連載
» 2018年11月26日 05時00分 公開

羽ばたけ!ネットワークエンジニア(10):コミュニケーションロボットの実証実験から学ぶ、効果的なサービスの設計 (1/2)

より効果的なコミュニケーションを実現する仕組みを作ることはネットワークエンジニアの大事な仕事だ。今回はコミュケーションロボットを使ったサービスの実証実験の結果を題材にコミュニケーションサービス設計の勘所について述べたい。

[松田次博,@IT]

 連載第2回で紹介したコミュニケーションロボットPaPeRo iを使った見守りサービスの実証実験が、愛媛県西条市で2018年7月から9月までの3カ月間行われた。このサービスの目的は独り住まいの高齢者と離れて暮らす家族の間で、利用しやすく効果的なコミュニケーションサービスによって「楽しい見守り」を実現することだ。

 この実証実験の結果が2018年11月8日に西条市とNECから同時に報道発表された。以下、実証実験の結果を分析するとともに、コミュニケーションロボットを活用して効果的なサービスを設計するポイントについて述べる。

 このプロジェクトでは、高齢者とその家族にサービスを提供する主体は西条市であり、NECはサービス実現のためのロボットを含むソリューションを西条市に提供する立場だ。筆者はソリューション側のプロジェクトマネジャーである。2017年7月の松山市での講演以来、サービスの提案から実証実験のサポート、インタビューや報告書作成など、「走りながらアイデアを考え実行する」プロマネを務めている。

 実証実験は西条市内に住む独居高齢者と市外に住むその家族、10組を対象に行われた。以下で紹介する結果は西条市とNECから公開された範囲のものである。

 図1はサービスの内容(黒字)と各サービスの利用統計(赤字)をまとめたものだ。

図1 コミュニケーションロボットを用いた見守りサービスの内容と利用状況

 (1)の「見守り」が最も重要なサービスで、朝昼夕の3回、高齢者がロボットの前に来ると写真を撮ってよいかどうか確認した上で撮影し、クラウドを介して家族に送信する。家族はスマホやPCで好きな時に確認でき、元気な様子が写真で分かるのが好評であった。家族が写真を見ると、ロボットが「何時何分に○○さんが写真を見たよ」と高齢者に音声で知らせる。声を交わすわけではないが、ロボットを介して高齢者と家族の間にコミュニケーションが生まれるのだ。

 高齢者がロボットの前に来たのに撮影に応じないと「忙しいみたいだよ」というメッセージだけが家族に送られる。長時間、ロボットの前に来ないと「お留守みたいだよ」というメッセージが送られる。

 (2)の「コミュニケーション」は家族から高齢者へのメッセージ(テキストで送るとロボットが音声に変換して伝える)、イメージ、ビデオの送信に加え、高齢者から家族への音声メッセージの送信ができるメニューだ。多い方は1日3回以上使っている。

 (3)の「音声リクエスト」は高齢者がロボットに声をかけて天気予報やニュース、豆知識などを教えてもらうメニューだ。この利用が予想以上に多く、平均1日4回、多い方は14回以上ロボットに話しかけていた。

 (4)の「うんどう」はプロジェクトを走らせながら考えたアイデアの一つで、実験開始1カ月後に追加したものだ。「あたまのうんどう」「からだのうんどう」「おくちのうんどう」という3種類のビデオがあり、例えばロボットに「あたまのうんどう」というとそのビデオが始まる。見守りという受動的なサービスだけでなく、高齢者が自発的に取り組めるメニューが喜ばれるのではないかと考えたからだ。予想通りほぼ毎日使っていただけた。

 (5)の「声がけ」は高齢者がロボットの前に来たときや決まった時間になったときに、なぞなぞや豆知識、俳句などを話しかけるものだ。

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