスマートフォンアプリを活用し、NFC対応スマートフォンでICタグを読み取ると、認証結果が表示され、商品の真贋を確認できる。専用アプリは、認証セキュリティソリューションを提供するベルギーのSelinko SAのアプリを採用している。

 ICタグを読み取ることで、産地や保管方法といった商品情報だけでなく、ワインに合う食事のアドバイスなども表示できるので、消費者向けの情報提供ツールとしても活用できる。

Photo 専用アプリによる真贋判定イメージ(©Toppan Printing Co., Ltd)

 ICチップには、暗号認証などの高レベルのセキュリティ機能を備えるNXP Semiconductors製の「NTAG 413 DNA」を採用した。ICタグを読み取ると、ID情報に加え、演算による認証情報を取得。認証情報は、製品個体ごと、また専用アプリによる読み取りごとに異なり、演算結果はクラウド上で判定されるため、高いセキュリティ性を保有するという。

脆性加工を施した真贋判定ICタグ「Cachet-Tag」の紹介

 ドメーヌ・ポンソは、20年以上前から製品の偽造被害を受けており、偽造防止技術の導入にいち早く取り組んできた。2016年には12月から出荷したワインに、同じく凸版印刷の、ワインのコルク栓を外側から覆うラベル形状のICタグ「CorkTag(コルクタグ)」を採用している。今回、より強固なセキュリティ対策を実現するため、Cachet-Tagを採用したとしている。

 凸版印刷は今後、Cachet-Tagを、高級ワインのボトル、医療・医薬品や高級化粧品のパッケージなどに向けて拡販していく予定としている。

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