Azure MarketplaceにWindows Server 2019がようやく登場Microsoft Azure最新機能フォローアップ(67)

Azure MarketplaceでようやくWindows Server 2019のイメージが利用可能になりました。これで、Azure IaaS環境にWindows Server 2019の仮想マシンを簡単にデプロイして実行できるようになりました。Azure IaaS環境は、運用環境や開発/テスト環境としてはもちろん、新しいOSの評価環境としても利用できます。

» 2018年12月03日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Windows Server 2019がMarketplaceに登場するまでの長い道のり

 長期サービスチャネル(Long-Time Servicing Channel:LTSC)リリースである最新のWindows Server 2019のイメージが、2018年11月末(筆者が確認したのは日本時間27日の午後)にAzure Marketplaceで利用可能になりました(画面1)。

画面1 画面1 Azure MarketplaceでWindows Server 2019とWindows Server,version 1809のイメージが利用可能になった

 英語版イメージとしては、以下の9つのイメージが利用可能です。

  • Windows Server 2019 Datacenter
  • Windows Server 2019 Datacenter with Containers
  • Windows Server 2019 Datacenter Server Core
  • Windows Server 2019 Datacenter Server Core with Containers
  • [smalldisk]Windows Server 2019 Datacenter
  • [smalldisk]Windows Server 2019 Datacenter with Containers
  • [smalldisk]Windows Server 2019 Datacenter Server Core
  • [smalldisk]Windows Server 2019 Datacenter Server Core with Containers
  • [smalldisk]Windows Server,version 1809 with Containers

 これらは、いずれも英語版のWindows Server 2019 Datacenterエディション(OSビルド17763.107)のイメージであり、デスクトップエクスペリエンス環境、Server Coreインストール環境である「Server Core」イメージ、これらの環境に「Windowsコンテナー」の実行環境とservercore:1809およびnanoserver:1809のベースOSイメージを組み込んだ「with Containers」のイメージです(画面2)。

画面2 画面2 「with Containers」のイメージには、Docker Enterprise Edition for Windows Server(バージョン18.03.01-ee-4)とnanoserver:1809およびservercore:1809のベースOSイメージがセットアップ済み

 [smalldisk]から始まる名前のイメージは、OSディスクが32GB(通常のイメージのOSディスクは127GB)とコンパクトで、OSディスクが使用するAzureストレージのコストを抑えることができます。

 Windows Server 2019は、Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)とともに米国時間(米国太平洋標準時であるPST)の2018年10月2日にリリースされましたが、Windows 10 バージョン1809の重大な不具合の影響を受けて数日後に配布が停止されました。10月2日のWindows Server 2019リリース時のアナウンスでは、Azure Marketplaceでもすぐに利用可能になるとされていましたが、利用可能になる前に配布停止の影響を受け、一度も公開されることなく11月を迎えました。

 Windows 10 バージョン1809は2018年11月13日(PST)に再リリースされ、Windows Updateやダウンロードサイト、Windows Server Update Services(WSUS)での提供が再開されました。同時に、ボリュームライセンスセンター(VLSC)で、Windows 10 バージョン1809、Windows Server 2019、および半期チャネル(Semi-Annual Channel:SAC)のWindows Server,version 1809の提供も再開されました。この再リリースのアナウンス時点では、Azure Marketplaceでは翌週(over the coming weeks)に利用可能になるとされていました。

 MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクリプションに対しては、さらに1週間後の11月20日に提供が再開、そして、そのさらに1週間後、ようやくAzure Marketplaceでの提供が開始されました。

 結果として、Azure Marketplaceに登場したのは10月初めにアナウンスされてから約2カ月後ということになりました。ここまで遅れた理由については、特に説明されていません。なお、Windows Server 2019評価版(180日)とMicrosoft Hyper-V Server 2019の提供は、2018年11月28日時点では再開されていません(パートナー向けのMPNや学生向けMicrosoft Imagineなど、その他のチャネルでの提供状況については確認していません)。

日本語化にはISOメディアから言語パックをインストールする必要あり

 Azure MarketplaceのWindows Serverイメージは英語(en-us)環境ですが、Windows Server 2016以前のイメージと同様に、デスクトップエクスペリエンス環境であれば、日本語言語パックをインストールして、表示言語とシステムロケールを日本語に切り替えることで完全に日本語化することが可能です。

 ただし、Windows Server 2019の現時点での制約として、Windows Updateで言語パックが提供されていないため、言語の追加時にWindows Updateからの言語パックをダウンロードできず、表示言語などの言語サポートがインストールされないという既知の問題があります。

 この問題を回避するには、以下のサポート情報で説明されているように、言語パックを含むISOイメージ(17763.1.180914-1434.rs5_release_SERVERLANGPACKDVD_OEM_MULTI.iso、2.63GB)をダウンロードし、手動(Lpksetup.exeを実行)で日本語言語パック(\x64\langpacks\Microsoft-Windows-Server-Language-Pack_x64_ja-jp.cab)をインストールする必要があります(画面3)。

画面3 画面3 現在、Windows Updateで言語パックは提供されていないため、日本語化には言語パックをISOイメージから手動でインストールする必要がある

 また、Windows Server 2016と異なり、「コントロールパネル」の「言語」が廃止されているため、「設定(Settings)」アプリの「時刻と言語(Time & Language)」にある[言語(Language)]から日本語のサポートを追加するように手順が変更されている点にも注意が必要です(画面4)。

画面4 画面4 Windows Server 2019デスクトップエクスペリエンスに日本語言語パックを追加して、表示言語とシステムロケールを変更すると、日本語化できる。手順がWindows Server 2016とは異なるので注意

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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